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海外の英語教育はどうなっている?日本の英語教育における課題と海外の成功例を見てみよう
英語圏以外の国や地域では、日本同様に子どもを対象とした英語教育が実施されていることが多く見受けられます。中には子どものころからの英語教育が成功し、国民の大多数がバイリンガルになるという国もあるのだそう。我が国においても長年英語教育がされてきましたが、現状英語を話せない大人が多いのはなぜなのでしょうか。日本の英語教育における問題点と、海外の成功例を紹介します。
日本の英語教育における問題点とは?
これまでの日本における英語教育は「英語によるコミュニケーション能力を身につける」という目標を掲げながらも、目標に即した取り組みがされていなかったという指摘があります。
中学・高校における英語の授業は文法や語彙などの知識を増やすことが中心でした。そのため、高校を卒業する時点で6年間英語を学んでいるにもかかわらず、実生活では英語を使えない大人が多いと言われています。
こうした状況を改善するために、文部科学省では英語教育改革を推進しています。具体的な取り組みとしては小学3年生からの英語教育を必修とし、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成に重点を置いた授業をすることなどが挙げられます。
今は子どもたちが英語に親しむ環境を整えて、コミュニケーションの手段として使えるようにしていこうという時なのかもしれません。これからの英語教育を考える上で、日本の学習スタイルにどのような問題点があるのか見ていきましょう。
英語教育の開始が遅かった
前述のとおり、英語の授業は、従来中学1年生から必修とされていました。
しかし、言葉を聞き取る能力を習得しやすい時期は10歳〜12歳ごろまでといわれています。中学1年生ではすでにそのタイミングを過ぎており、英語教育を始めるタイミングとしては遅かったのかもしれません。
しかし、2020年から小学3年生からの英語の授業が必修化されました。この点は改善されつつあるのではないでしょうか。
受験が目的になりがち
日本の英語教育はペーパーテストで点数を取るための暗記が中心になりがちと言われています。定期試験や受験に成功することをゴールと捉えやすいのかもしれません。そのため「慣れるためにとにかく使ってみよう」という気持ちが起こりにくく、失敗や間違いを恐れやすいことも懸念点ではないでしょうか。
それが数字としても表れています。中学2年生に対して2014年度に行なわれた文部科学省の調査では、「エッセイなど、ある程度まとまりのある文章を書くことができている、ほぼできている」との回答は33.6%、「ディベートやディスカッションをすることができている、ほぼできている」との回答は20.7%でした。
試験や受験などで、エッセイやディベート、ディスカッションなどの自己表現を求められることは少ないでしょう。だからこそ、その習得が優先されることが少なく、高く自己評価できるレベルになっていないと考えているのかもしれません。
教員の指導にばらつきがある
前の項目で紹介した調査において、教員の指導にも課題があることが分かりました。
「自分の意見や考えを英語で伝えるための指導をしている」と回答した教員の割合は少なく、中でもディベートやディスカッションを「よく行う・ときどき行う」と回答した教員は34.7%という結果です。
教員の指導にばらつきがあることで、実践的な英語のスキルに差がつくことがあるかもしれません。
海外の英語教育の例を見てみよう
日本の英語教育におけるさまざまな課題について考えてきましたが、子どもたちの英語教育に力を入れている国ではどのような取り組みをしているのでしょうか。
中国
中国では小学3年生から外国語教育が始まります。小学校・中学校・高等学校のいずれにおいても授業は週4回以上。授業時間は1コマ40分ですが、小学3年生・4年生は1コマ30分の時短授業がメインです。小学3年生・4年生では、アルファベットと単語の筆記や簡単な物語の聞き取りや朗読、5年生・6年生では、あいさつや簡単な対話、異国の文化や習慣などを授業で学びます。
中学校では、資料や簡単な物語の読解や作文の他、第三者との情報交換や自分の意見を述べるといったことが学習の中心。高等学校では、英語で招待状や通知状などの実用的な文章を作ったり、英語が母国語である人と自然に交流したりといったカリキュラムが組まれています。
韓国
韓国においても、小学3年生から英語の授業が始まります。1コマ40分で、3年生・4年生は週2コマ、5年生・6年生は週4コマを受けます。小学校の授業では、英語に対する興味・関心を持つことや、日常生活で使用する基本的な英語を理解し表現する能力を身につけることが目標です。
中学校・高等学校における英語教育の目標は、英語による意思疎通能力を養うことや外国文化の受容、韓国文化を紹介するスキルを身につけることとされています。
発音や会話、作文など、実際に英語を使う場面を想定したカリキュラムが多いことが特徴です。
シンガポール
第二言語として英語教育を実施しているシンガポールでは、1970年代から北京語、マレー語、タミール語以外の授業が基本的に英語で行われています。これは小学校1年生から適用されており、英語教育の時間として換算されます。
小学校では英語の聴解・読解・発話・作文・文法・語彙を学び、中学校は小学校の発展形、高等学校は中学校の発展形で英語を学んでいくということです。
子どもの英語教育に海外の良いところを取り入れよう
日本においても子どもの英語教育は整いつつありますが、今回紹介した諸外国と比べると遅れをとっている部分があるのではないでしょうか。
力を入れている国々の英語教育には「早期教育」「十分な学習時間」「実用性のある学び」といった共通点が見受けられます。お子さんの英語教育を考える際には、海外における英語教育の特徴を取り入れてはいかがでしょうか。