過程が見えない不妊治療、可視化で不安を取り除く「加藤レディスクリニック」の取り組み<後編>

過程が見えない不妊治療、可視化で不安を取り除く「加藤レディスクリニック」の取り組み<後編>

体外受精のなかでも、心と体にやさしい「自然・低刺激周期」を採用している「加藤レディスクリニック」。後編では、2人目、3人目不妊の治療のポイントや通院のストレスを軽減する工夫、不妊治療で「加藤クリニック」が大切にしていることなど、引き続き竹島先生に聞きました。

2人目、3人目不妊は前向きな治療を

「加藤レディスクリニック」では、過去に1人目の不妊治療を受けた方が、2人目や3人目の不妊治療でも訪れることが多いといいます。2人目、3人目不妊の治療のポイントについて伺いました。

竹島先生
竹島先生

2人目、3人目不妊の場合は1人目を出産された後なので、おのずと年齢が高くなります。この部分はクリニックの頑張りどころですね。

治療期間が長くなる可能性はありますが、出産歴があるという前向きな状態であること、しっかりと計画を立てて進めれば年齢にもよりますが妊娠の可能性も高いことをお伝えしています。

1人目の出産のあとすぐに来院する場合や、2人目で再度タイミング法や人工授精を試してから来院する場合など、2人目、3人目不妊の場合の来院のタイミングは人それぞれ。患者さんの状況にあわせて治療計画を立てていきます。

竹島先生
竹島先生

基本の治療方針は1人目も2人目以降も変わらないですが、1人目の不妊治療を当院で受けている場合は、1人目から2~3年くらいの期間であれば、1人目のデータを参考に治療計画を立てる場合もあります。治療でうまくいった内容も活かしながら治療を進めていますね。

2人目、3人目の不妊治療は前向きな状態であるとと同時に、2人目、3人目不妊ならではの難しさもあります。

竹島先生
竹島先生

1人目を出産されていることもあり、1人目不妊のときよりも精神的には余裕がある方が多い印象です。一方でお子さんの預け先に悩む方が非常に多いですね。

ご夫婦での来院が必要なタイミングもあるので、その場合は預かってもらうか交代しながら診療を受けたりなど、工夫して通院いただいています。

万が一預け先が見つからなかった場合、患者さんの状態によっては都合がつく日に採卵日をずらすということも場合によっては可能です。採卵に支障がないことを最優先に、可能な限り子育てしながらでも通いやすいように配慮しています。

仕事の合間や遠方からも受診できるオンライン診療

採卵日の調整など子育てしながら通いやすいような工夫のほかにも、オンライン診療を取り入れることで通院のハードルを下げています。

共働きや2人目、3人目妊娠の場合は特に、夫婦でのスケジュール調整が難しいことも。「加藤レディスクリニック」では、遠方から来院する方がいることもあり、オンライン診療を利用する方が多いのだそうです。

竹島先生
竹島先生

本人確認と治療方針の説明があるので、1回はご夫婦そろって来院いただく必要があります。

それ以外は、オンライン診療が可能です。女性の場合は内診や血液検査などがあるので、オンライン診療のみで済むことは少ないですが、男性の場合は精液検査がある場合を除き、説明のみの診療が多いのでオンライン診療を利用される方が多いですね。

イメージ画像
※写真はイメージ(iStock.com/mapo)

