こちらの記事も読まれています
【助産師監修】授乳中食べてはいけないもの。食べ物と乳腺炎、アレルギーとの関係
Profile
授乳中に食べてはいけないものはあるのか迷うママもいるのではないでしょうか。食べ物が乳腺炎や赤ちゃんのアレルギーに関係するのか気になることもあるでしょう。そこで今回は、授乳中の食べ物についてNGなもの、気をつけた方がよいもの、最適な食事量、アレルギーや乳腺炎との関連性、先輩ママの体験談をまとめました。
食べたものが、母乳に影響するか
「食べたものが母乳に影響するか」気になるママは多いかと思いますが、結論としては、もし数カ月の間ママが食べるものを変えたとしても、母乳の栄養素は変わらないでしょう。
食べものは消化後、消化管や血管、肝静脈を通るほか、脂肪はリンパ管から胸管を通り静脈から心臓に流れます。その一方で、血液を材料にする母乳は乳腺体で作られます。
このように、母乳を作るところと食べものの栄養を運ぶ管は直につながっていないため、食べものは母乳に影響しないと言えます。
また、偏食や栄養不足、ストレスなどでホルモンバランスが崩れることによって、母乳の量が減ってしまうことはあるかもしれません。
そのため、暴飲暴食や過度な食事制限は控え、心身ともにストレスを感じにくいバランスのとれた食生活を心がけることが、母乳育児にとって特に大切でしょう。
授乳中にNGとされているもの
有害な成分が母乳に移行し、赤ちゃんに影響する可能性がある3品目について解説します。
アルコール
妊娠期は、禁酒が必須とされることが一般的ですが、授乳期に関しては、禁酒に努めるべきという意見や、適度に飲むことができるという意見があります。
厚生労働省の見解では、長期にわたって飲酒している場合には母乳分泌量が減少し、その結果として赤ちゃんの成長が抑制されてしまうようです。
また別の見解では、個人の体質や体調もあるため注意は必要ですが、飲酒後2時間半ほど経過すればアルコール成分が分解されるため、授乳をしても赤ちゃんにはほぼ影響はないという説も。
飲酒を控えるのがベストですが、どうしても飲みたいときに無理に我慢をするとストレスになることもあるでしょう。
ノンアルコール飲料でもよい場合は代用することも一つの方法です。しかし、ノンアルコール飲料でも微量のアルコールが含まれていることを知っておきましょう。やむを得ず飲酒が必要な場合は、飲酒後すぐの授乳はせずに酔い、眠気などアルコールの影響がなくなってからにする、飲む量を控えるなど、飲み方に十分注意するようにしましょう。
また、飲酒した日に赤ちゃんと添い寝はしないようにしたり、万が一飲酒後の授乳で、赤ちゃんの顔が赤くなる、よく寝るなど普段と様子が違う場合は、その後の飲酒は控えることも大切です。
たばこ
たばこに含まれるニコチンなどの有害物質は、母乳に移行すると考えられています。
赤ちゃんやママの健康に悪影響を及ぼすだけではなく、母乳の生産を低下させる原因にもなるでしょう。
受動喫煙や、髪や衣類に副流煙の成分が残っていても赤ちゃんには影響があるため、ママが禁煙するだけでなく、赤ちゃんが副流煙の影響を受けないよう家族や周囲のみんなで環境作りに気を配ることが大切です。
薬
薬によっては、授乳中の使用に適さないと考えられているものがあります。
体調不良やケガ、虫歯などで病院にかかる場合は、医師に「授乳中であること」を必ず伝えるようにしましょう。
薬の成分は、微量ながらも母乳に移行しますが、処方された薬を用法・用量を守って摂取する分には、赤ちゃんに影響する可能性は低いと言われています。
また、ママが薬を飲むのを我慢して、ストレスをためてしまうことは赤ちゃんや母乳継続のためにもよくありません。市販薬を飲んでよいか迷う場合には、自己判断せずに薬局などへ相談しましょう。
※参照:厚生労働省 たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
授乳中に気をつけた方がよいもの
授乳中、気をつけた方がよいと言われている食品について解説します。
カフェイン
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれているカフェインは、少量であればほとんど問題ありませんが、授乳中に多量に摂取すると赤ちゃんが不眠や興奮などの症状を起こすこともあるようです。
内閣府の食品安全委員会によると、授乳中の1日のカフェイン摂取量は「200㎎まで」と言われています(※)。
そのため、同じ日にコーヒーだけでなくお茶やコーラやガラナといった炭酸飲料、チョコレートなど、カフェインを含む食品を何度も摂っていると、1日の摂取量をオーバーしてしまうでしょう。
また、エナジードリンクの中には、コーヒーなどよりも多くのカフェインを含むものもあるため注意が必要です。
※参照:内閣府 食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04270080149
ファーストフードなどの加工食品
ファーストフードやインスタント食品などの加工食品には、食品添加物として使われているリン酸塩が含まれており、過剰に摂りすぎるとカルシウムの吸収を抑えてしまうことがあるため注意が必要です。
特に、腎機能に障害がある方の場合は、リンの尿への排出量が減り、血液中のリン濃度が増えてしまうこともあるようです。
カルシウムは、普段でも不足しがちな栄養素であり、授乳期には母乳を出すためにたくさんのカルシウムが失われます。不足するとママのイライラの原因にもなるため、意識して摂取する必要があるでしょう。
また、授乳中に甘い・辛い・油っぽいものを摂取することについては、適量を食べる分には問題ないでしょう。慣れないものを過度に食べすぎて、体調を崩さないよう気をつけることが大切です。
授乳中、魚は食べても問題ない?
