中学受験の専門家が考える「6歳までにしておくべきこと」と、幼児期の英才教育について

中学受験の専門家が考える「6歳までにしておくべきこと」と、幼児期の英才教育について

2017.06.20

Profile

西村則康

西村則康

教育研究家/家庭教師集団「名門指導会」代表

教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。

子どもにとって中学受験はまだ先のこと、と考える方も多いと思いますが、本当にそうなのでしょうか。実は中学受験の準備として、幼児期にしかできないことがあるそうです。今回の記事は、40年中学受験に関わる西村則康先生に「6歳までにしておくべきこと」と、幼児期の英才教育についてご執筆していただきました。

中学受験に関わって40年

たくさんの親子の悩みに寄り添って

皆さん、こんにちは。

塾ソムリエの西村則康と申します。

「塾ソムリエ」と聞いて、すぐにピンときた方はあまりいないのではないでしょうか。

私が「塾ソムリエ」と呼ばれるようになったのには、ある理由があります。

それは、中学受験を目指しているご家庭の多くが抱えるお悩みに関することです。

私は中学受験を専門とする塾の講師を経て、現在は「名門指導会」という家庭教師集団を率いています。もう中学受験に関わるようになって40年になります。


その40年の間に、中学受験の世界は様変わりしました。


かつて御三家と呼ばれる最難関中学校で出題された問題は、進学塾のテキストにとり入れられ、何年か後には「練習問題」として多くの子どもたちにとって「解くべき問題」として扱われます。

かつては「みんなが初めて見た」問題が、数年後には「解けて当然」のように扱われていく。そんな問題をどんどんとり入れていく塾のテキストは、年々分厚くなるばかり。


塾の選び方や使い方が多様な時代に

また、ライバル塾に負けないために、「◯◯特訓」「□□特別テスト」など、講座やテストもどんどん増えます。


もはやどの塾に行けばいいのか、そしてその塾に通うなら、テキストやテストにどう対応すればいいのか、よくわからなくなってきています。


誰かが塾の選び方、使い方をお教えしなければならない状態だったのです。

幸い私は家庭教師として、様々な塾に通う、様々な環境のご家庭にお邪魔する仕事柄、「このようなご家庭のこのようなお子さんなら、◯◯塾を選んで宿題はこれとこれをやれば最も効果上がる可能性が高い」といったアドバイスができる立場にあったので、「塾ソムリエ」と呼ばれるようになったのです。

「幼児のうちにしておけばよかった」

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前置きが長くなってしまいましたが、そんな中学受験の専門家の私が、小学校高学年のお子さんを指導していて感じることがあるのです。

それは、


「もっと早いうちにこんなことをしていればよかったのに」

「小さな頃にこんな経験をしておけば、もっと伸びる子になったのに」


といったこと。

でもそれを、すでに小学校の高学年になったお子さんに言っても、しょうがありません。

その時点で最も効果的なこと、成果が出そうなことを教えてあげることはできますが、過去に戻ることはできません。

そこで、ここでは皆さんに、お子さんが小さいうちにぜひ試しておいていただきたいことをとり上げていきます。

幼児向けの英才教育は…

では、小さいころからうんと英才教育をして将来に備える、といったことなのかというと、ちょっと違うんです。

どちらかというと、巷にあふれるいわゆる「早期英才教育」に飛びつくことは、あまりお薦めしていません。

お子さんが生まれてきたときには、ただただ健康であることを願い、喜んでいたはずのお父さん、お母さん。でも中には、ある時からこんなことを考え、感じ始める方がいるようです。


「将来、勉強で困ってほしくない」

「先々中学受験をすることになっても対応できるように、早いうちから準備しておかなければ」

「今のうちから先取り学習をやらせておけば、あとあと楽をさせてあげられそう」


そんなとき目に飛び込んでくるのが

「◯◯法早期教育」
「◯◯式英才教育」

といった、魅力的なフレーズ。

気がついたらお子さんの一週間は習い事で埋め尽くされていた、というお話も聞きます。

このような、いわゆる「早期英才教育」のすべてが悪いわけではないのでしょうが、私がお父さん、お母さんにお薦めするのは、そんな難しい英才教育ではなく、もっと簡単に普通の家庭のお父さん、お母さんに取り組んでいただけることです。

そして、ちょっとした心がけだけで、先々大きな違いが出てくることなのです。

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幼児期こそ「数量感覚」を

手をどんどん動かそう!

特に小学校に上がる前の時期は、どんどん手を動かしてほしいと考えています。

手指の動きが脳を活性化することは知られていますが、それだけでなく様々な効果があります。

たとえばおはじき遊び。お子さんはおはじきを並べたり、はじいたり、年齢によって様々な遊びをすると思います。

それ自体もいいことなのですが、数が数えられるようになってきたら、ぜひ試してみていただきたいことがあります。


数量感覚を身につける

たとえばお子さんがおはじきを3つ並べていたら「あと何個で5つになる?」と質問するのです。

お子さんによっては、右手で3つ数えて、左手を「4、5」と指折り、「2つ!」と答えるかもしれません。

正解ですね。

でも、指折らずに答えるお子さんもいます。

指折って数えているお子さんにとって、数字は「順番を表すもの」です。

でもこれを指折らずに答えるお子さんは、5という「量」を表すものとして数字をとらえているのです。

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3という「量」を5という「量」にするためには、2つ付け加える必要がある、と視覚的に捉えているのです。

決して、


5 – 3 = 2


の計算を早くできるように教えましょう、と言っているのではありません。

数は「順序」だけでなく「量」も表すのだという感覚を身につけると、小学校高学年になったとき、数量感覚を伸ばすのに生きてきます。

ただ、今お子さんが指折っているからといって、その状態を否定する必要はありません。その段階も必要なことだからです。

少しずつ、おはじきなどをよく見させて、練習させてあげてください。


次は「合わせて10」に挑戦

「合わせて5」が感覚的にわかるようになってきたら、次は「合わせて10」にチャレンジです。

この感覚が身についていると、小学校で「繰り上がりのある足し算」を習うときに、指を使わず計算できます。

何より「数量感覚が身についている」ということが大きい。算数全般に役立つ力です。

小学校の学年が上がっていったら、「あといくつで100になる?」といった感覚も身につけるとよいですが、そのときのベースになるのも「合わせて10」の感覚です。

算数が好きになるきっかけに

こうやって説明してきましたが「早くできるようにならないと!」と焦る必要はありません。幼いころのお子さんは特に個人差が大きく、


できるようになるタイミングはそれぞれです。


親子で楽しみながら、ゆっくりと身につけさせてあげるといいですね。

お父さん、お母さんが楽しみながら、笑顔で算数に付き合ってくれれば、お子さんはきっと算数が大好きな子どもになるはずです。

お子さんは、お父さん、お母さんが笑顔でいることが何より嬉しいことだからです。ぜひ、笑顔で取り組んでみてください。

執筆:西村則康

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西村則康

教育研究家。家庭教師集団「名門指導会」代表。中学受験ポータルサイト『かしこい塾の使い方』主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」として、塾の活用法や塾選びなどの受験ノウハウを世に送る。テレビ、新聞、教育雑誌などで活躍中。おもな著書に『いちばん得する中学受験』(すばる舎)、『中学受験基本のキ!』(日経BP社)、『頭のいい子の育て方』(アスコム)、「中学受験は親が9割」シリーズ(青春出版社)など、20冊を超える著書がある。

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