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【教育系YouTubeクリエイターの葉一さん】子どもがつまずいてしまったとき親は学びをどうサポートする?
チャンネル登録者数190万人を超える人気教育系YouTubeクリエイターの葉一さん。前編では幼児期に築いておきたい学びの土台や、子どものモチベーションを維持するための親の関わり方などについて話を聞いた。今回は、子どもが勉強や学校生活につまずいてしまったとき、親はどのように子どもに接するのがよいのか話を聞いた。
金銭面など家庭環境に関係なく、学びたいと思った子どもに教育の場を与えたいという想いで教育系YouTubeクリエイターとして活動している葉一さん。前編では、親が子どもへ「学ぶこと」をどのように教えたらよいのかを教えていただきました。
後編のテーマは、家庭での教育のサポートについて。現代は、中学受験のために小学校低学年から塾で勉強することが選択肢に入る時代。公教育だけではなく、+αで学ぶ場がたくさん用意されています。親は、子どもの学びをどうサポートしてあげるとよいのでしょうか。
「学びの場」でうまくいかない時 親はどうする
――葉一さんは小学校・中学校・高校の教員免許を持っていて、前職は塾講師、現在は教育系YouTubeクリエイターとして活躍される一方、2児のパパでもあります。学校、塾、家庭と学習の場が多岐に渡っています。それぞれの場で子どもが育っていくために、家庭にはどのような役割があるとお考えですか?
葉一さん:
家庭は、子どもが足りていない部分の補填をしたり、モチベーションを上げてあげるのが役割だと考えています。あとは、子どもは学校や塾で疲れ切っているので、話を聞いてあげたりフォローしたりすることが大切ですよね。そういう意味で子どもにとって家庭とは、頑張る場所でもあるけれどオアシスでもある、特別な場所ですね。
――たとえば子どもが「宿題やりたくない」「勉強がやだ」と学習へのモチベーションが下がっているとき、親はどのようなコミュニケーションを取るとよいでしょうか?
葉一さん:
うちの長男の話ですが、宿題の量が一気に増えた時期があって、それまで見たことがないくらいやる気がなくなってしまったことがありました。その宿題は親から見ても多すぎて、これはしんどいなと思いました。だから先生に相談して、量を減らしてもらったことがあります。
「宿題をやりたくない」と一言で言っても、量が多くて辛いのか、分からなくて困っているのかなど、理由はそれぞれ違うはずなので、まずは話を聞いてあげるといいかなと思います。量が多すぎるのが問題なら先生に減らしてもらうように相談すべきだし、分からなくて困っているならフォローすると同時に先生にも子どもの状態を説明すべきかなと。
たとえば3桁のかけ算が10問出たら、苦手な子にとっては地獄じゃないですか。そういう時は子どもと量を相談した上で、「うちの子は今こういう状態なので、2問で提出させてもいいですか。その2問は絶対に頑張らせるので」と話したらいいかなと思います。
周りから見て少ない量に見えても、自分で決めたことを達成することに意義があると思うのです。宿題が罰ゲームのようになってしまうのはおかしいですからね。
必ずしも言われた通りにやらなくていいんだ、と分かると気が楽になると思います。
子どもには常に選択権があることを伝える
――そうですね。「学校に行きたくない」と言われたときはどうでしょうか?
葉一さん:
うちはそのワードが出る前から「学校は休んでいいよ」と普段から言ってるんです。「学校は絶対に行かなきゃいけないものではないし、休んで授業が分からなくなったらパパが教えるから大丈夫だよ」と伝えています。
子どもには「学校は絶対に行かなきゃいけないもの」という足枷を作りたくないし、ちょっとした気楽さを与えてあげたいと思うんです。ただ「もしそう思ったときには、できれば理由は話してほしいな」ということは伝えています。
学校や塾を休むことも含めて、やらないことも権利だし、嫌なことは嫌と言っていいということは伝えたいですよね。それを知っていることで、一番避けたい状況は防げるかもしれない。
――子どもが先生と合わなそうな時は何か対応できることはありますか?