妊娠中の名残から、授乳中も魚介類に含まれる水銀を摂らない方が良いと考えることもあるかもしれません。
水銀は、微量ながら母乳に移行することもあるようですが、厚生労働省の見解では、授乳中に関しては魚の摂取は特に制限する必要はないようです。
「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」によると、妊婦さんに対しては魚の食べ方を注意喚起していますが、それは胎児は水銀を排泄することができないからです。そのため、授乳中の方に対しては注意の対象にはなっていません。
魚は、良質なたんぱく質や血管障害の予防を抑制するDHA、トコサヘキサエン酸、カルシウムなどを含んでいるため、授乳中のバランスのよい食事には欠かせないものです。魚だけをたくさん食べるのではなく、ご飯や野菜、肉などさまざまな食品と組み合わせて食べるようにしましょう。
※参照:厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdfm
授乳中の最適な食事量は?
授乳中の最適な食事量についてご紹介します。
授乳中はたくさんのエネルギーと水分が必要
厚生労働省では、成人女性が1日に必要とするカロリーについて約2,000kcal前後としていますが、授乳中のママは、それにプラスして「350kcal」 余分にエネルギーを摂る必要があります。
授乳期のママの体は、母体を犠牲にしてでも母乳を作ろうとするため、食事や水分を制限すると脱水や栄養不足になることも。
エネルギーをしっかりと摂るためには、ごはん、パン、麺など主食となる炭水化物を中心に食事をすることも大切です。
350kcalは、山盛りご飯1膳分ほどなので、3食に分けると気持ち多めになる程度の量です。十分な主食を摂ることが難しい場合は、間食におにぎりを食べるなどして、しっかりエネルギーを摂取できるよう心がけましょう。
おかずで摂るならば、卵料理や野菜など何か1品多く摂るということでもいいですね。
また、母乳成分の大半は水分のため、授乳中は食事以外にも水分補給が大切です。
いつでも飲めるようにペットボトルや水筒を側に置いて、喉が乾いたらこまめに水分を摂るようにしましょう。ジュースなどの清涼飲料水は、糖分が多いため摂りすぎに注意が必要です。
※参照:厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2020 年版)
妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf
母乳はバランスのよい食事から
さらに、母乳を作るためには、バランスのとれた食事が大切です。
育児で忙しく大変かもしれませんが、主食のほか、メインのおかずとなる主菜(肉、魚、卵、豆腐など)、副菜も献立にくわえ、バランスよく食べられるメニューを考えましょう。
妊娠前から、ある程度バランスの良い食事をしていた方、極端な偏食がない方などは、特別に妊娠前と違う食生活にする必要はありません。日本人は和食をはじめ、洋食や中華など様々な料理をアレンジして食べています。それを急に和食だけに変更しなくても大丈夫です。
栄養面では、カルシウムとビタミンD・Kを含む食材を一緒に摂ると、カルシウムの吸収力がアップするため、納豆とチーズを一緒に食べたという声や、塩分を控えた味噌汁やスープ、鍋料理などの汁物は、手軽でおすすめというママの声もありました。
また、鉄分はママの貧血予防のためにも、授乳中は特に多く摂る必要がある栄養素です。
大豆、ほうれん草、小松菜などにも含まれていますが、特に吸収力が高い赤身肉を食べると効果的でしょう。
授乳中の食事とアレルギーとの関連性
授乳中のママの食事内容は、個人差はありますが、赤ちゃんのアレルギー症状と関係することもあるようです。
もし赤ちゃんにアレルギー症状とみられる湿疹ができ、塗り薬などでもなかなか改善しない場合は、母乳やミルクに原因がないか食物アレルギー専門医のいる医療機関や食物経口負荷試験を行っている医療機関で一度調べてもらうとよいかもしれません。
その結果、赤ちゃんが食物アレルギーと診断された場合は、原因食物の除去が必要となりますが、除去範囲は赤ちゃんによって異なるでしょう。
