【子育て対談】賢いっていうのは人生をわくわくして生きること - 東大名誉教授 汐見先生 × ワンダーファイ代表 川島氏 -
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これからの予測不可能な社会を生き抜く子どもを育むために、親としてどのような教育を選べばよいのでしょうか。子どもの知的好奇心を伸ばし、学ぶことにわくわくしながら成長していくための方法について、東大名誉教授であり教育学、教育人間学、育児学の専門家である汐見先生と、世界150カ国で人気の知育アプリ「シンクシンク」の開発者であるワンダーファイの川島氏が対談しました。
対談者プロフィール紹介
「令和をわくわく生き抜く子ども」を育てるために
時代の変化に伴って価値観が多様化する今、子どもには予測不可能な社会を生き抜くための力を身につけてほしいと考えるママやパパも多いのではないでしょうか。
教育や子育ての専門家の立場で、多くの親子を見てきた汐見先生にお話を伺いました。
今の時代、「これだけやっておけば大丈夫」なんて無い
汐見先生:
現代ほど変化の激しい時代は人類の歴史上ないかもしれません。社会の基本的なあり方、行動の仕方やそれを支える価値観が、今、ものすごい勢いで変わっています。
このような時代に子育てをすることは、簡単なことではありません。
というのも、社会の変化が小さいときは、将来どういう生活をするようになるのかを見通すことができるので、親が「これだけやっていれば大丈夫」と思ったことを子どもに身につけさせたらいい。
でも今のような時代の変革期において、大人も将来の社会が見通すことが難しくなっています。親も学校も「これを覚えても、将来役に立つかな?」と疑問を抱きながら子どもに接していることもあるのではないでしょうか。
親の「これだけやっていれば大丈夫」は信憑性がなくなってきているのです。
――今の時代、子育ての難しさを感じるのは社会の変化の激しさが原因なのですね。そんな中、子育てにおいて普遍的な大切なこともあるのでしょうか。
汐見先生:
大きな変化に伴って社会の表層は変わっていきますが、その根底に流れている水路は変わりません。人にとって大切なことはいつも普遍的です。
変化が大きい時代だからこそ、長い歴史の中で人間が大切にしてきたもの、根底の部分で人間が求めているものを見ようとすると「大切なこと」がわかるかもしれませんね。
「何とかしよう」は人間の賢さの出発点
汐見先生:
人間がいちばん賢かったのは、自然の厳しさと向き合い共生するための知恵を編み出した数千年前だといわれています。限られた自然条件の中で生活の術を編み出し、エジプトや中国で文明が生まれました。
人類は、当時の生活を続けるより、冬の寒さに上手に耐える方法や、食料を安定的に確保するための技術を考え、なんとかしようとしました。こうして必要性を見つけていくのが、人間の賢さの出発点です。
そして、「もっときれいなものを作ってみたい」「もう少し楽しくしてみたい」という、ある種純粋な好奇心を持った人間が、必要なものを編み出した上に工夫してきたのが人類の歴史です。
そうした歴史的背景から、人が賢くなるきっかけは「必要性を感じる」「もっと楽しくおもしろくしたい=好奇心」の2つといえます。
まずベースに「必要性を感じる」ことがあり、その上に「好奇心」が積み上がることで、より豊かになっていくのではないでしょうか。
何度失敗してもいいんです、試行錯誤を見守ることが大切です。
子どもたちから、遊びの世界で生まれる必要性や、「もっとおもしろくしたい」という好奇心を持つ機会を奪ってはいけません。
まずは子どもが「何とかしよう(必要性)」と感じ、そこから「知的な好奇心」を育むことがポイントです。
受動的インプットが多い今の時代、どう知的好奇心を育む?