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予約から会計までストレスフリーな「KLCアプリ」

さらに、加藤レディスクリニック公式の「KLCアプリ」も、患者さんの通院時のストレスの軽減につながっています。

竹島先生
竹島先生

「KLCアプリ」の導入前は、採卵日の来院時間の連絡や受精したかの確認は電話でやりとりする方法のみだったので、混み合ってなかなかつながらないこともありました。

そこでより利便性を高めるためには、すべての機能を集約させることができるアプリの開発に至りました。

アプリ画面
加藤レディスクリニック公式アプリ 出典:加藤レディスクリニック HP

予約から来院日時の確認・変更まで一元管理が可能。来院時には院内呼び出しがアプリのプッシュ通知で届くので、見逃すこともありません。

また、卵子の培養状況を「タイムラプスインキュベーター」(※注)で撮影された写真とともに、確認することができます。

事前にクレジットカードを登録しておけば、アプリからクレジットカード決済を利用することができ、会計を待たずに帰宅できるのも便利。

アプリ内では不妊治療の基礎知識やQ&Aを確認することができるので、困ったときも安心です。

※注:「タイムラプスインキュベーター」とは、「加藤レディスクリニック」と「ヴィトロライフ株式会社」が共同開発した受精卵を育てる最新型の培養器。培養器内にカメラが内蔵されており一定時間ごとに受精卵を撮影。連続写真のように受精卵を観察することができる。受精卵を培養器から外に取り出して観察しなければならなかった従来の「インキュベーター」と比べ、胚盤胞(受精卵)の発生率や妊娠率の向上などが実証されている。

初診待合室
加藤レディスクリニック 初診待合室
竹島先生
竹島先生

「KLCアプリ」は患者さんからも好評です。土日だと会計を終えるのに最大1時間ほど待っていただいていたのが、今ではゼロです。アプリ導入前から通っていただいている患者さんは、特に驚いていますね。

患者を最優先に、本当に意味のある不妊治療を届ける

最新の技術やツールを取り入れ、患者さんに寄り添いながら結果を出す「加藤レディスクリニック」。開院から30年間、人々のほとんどが不妊治療を知らない時代から不妊治療に着目し、独自の治療に取り組むなど不妊治療を牽引する存在として駆け抜けてきました。

時を経て不妊治療への認識が変わり、その必要性は高まり続けています。そのような現状でいま、改めて大切にしたいのは患者さんにとって本当に意味のある治療を提供することだといいます。

竹島先生
竹島先生

不妊治療が認知されてきたことにより、いろいろな治療方法や検査、医療機器が新たに開発されています。

当院の院長である加藤の考えでは、それをすべて安易に導入するのではなく、使ってみたりデータを見たりして実際に自分たちで確かめたのち、患者さんにとって本当に意味があると納得できたものを導入するようにしています。

どんなに不妊治療が進歩しても、意味がなければ患者さんの不利益となってしまいますから。

竹島先生

「加藤レディスクリニック」では、「タイムラプスインキュベーター」や高倍率で精子を観察し良好な精子を選別する「IMSI(イムジー)」をはじめとする、先進医療を提供しています。それらの先進医療も患者さんに本当に意味があるものを提供しているのだそうです。

竹島先生
竹島先生

不妊治療では現状、有効性が認められている治療のみが保険適用となっています。先進医療は、保険適用の対象になるか検討段階の治療です。そのため、より慎重にその有効性を確かめ導入する必要があります。

長年の経験や大切にしてきた信念を守りつつも、それだけにとらわれることなく、新しい技術や治療方法を試しながら時代やニーズにあわせた本当に意味のある医療を提供しています。

竹島先生
竹島先生

不妊治療では、採卵や胚移植など目に見えない治療が多く、どんな治療をされているかわからず不安に思う患者さんも多いでしょう。

当院では採卵や胚移植は患者さんもモニターで確認しながら進めるようにしていますし、「KLCアプリ」で卵子の様子も見れるなど治療を可視化しています。

モヤモヤしたまま治療を進めることがないよう、何事もクリアにしながら進めていきますので安心して相談にいらしていただければと思います。

竹島先生

「加藤レディスクリニック」では、長く不妊治療を行ってきた方も初めて不妊治療を行う方も、自身の心と体の声に耳を傾け大切にしながら、治療と向き合えるのではないでしょうか。

「加藤レディスクリニック」が実践、自然に近い形での妊娠を目指す体外受精の方法とは?<前編>

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2023.09.21

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