ママの方で除去が必要となるケースは少なく、もし必要であっても加工品は食べてよいことが多いようです。また、除去の期間も赤ちゃんが離乳食を開始する頃には解除できることが多いでしょう。いずれにしても自己判断でママの食事制限をしないように注意しましょう。
授乳中の食事と乳腺炎との関連性
授乳中のトラブルとして「乳腺炎」があります。
乳腺炎は、乳腺内に母乳が滞ってしまい炎症を起こした状態です。長時間授乳や搾乳ができない、授乳姿勢がわるく赤ちゃんが母乳をしっかり飲めていない、ママの抵抗力が落ちている、下着や抱っこひもで乳房を締め付けているといった場合などに起きやすいでしょう。
「脂肪分の多い食べ物を摂ると乳腺を詰まらせる」という説もありますが、この説については科学的根拠がありません。
むしろ、乳腺炎を気にしすぎるあまり、脂肪分を控えすぎてストレスを抱える方が、母乳にとってよくないでしょう。常識的な摂取量であれば、食べ物が乳腺炎の原因となることはほぼないということを理解しておきましょう。
乳腺炎の予防には、赤ちゃんがまんべんなく母乳を飲めるよう正しく乳頭をふくませ飲みやすくしたり、たまに抱き方を変えたりしてあげるよう工夫することが大切です。
授乳中、自由に食事できずイライラした時の対処法
授乳中のママたちが、好きなものが食べられなくてイライラした時の対処法について話を聞いてみました。
ワインやチーズが大好物でよく食べるのですが、授乳中は控えたほうがいいと周囲にいわれて、それがとてもストレスでした。
その代わりにめったに食べられないような高級チーズをちょっとだけ食べたり、ぶどうジュースを飲んで気を紛らわせていました
エスニック料理の激辛ものが大好きなのですが、授乳中は期間限定だと思って控えていました。でも、やはり我慢できないので、授乳時間の間隔が広くなったら授乳直後などにタイミングを見て少し食べていました
1人目の時は乳製品は控えるように意識していたような気がします。和食もできるだけとるよう務めてはいましたが、途中から育児が大変すぎて赤子を抱っこしたまま食べる日々だったので、どんな食事をしていたか覚えていないです
1人目の時はコーヒーはカフェインレスで飲んでいましたが、薄すぎてまずいといつも思っていて最後まで飲み切れませんでした……。
2人目以降は何も気にせず好きなものを食べ、結局それでストレスを発散していたように思います!
授乳中はカフェイン摂取に気を使っていました。夜間の授乳もあり眠気がすごいのに、カフェインがとれなくて常に眠い……といった感じでした。
脂っこいものもできるだけ避け、バランスよく栄養素を摂取できる豚汁などをよく飲んでストレス解消していました
うまくリフレッシュしながら無理なく続けよう
母乳は、ママの血液から作られるため、よく分泌させるには健康的で栄養バランスの取れた食事や主食、水分をしっかりととることが基本です。
定期的に食事を見直しながら、無理なく続けられるよう献立を工夫しましょう。
また、授乳中にNGとされている品目や、気をつけた方がよい食品もありますが、無理に我慢をしてあれもこれも食べてはだめと過度に制限すると、ストレスが溜まり母乳分泌によくありません。
食べ過ぎない程度に、時には甘いものや辛いものなど、自分の好きな食べ物を取り入れて、リフレッシュしながら授乳できるとよいですね。
監修:
Profile
育児と仕事の合間にサクサク読める!
▼▼▼今すぐアプリをダウンロード!▼▼▼
授乳中はアイスクリームが食べられなくてイライラしていました。1人目のときに、原因は不明ですが、アイスをよく食べた時期に乳腺炎になった経験があったので気を付けていました。しかし、2人目のときは、どうしても甘いものが食べたくてアイスをパクリ。
その翌日には乳腺が詰まって炎症を起こしてしまい、おっぱいは痛いし高熱はでるわで…通院することになってしまいました。
病院ではおっぱいマッサージをし、詰まりをとってもらいとりあえず事なきを得ましたが、あまりにもそのときの痛みがひどかったのでその後は食べるのを我慢し、アイスの代わりに脂肪分の少ないゼリーなどのおやつを食べて対処していました