インターネットやゲーム、YouTubeなどから始まり、塾や習い事など大量の情報を受動的にインプットする環境が当たり前の現代、子どもの「好奇心」を育むにはどうしたらよいのでしょうか。
「学ぶおもしろさを知ること」=「わくわく生きること」
汐見先生:
最初の段階はとにかく何でも好きにやらせてあげること。特に幼児期から小学校低学年の時期はとても大事です。「好きにやっていいよ」「どんなおもしろいものができた?」と声かけてあげてください。
今の時代の子どもは受け身といわれていますが、いい図鑑や参考になる動画がたくさんあるので、子どもが一度主体的になったらとことん夢中になれるのが今の時代のすごさです。知的好奇心に夢中になる度合いに関しては、昔の比較になりません。
子どもが自分でどんどんできるし、教える側の教え方も上手になっています。子どもの頭と体が柔軟なうちにうまく伸ばせばいいと思います。好奇心を持ってなにかに挑むのは、昔よりはるかにおもしろい時代です。
子どもという概念を変えないといけない時代なのかもしれません。子どもは、好奇心を持って世界を自在に表現していく表現者。それをサポートするような教材や知的刺激を与えてあげると、おもしろい子どもたちが育っていくでしょう。
好奇心を持った子どもが作り出す未来は、想像以上にすてきな未来
――親として、つい「子どもにこうなってほしい」と期待してしまいますが、川島氏はどのような思いで「子どもの好奇心を育む」教材の開発をされているのでしょうか。
川島氏:
「将来こんな時代になるからこういうことを教えないといけない」という仮説は、教育にはある程度必要かもしれません。
でも最近は、その時代のその社会にしか通用しない教育が本当に必要かどうか、疑問を持つ人が増えていると感じます。それより、汐見先生がおっしゃったような「人が本来あるべき姿、人類が何千年もかけて築いてきたこと」に向かってきているのではないでしょうか。
子どもが好奇心を持ち、その結果、彼らが作り出す未来は、大人が想像するよりはるかにすてきな未来だと思います。だから私は、子どもが全力で好奇心持つことができる教育を届けたいと思って教材をつくっています。
その根底にあるのは「子どもに将来こうなってほしい」という思いではなく、汐見先生と同じく「大切なことはどの時代も変わらない」という感覚です。
世界でも稀な「考えることがおもしろくてしょうがない」文化
川島氏:
日本がかつて明治維新の大変革をどう乗り越えたかについて「江戸時代の豊かな文化的土壌のおかげだった」という仮説があります。
たとえば「塵劫記(じんこうき)」という教科書兼パズル本のような書物、また武士などの特権階級だけでなく農民や町民もその解き方を論じ合うような「算額(さんがく)」など、文化的土壌がありました。そのおかげで日本は明治維新や戦後も乗り越えられたのではないか、という説です。
現在、日本で鉄道が正確な時刻通りに動くのも、江戸時代の長い年月をかけて育まれた文化的土壌があるからかもしれません。
汐見先生:
江戸時代のように、子どもたちも含めて問題を論じ合う寺子屋の存在や、密かに勉強している集団が出てくるなど「考えることがおもしろくてしょうがない」という文化は、世界的に見ても稀かもしれません。
人間が少しずつ賢くなっていくのが楽しい、そういう文化が根付いた江戸時代は知的好奇心をくすぐる教材や文化が豊かで、みんなで答えを探し合うのがとても楽しかったのでしょうね。
「ワンダーボックス」に込めた想い
――川島氏が開発した、子どものわくわくや能動性を引き出す「ワンダーボックス」の意図について教えてください。
川島氏:
子どもは「思考力を伸ばしたいからやる」のではなく、ただおもしろいからやります。世の中にこんなおもしろいものがある、という体験を幼少期からリアルな体験として味わってもらって、「こんな楽しみも、こんな楽しみもある!」ということを子どもにできる限り伝えているのが「ワンダーボックス」です。
主体的じゃない子どもはいません。どの子どもも能動性を持っています。
試行錯誤して自分で発見した子がぐんぐん伸びていくので、「ワンダーボックス」では試行錯誤の大事なところに手を出さないようになっています。
汐見先生:
最初に公式を教えてしまうと、子どもはなんでも公式にあてはめるようになってしまいます。試行錯誤する子の方が断然伸びる。答えを正しく求めるより、考えることが大切です。
