【産婦人科医監修】妊娠中に料理酒やみりんは使っても大丈夫？影響について

外食で料理酒が入っている食事を食べてしまったり、料理をしているときに料理酒が沸騰する前に味見をしてしまったりすると、赤ちゃんに影響はないかと心配になるママもいるかもしれません。

妊娠中の飲酒は、流産や死産に繋がる可能性や、お腹のなかの赤ちゃんが発達障害や奇形になる「胎児性アルコール症候群」を引き起こす可能性が高くなるといわれています。そのため、妊娠中の飲酒は控えるべきですが、料理酒も使用しないほうがよいのでしょうか。

今回は、料理酒の影響や料理酒やみりんを使う際の注意点について解説します。

妊娠中に料理をするとき、料理酒を使ってもよいのか、料理酒の加熱中に出る湯気に、アルコールは含まれていないかなど、アルコールに敏感になるママは多いでしょう。

妊娠中に料理酒を使用しても、お腹の中の赤ちゃんに影響はありません。

アルコールは78.3度で蒸発します。加熱すると料理酒のアルコール分は飛びます。煮立って湯気が出る頃には、アルコールは蒸発しているので、妊娠中の料理酒の影響を気にする必要はありません。

十分に加熱しない料理もありますが、料理酒は少量しか使わないので、アルコールが完全に蒸発していなくても、そのまま食べて問題ありません。

料理酒は肉や魚の臭みを消す効果があるため、臭いに敏感な妊娠中は、料理酒を使って臭みを抑えようと考えるママもいるかもしれません。

妊娠中に料理酒やみりんを使うときの注意点を解説します。

料理酒とみりんの違い

そもそも料理酒とみりんの違いとはなんでしょうか？

和食を作るときに頻繁に使用する料理酒とみりんは、どちらもアルコールを含んでいて、料理にコクやうまみをプラスしてくれる調味料です。料理酒とみりんの違いは、糖が含まれているかどうかです。

料理酒は、米、米麹、食塩などを主原料とし、糖が含まれていません。料理に使用することで、食材を柔らかくしたり、臭みを消したりする効果があります。

一方、みりんは、米、米麹、焼酎や水あめなどが原料とされています。みりんにはいくつか種類があり、その種類によって原料やアルコール分が異なります。みりんには糖が含まれていて、料理に甘みを加えて、てりやつやを付けてくれます。

入れすぎない

※日本産婦人科医会の資料によると、妊娠中の飲酒量の安全な目安量は確立されていないため、料理酒やみりんを使うときは、量に注意しましょう。

アルコールを多量摂取すると、流産や死産などに繋がり、妊娠の経過を悪化させるリスクがあるだけでなく、お腹のなかの赤ちゃんが発達障害や奇形になる「胎児性アルコール症候群」を引き起こすリスクが高まります。

アルコールは、料理酒のほかにも、和食に使用する頻度の高いみりんにも含まれています。レシピに書いてある料理酒の量よりも少なめに入れたり、料理みりんが入る場合は、日本酒を半分の量に減らすなどの工夫をするとよいでしょう。

みりんには糖が含まれているため、妊娠中の体重が気になるママは特に量に注意しましょう。

妊娠中の料理酒やみりんの使用は、少量であれば問題ありませんが、摂りすぎないように意識することが大切です。

十分加熱する

料理酒のアルコール分を飛ばすには、十分に加熱する必要があります。料理酒は水より早く蒸発するので、加熱する料理の場合は、料理酒のアルコール分は気にせずに使用してよいでしょう。

和え物や酢の物など、加熱をしない料理に料理酒を使用する場合は、しっかり煮切りをすることが大切です。煮切りとは、鍋や電子レンジで料理酒を煮立たせ、アルコールを飛ばすことをいいます。

加熱することでアルコールが飛ぶだけでなく、お酒のにおいも残らないので、妊娠中のママも安心して料理酒を使用できるでしょう。

調理中は換気をする

料理酒を使ったときに出る湯気がお腹のなかの赤ちゃんに影響を与えることはありませんが、湯気を吸いこむと妊婦さんが気持ち悪くなる場合があります。

換気扇を回したり、窓を開けたりして換気を心がけたり、休みやすみ料理をするなどして、気分が悪くならないように工夫できるとよいですね。

早めに入れる

レシピによって料理酒を入れるタイミングはさまざまですが、できるだけ早めに入れるとよいでしょう。

加熱する料理を作る際は、早めに加えることで加熱時間が長くなるため、アルコールをしっかり飛ばせます。料理酒のアルコールを過度に気にする必要はありませんが、タイミングを工夫すると妊娠中のママでも安心して料理酒が使えます。

原料とアルコール度数を確認する

料理酒には、清酒や合成清酒などさまざまな種類がありますが、妊婦さんは、米や米麹、水を原料に作られている清酒を使用することをおすすめします。

料理酒によっては、糖類や酸味料などの添加物を含むものもあるので、購入する際は、原料の確認を忘れないようにしましょう。

塩分の摂取量が多いと、妊娠高血圧症候群を引き起こすリスクが高まるため、添加物だけでなく、食塩が含まれない料理酒を選ぶことも重要です。

アルコール度数は13度から15度程度の料理酒が多いですが、中には、10度程度に低く抑えたものもあります。できるだけアルコール度数の低いものを選ぶようにしましょう。

今回の記事では、専門家である産婦人科医の杉山太朗先生監修のもと、料理酒の影響や、妊娠中に料理酒やみりんを使う際の注意点をご紹介しました。

妊娠中の飲酒は、流産や死産に繋がる可能性や、お腹のなかの赤ちゃんが発達障害や奇形になる「胎児性アルコール症候群」を引き起こす可能性が高くなるといわれています。そのため、料理酒やみりんを使ってよいか気になるママも多いでしょう。

料理酒やみりんを使った料理や、料理酒などのアルコールを含んだ湯気は、お腹のなかの赤ちゃんには影響がないため、妊娠中でも使用できます。

ただし、妊娠中の飲酒量の安全な目安量は確率されていないため、料理酒やみりんを使うときは、量に注意が必要です。アルコールの大量摂取は、「胎児性アルコール症候群」を引き起こすリスクが高くなります。

料理酒はさまざまな種類がありますが、無添加やアルコール度数の低いものを選ぶと、妊娠中でも安心して使うことができます。

妊娠中のママが料理酒やみりんを使用するときは、少量を調理中の早めのタイミングで入れ、十分に加熱することが大切です。湯気で体調が悪くならないように、しっかりと換気をしながら料理しましょう。

監修：杉山太朗（田園調布オリーブレディースクリニック）