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幼児教育は誰のため?世界の幼児教育や最新の教育事情14選
子どもの将来のために、早期から教育を行いたいと考える保護者は多いですよね。しかし、早期の幼児教育は本当に必要なのでしょうか。また、子どものためになっているのでしょうか。今回はこれらのテーマに加え、世界の教育事情や、いま注目されている「やり抜く力」を育む方法など、保育士や専門家の話をまとめました。
就学前の学習は必要?幼児教育の是非
子どもが小さいうちから計算やひらがなを教えたり、小学校受験を考えたり、幼児教育に悩む保護者は少なくないでしょう。
それは「大きくなってから勉強で苦労してほしくない」「先取り学習をさせることで、あとでラクをさせてあげたい」など、子どもを思う気持ちのあらわれなのかもしれません。
日常生活の中で行える基礎教育
早期の幼児教育には賛否両論ありますが、難しいことをしなくても子どもの基礎的な能力を高めるような、日常的に行える取り組みがあります。
例えば、おはじき遊び。手指を動かすことによって脳を活性化することは知られていますが、数量感覚を身につけるためにも最適です。
保護者が正しい日本語で、たくさん話しかけることも大切です。子どもが知らない言葉をあえて使うことは、子どもの語彙力を高めることにつながります。また、絵本を読み聞かせたあとに子どもの言葉で感想を話してもらい、それを大人の言葉に言いかえてあげることもよいでしょう。
幼児期に身に付けたい非認知能力とは
IQテストや試験で測定できる「認知能力」ではなく、主体性、自己肯定感、想像力、自制心、やり抜く力、社会性など人間としての基本的な力のことを指す「非認知能力」。
日本でも徐々に注目が集まりつつあるようですが、世界基準ではこの非認知能力のウェイトがどんどん高まっているようです。
アメリカで大注目「やり抜く力」
近年、アメリカ教育省で最重要課題と提唱されているのが、「やり抜く力」。水泳やそろばんを習わせることによって、このやり抜く力を育てると、KIDSNAの記事でも紹介しています。
例えば水泳を習うと「体を水に浮かせる」「ビート版などを活用してバタ足」「息継ぎ」と少しずつステップを踏んで技能を習得していきます。このように小さな目標を立てて、段階的に繰り返して行くことが、何かを成し遂げるには有効な方法だと言われているのです。
世界の幼児教育事情
イタリア「モンテッソーリ教育」
日本でも取り入れる保育園や幼稚園が増えている、モンテッソーリ教育。子どもたちが好きなことを選択できるようさまざまなコーナーを設け、先生は必要なときだけサポートをするのが特徴です。教具という専用のおもちゃを使い、子どもたちは遊んでいる感覚ですが、それぞれの教具には教育的な意図が隠されています。
自分の好きなことを好きなだけできるので才能や得意分野を伸ばせる一方で、協調性やコミュニケーション能力は伸びないのでは、と不安の意見もあるようです。
デンマークとドイツ「自然保育」
デンマークやドイツには、広大な森の中で、子どもたちも先生も好きなことをして過ごす幼稚園があります。自然の中で子どもたちは五感をフルに使い、「生きる力」を養います。
いつ、どんなことが起こるか分からない現代に生きる子どもたちは、困難に直面しても「なんとかなる、なんとかする」力が必要不可欠です。そのためにも、決して予測通りにいかない自然のなかで過ごすことには大きな意味があるのです。
オランダなど「市民を育てる教育」
オランダのイエナプラン教育、イギリスのシュタイナー教育、イタリアのレッジョ・エミリア教育を紹介しています。これらの国々では子どもを尊重し、大人から「こうしなさい」と押し付けるのではなく、「あなたはどうしたい?」と子どもを一市民として捉えます。
小さいうちから子ども自身が「自分も一市民である」と感じることは、自らが市民として思考、発言、行動する力になっていきます。そして、大人になったときに社会課題を自分事のように感じ、社会に関わり支えていくことにつながっていくのです。
ニュージーランド「子どもの興味を止めない教育」
近年ニュージーランドにおける、観察と記録による子ども理解の方法「ラーニングストーリー」は世界中から関心が寄せられています。
個々の興味や関心を大切にしながら臨機応変に保育を行い、日本では「危ないからダメ」と言われるようなことでも、大人たちは優しく見守るような環境があるようです。
インド「世界のIT人材を輩出するエリート教育」
IT先進国としても知られるインドでは、3歳から算数を学ぶことがカリキュラム化されているなど、早期教育が盛んに行われています。インドの人々は、カースト制度の名残りから上昇志向が強く、勉強をすることによって将来上に行けるということを、身をもって知っているようです。
幼児教育は誰のため?
「教育を早くスタートして、よい結果を得てほしい」と考えてしまう保護者は少なくないですよね。しかし、教育に重点を置きすぎるために愛情やスキンシップが足りなくなってしまっては、子どもがつまづいたときに逃げ道がなくなってしまいます。
まず最初に行うべきことは、焦って早期教育を始めることではなく、夫婦で教育としつけに関する基本方針を話し合い、家庭としての方針をしっかりと決めること。受験をさせる選択をするのであれば、なんのために受験をさせるのかを明確にすることが大切です。
<執筆>KIDSNA編集部