葉一さん:
合わないといっても理由があるから、まずは子どもの意見を聞いて、愚痴を聞く相手になります。でも、子どもの話だけを鵜呑みにするわけではなく直接先生と話をしてみて、自分から見た先生のいいところがあるならそれを子どもに伝えます。
「先生はこういう想いをもって向き合ってると思うよ。いじめたいわけではないし、いい先生だと思うよ」と言いつつ、「ただ、合う合わないはあるもんな」と共感は大事にしたいですね。
子ども目線の話だけを聞いていっしょに愚痴を言う関係で終わるのはもったいないと思います。子どもたちの中で先生の地位が崩れたままになってしまうので。結局学校に通うのは子どもだから、先生のいいところをちゃんと見て、伝えてあげたほうがお互いにとっていいと思います。
頼られる親になるには、いつだって全力で応えること
――葉一さんのお話を聞いていると、親子の信頼関係がすごくあると感じるのですが、なにか秘訣はありますか?
葉一さん:
「頼りたくなったらいつでも頼っておいで」というスタンスは幼児のときから徹底しています。子どもたちがフランクに頼ってくれるような空気感を意識していますね。ただ、頼ってきてくれたときは全力で協力するし、それは約束なので絶対に守るようにしています。
あとは、親と子どもが一方通行の関係は違うと思っているので、子どもたちにも頼っちゃいます。塾講師をやっていた時から感じていたのですが、親もひとりの人間だし悩むことはあるのに、子どもに対してはどうしてもカッコつけがちですよね。
子どもにとっては親の存在は大きいですから。だから「カッコつけたり無理して頑張らないで、子どもを頼っちゃいましょう」とよく言っていました。
一方的に何かを教えたり従わせたりしようとするのではなくて、普段から対等で双方向の関係にしておくことで、子どもからも頼ってもらえるようになるのかなと思います。
だから私はつらい時はつらいと言うし、たとえばゲームは息子のほうが詳しいし上手いから、ゲームに関しては息子のことを先生と呼んで、分からないことは教えてもらうようにしています。
――なるほど。分からない時は分からないと言っていいんだという学びにもなりますね。
子どものやりたい!を本気で応援するには?
――葉一さんは教育系YouTubeクリエイターという前例がなかったことを仕事にしてここまでやってこられていますが、お子さんとは将来の夢や仕事の話をしたりするんですか?
葉一さん:
私の方から聞くことはあまりないので、たまにポロっと言ってきたり学校で書かされた紙を見て知るくらいですね。でも、そこまで夢を持つことが正義だとは思っていなくて。興味あるものが見つかったらいいね、くらいに考えています。
――親の立場だと、夢の内容によっては「色々な仕事がある中でわざわざそこを選ばなくてもいいんじゃないか」と思っちゃうことってあると思うのですが、葉一さんならどうですか。
葉一さん:
子どもたちが何かになりたいと言った時に、理由を聞けばいいだけなのかなと思います。そこにどんな想いがあって、どんな熱量があるのか。詳しく聞いたら「これはすぐ心変わりするな」というときは大体わかるじゃないですか。
たとえば昆虫が大好きな子がいてそれを仕事にしたいと言われたら、「たしかに小さい頃から昆虫の本いっぱい読んでたから情熱はありそうだな」と思っても、昆虫の仕事なんて思いつかないじゃないですか。でも「自分はこういう昆虫の研究をして、こういうものを商品にしたら行ける気がする」とまで言われたら応援したくなりませんか?
その子によって状況や想いもさまざまです。子どもが抱く興味関心に対して「ママやパパの知らない世界を教えて」と、自分が目線を下げて話を聞く。それだけでも、その子どもの想いが大きくなるきっかけになることだってあると思うので、まずは子どもの想いに耳を傾けることが大切だと思っています。
――葉一さん、ありがとうございました!