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【調査】家庭での性教育の現状。必要性を感じている保護者が半数超え。実施しているは7.9%上昇に
性教育という言葉を耳にする機会が多くなった近年。子育て中の保護者は性教育をどのように捉えているのでしょうか。今回、2020年度に実施した子育て世代への性教育に関する調査を再び実施し、将来的に子どもたちが自分自身を守ることにもつながる「家庭での性教育」について、保護者が今どう感じているのか、その変化についてお伝えします。 【2020年度】家庭での性教育に関する調査 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000016431.html
家庭で性教育の浸透は変化したのか?
最初に、子育て中の保護者が家庭で性教育を実施しているかどうか聞いてみました。
家庭での性教育を「必要性は感じているが実施していない」と回答した保護者が55.8%、「実施している」と回答した家庭は25.0%という結果になりました。
2020年度の回答と比較してみると、「実施している」と回答した保護者は7.9%増加しております。また、「必要性は感じているが実施していない」が17.6%増加、「実施していない」家庭は15.8%減少しておりました。
2020年よりは関心が高まりつつも、実施には今一歩及んでいないようです。
性教育を実施していない理由
では、保護者が性教育について、必要性を感じているのに実施していない、もしくは実施していない理由とは何なのでしょうか。
多くの保護者が性教育をはじめるタイミングや年齢がわからないと回答しているほか、やはり前回の調査でも浮き彫りになった、性教育の方法について悩みを抱えている保護者が多いようです。
幼児期の早い段階から性教育を実施している家庭が増加
性教育を実施していると回答した保護者に何歳から実施しているのか聞いてみました。
3歳から性教育を開始している家庭がもっとも多く、次いで7歳以上、2歳という回答になりました。
前回から比較すると、幼児期のより早い段階から性教育を実施している家庭が多くなっています。
性教育を家庭で実施する理由
「性教育を実施している」と回答された方に、性教育を始めようと思った理由を聞いてみました。
4歳児保護者
2歳児保護者
自分自身が無知だったと大人になってから感じるため、子どもには早くから知ってほしい。
4歳児保護者
子どもの自衛につながる。
家庭での性教育の実施方法
家庭での性教育の方法に悩む保護者が多い一方、実際に性教育を実施している家庭ではどのような方法をとっているのでしょうか。
約半数の保護者が日々の会話の中で話題にしているようです。また、性教育に関する本や絵本を活用していると回答した保護者もいました。
子どもたちができるだけ抵抗感なく性の話の問題を受け入れられるよう工夫している保護者が多くなってきているようです。
性教育に役立つ絵本やコンテンツ
では、実際にどのような絵本やコンテンツが、保護者や子どもにわかりやすく感じたのか具体的に聞いてみました。
多くの保護者が「だいじだいじどーこだ?」という絵本を挙げています。
こちらの絵本は、幼いころから自分の「からだ」を知ること、また「プライベートパーツ(口や胸、性器)」を理解するだけでなく、自分も他人も一人ひとりが大切な存在だということを、著者の遠見才希子医師が自身のお子さんとのエピソードを交えながら伝えてくれる絵本です。
人気のひとつでもあるかわいいイラストは、一児の父でもあるイラストレーターの川原瑞丸さんによるもので、キャラクター設定やストーリーに適した構図、色使いでいちばん大切で基本的なことが小さい子どもでもわかりやすく書かれています。
性教育のはじめの一歩として子どもといっしょに読んでいる保護者が多いようです。
ほかにも、SNSなどで保育士さんや助産師さんが紹介している方法を真似ているという声や、子どもがわかりやすいように性教育に関するマンガを活用したという声もありました。
性教育ですでに子どもに伝えていることとは?