川島氏:
そうですね。自分で考えて答えを出すことをおもしろいと感じてほしいです。それが正解でなくてもいい。間違えることを怖がらず、挑戦することを楽しんでほしいと思っています。さらに「ワンダーボックス」には、子どもが自分で問題を考える、という問いもあります。
汐見先生:
それはおもしろいですね。問題を解くという行為は、誰かの作った枠の中にいるということ。自分で問題を考えるのは教育的にも素晴らしい。「自分だったらもっとおもしろいものを作れそう」と夢中になるでしょう。
何かを解決することは人間の知性のひとつですが、問題を作り出す方がはるかにおもしろいでしょうね。そうして学びを遊び化していくのは、とても大事です。作った問題を誰かと解き合うのはさらに楽しい体験になるでしょうね。
毎月わくわくする教材が自宅に届く
「」は子どもの知的成長を刺激するSTEAM領域の通信教育です。
プログラミング・図形・アート・理科実験など、家庭でやるにはちょっと難しい、さまざまな体験ができる教材が自宅に届きます。「デジタル」と「アナログ」のハイブリットで、最高にワクワクするSTEAM教材が子どもたちの思考力と創造力を育みます。
子ども一人で取り組むことが多いですが、解けない問題があると、「ママ、ちょっとやってみてよ」と持ってきて、「こうかな?」「できたね!」と家族団らんの場でもやっています。
ワンダーボックスを始めてから、いくつかある教材の中でも「これが好き!」と思う気持ちが、子どもの中にもはっきりと芽生えたようで嬉しいです。
汐見先生:
「ワンダーボックス」は、もちろん親子で楽しめる内容ですが、親がずっとつきっきりになる必要もなさそうです。
お母さんやお父さんは「なにかやってるみたい」というくらいのスタンスで見守るのがいいかもしれません。
ただ、大人にとってもいい頭の体操になるかもしれないので、家族みんなでチャレンジしてみてもおもしろそうですね。
それと、インターネットで他のユーザーとつながり、対戦や協力ができるのもいいですね。
川島氏:
普段は子どもだけで取り組みつつ、休日には家族みんなで楽しんでいます、という声もいただいています。対戦や協力を通じて「相手がこうするだろうからこっちはこうだ!」という相手の立場になって考えることなども育っていきます。
保護者サポートも充実!
「ワンダーボックス」には保護者向けの情報サイト「ファミリーサポート」があり、教材を最大限に活用するための情報も充実しています。
毎月の教材の内容を紹介したり、解答やヒントなど、ご家庭での声かけやコミュニケーションに役立ちます。
子どもの年齢で記事を検索できるだけでなく、「子どものやりたい!を大事にしたい」「時間を決めて毎日の生活に取りいれたい」などご家庭それぞれのスタイルでの取り組み例も紹介されているので、初めての方も安心です。
学びを遊び化する最高のツール
遊びとして取り組むうちに、どんどん知的好奇心やわくわくしながら考える力が伸びる「ワンダーボックス」。これからの時代を生き抜く子どもに必要な学びや力が、遊びの中で身につきます。
汐見先生:
学ぶということは、本来おもしろいことのはずです。点数や成績などの「評価」を気にせず一生懸命考えることは、とてもおもしろいのです。
「ワンダーボックス」の教材からは、苦手な子が多いといわれる数学がより楽しい分野であることも伝わってきます。考える練習がたくさんできるので「考えて答えを出すのがこんなに楽しい」ということに子ども自身が気づくでしょう。
こんなにおもしろおかしく学ぶことができる教材を開発し続けたら、学校もやがてその重要さに気づいて導入を検討するかもしれません。そうなると学校教育も「学ぶということはこんなおもしろい」という方向性に大きく変わるでしょうね。
そういう意味でも、「ワンダーボックス」に大きな期待をしています。
川島氏:
ありがとうございます!
汐見先生もおすすめの「ワンダーボックス」に興味のある方は、ぜひ無料の資料請求をしてみませんか。
教材「思考力ワークブック」がもらえるだけでなく、教材の一部も体験できるので、子どもが本当に楽しめるかお試しいただけます。
最初の1ヶ月は「ワンダーボックスやる?」と声をかけることがありましたが、今では幼稚園から帰宅すると自分から取り組むようになりました。
幼稚園の後はワンダーボックスというのが生活のリズムになっているようです。