約8割の家庭がプライベートゾーンについて伝えていると回答しており、次いで多様性や人種・人権について伝えているという結果になりました。
伝えやすいことや幼児期からふれる機会が多くなったメディアからの情報にもとづいて、性教育をはじめているようです。
性教育を子どもに伝える必要性を感じるとき
日々の生活の中で性教育の必要性を感じることはあるのでしょうか。
7歳以上保護者
きょうだいの中で自分との体の差に気がつき、どんどん疑問が出てきて、そのなぜに答えていくと、性差だけではなく生物としての知識も増えていくので、みんなで楽しく学ぶことができた。
7歳以上保護者
性犯罪のニュースで、何がだめなのかわかっていないようだったので、被害にあわないためにどう行動すればいいか教えなければいけないと思った。
3歳児保護者
仲良しのお友だちがよくハグをしたりするので、ほほえましく思う一方、言葉の理解ができるようになってきた今、ちゃんと性教育したいなと思った。
メディアで流れる性犯罪関連のニュースを耳にすると、自分の子どもへの被害を懸念してしまう保護者もいるようです。
また、保育園や幼稚園など、お友だちとの関わりからも必要性を感じることがあるという回答もありました。
性教育は家庭の中でできることからはじめたい
性教育は子どもにとって大切なこととわかっていながら、敬遠してしまう保護者も多いかもしれません。
今回の調査では性教育についての方法やタイミングに悩む一方で、家庭の日々の中でできることや伝えられることから実践している保護者が増えてきていることもわかりました。
メディアにふれる機会が多くなる情報社会だからこそ、保護者が子どもといっしょに偏った情報だけでなく正しい知識にふれる機会をもつことが大切なのかもしれません。
元保健室の先生で性教育講師 にじいろさんコメント(KIDSNA記事より抜粋)
保健室の先生の経験から、性教育の発信を始め、今はおもに性にまつわる講演、執筆などを行っているにじいろさんは、「性教育のチャンスは何度でもある。完璧も目指さなくて大丈夫。」と話します。
現状では、小学校でも中学校でも、性教育を教える時間は限られています。だからこそ、家庭で、「性行為とはどんなものか」「妊娠すると生理が止まる」「小学生でも妊娠の可能性はある」といったことを教えてあげる機会が必要なのです。
性教育の絵本を読み聞かせしたり、もう少し大きければ年齢に合わせた本を置くのはどうでしょう。本を置いても読む子と読まない子がいますが、性に関する本が家にあることで「うちは性に関する話はオープンに話していいんだ」というメッセージになります。
大人が「教えなければ」ではなく、「大人も一緒に知識を身につけて変わろう」なんですよね。
ツルリンゴスターさんとにじいろさんが注目するアンケート結果
今回のアンケート結果を受けて、KIDSNA記事で性教育対談をしていただいたツルリンゴスターさんとにじいろさんにコメントをいただきました。
ツルリンゴスターさん
わたし自身も性教育を生活に落とし込むことを意識して子どもたちと関わってきました。
この数年、失敗しながらもくり返し、自分は大切な存在だということや多様性、そのうち訪れる二次性徴について、子どもたちと対話してきましたが、最近ようやく子どもそれぞれの中で土台になってきていることが話していてわかるようになりました。また、夫との関係もわたしがそういうことを大切にしていると表明し続けてきたことで変化してきたように思います。
それでもまだ伝えきれていないことがたくさんあります。性教育の土台である人権教育の部分がもっと浸透すると、赤ちゃんがいる生活の頃から自然に浸透するものだということが周知できるのかもしれませんね。
にじいろさん
私たち大人は、性教育をあまり受けずに大人になりましたし、「何をどう説明していいかわからない」のも当然のことです。性に関する言葉を発するだけでもためらう、という方も多いのではないでしょうか。
まずは、少しずつ慣れていくことが大切です。「実施していない」ことに負い目を感じなくても大丈夫です。もうこの記事を読んでいる時点で、スタートは切れていますから。
慣れていけば、「あ、今話せそう!」というタイミングが増えてきます。家庭だからこそチャンスは何度でもやってきますので、気楽に気長に取り組んでもらえたらと思います。
【漫画でわかりやすく解説】
【専門家が詳しく解説】
<調査概要>
調査対象:子育て情報メディア「KIDSNA STYLE」のKIDSNAアンバサダー
調査期間: 2023年9月〜2023年10月
調査方法:インターネット調査
有効回答数:104 名
2023.12.20
メディアの情報から性教育は人権教育であると知り、根本になる部分を早いうちから伝えたいと思った。