きょうだいの育て方。平等に接するポイントは?【男性脳と女性脳#3】

きょうだいの育て方。平等に接するポイントは?【男性脳と女性脳#3】

男の子の育て方、女の子の育て方。平等に育てることが注目されがちだけれど、やはり男の子と女の子にはそれぞれ生まれながらの特徴があると感じる人も多いのではないでしょうか。脳と人口知能を研究する黒川伊保子さんが、家族がもっと楽しくなるような「男性脳・女性脳をいかしたコミュニケーション」をテーマに、全5回にわたりKIDSNA STYLE読者のお悩みに答えます。

下の子が生まれたら上の子を優先すべきと言うけれど、実際どうしたらよい?

5歳男の子と0歳女の子のママ
5歳男の子と0歳女の子のママ

5歳の男の子と生後半年の女の子を育てています。よく上の子を優先してあげることがよいと言われるので意識していますが、下の子の意思が出てきたときに、どのように接していったらよいのか不安です。平等に育てたいと思っていますが、どのようなことに気を付けて育てたらよいでしょうか?

黒川さんの回答:年齢の順に頼りにすることと、下の子にも役割を与えること

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黒川さん:まず、性別問わずにきょうだいを育てるうえで気を付けたいことは、年齢の順番に立ててあげることです。「立てる」とは、ひいきをすることではなくて、頼りにすること。特に、男の子の場合はお母さんに頼りにされることは効果抜群です。

たとえば、上の子のおもちゃを下の子が欲しがって泣いたとき、上の子に「お兄ちゃん、どうしよう。この子には、そのおもちゃがお兄ちゃんの大事なものだとはまだ分からないんだねぇ......」と相談してしまうのも手です。

そうすると「この子にも買ってあげてよ」「しょうがないから少し貸すよ」なんて返事があったりして、親と上の子の間に親密な信頼関係が生まれます。

下の子が赤ちゃんのときも、上の子には「◯◯にミルクをあげるね」と報告したり。それが立てるということで、ひいきをするのとは少し違います。

※写真はイメージ(iStock.com/PeopleImages)
※写真はイメージ(iStock.com/PeopleImages)

ーー親がどんなに気を付けて接していても、下の子が大きくなってくると何かにつけて「お兄ちゃんばっかりずるい」など言いますよね。

黒川さん:そうですね。たとえばですが、「料理が上手だから味見をするときは弟」「センスがあるからファッションの相談をするときは妹」のように、それぞれの得意分野を意識しながら、物事によってリーダーを決めておくとよいですよ。

我が家はみんな大人ですが、それぞれが得意なことをチョイスして「洗濯リーダー」「猫缶&猫砂リーダー」「1階トイレリーダー」「2階トイレリーダー」「揚げ物リーダー」など細かく責任者を設けています。

男女ともに、脳は相互作用で活性化するもの。親切にされた側より親切にした側のほうが、より充足感が残ります。ぜひ下の子も含めて子どもたちを頼りにして、この充足感を味わわせてあげたいですね。

※写真はイメージ(iStock.com/ljubaphoto)
※写真はイメージ(iStock.com/ljubaphoto)

ーー性別の組み合わせによって気を付けるポイントはありますか?

黒川さん:今これを読んでいるのがお母さんだとしたらよくわかると思うのですが、女の子は自我が強いのでいつでも一番を好むし、姉妹の場合はなるべく平等にすることが平和ですよね。なにか順番を決めるときには「今日は姉が一番で、明日は妹が一番」など都度序列が変わることがストレスが少ないんですね。

一方で、男の子を育てるときに気を付けたいことは、男性脳は序列を重要視するということ。空間認知が優先の男性脳は距離や位置に敏感で、それは人間同士の位置すなわち序列にもデリケートなのです。

次男だったら「二番目」という序列が守られているほうが安心するし、親はそれを守ってあげることが大切。兄弟が揃っている場面では、まずは上の子を頼りにしたり、ごはんを出すときも上の子から順番に出すことがスムーズにいきますよ。

質問者さんのように男女混合のきょうだいの場合は難しい場面もあると思いますが、できる限りで男の子は序列を、女の子は平等を好むと知っておくだけでも十分効果はあるのではないでしょうか。

※写真はイメージ(iStock.com/SewcreamStudio)
※写真はイメージ(iStock.com/SewcreamStudio)

黒川さん:ちなみに、異性のきょうだいとともに育った子は、共感型の女性脳と問題解決型の男性脳を自由自在に使い分けるハイブリッドになることが多いです。

特に、女子とともに育った男子はコミュニケーションの達人になります。企業で部下に人気があり上からの信頼も厚い男性にきょうだい構成を尋ねると、複数の姉妹がいることが多いのです。育つときには、きっとストレスもあると思いますが、結局は得られることも多いんですね。


ーー今後も「男性脳・女性脳をいかしたコミュニケーション」をテーマに、黒川さんがKIDSNA STYLE読者のお悩みに回答します!次回のテーマは家族が仲良くいられる会話術です。

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Profile

黒川 伊保子

黒川 伊保子

株式会社 感性リサーチ 代表取締役社長 人工知能研究者、随筆家、日本ネーミング協会理事 1959年、長野県生まれ、栃木県育ち。1983年奈良女子大学 理学部 物理学科卒。 ヒトと人工知能の対話研究の立場から、コミュニケーション・サイエンスの新領域を拓いた、感性研究の第一人者。脳の気分を読み解くスペシャリスト(感性アナリスト)である。コンピュータメーカーにてAI開発に携わり、男女の感性の違いや、ことばの発音が脳にもたらす効果に気づき、コミュニケーション・サイエンスの新領域を拓く。 2003年、(株)感性リサーチを設立、脳科学の知見をマーケティングに活かすコンサルタントとして現在に至る。特に、男女脳論とネーミングの領域では異色の存在となり、大塚製薬のSoyJoyをはじめ多くの商品名に貢献。人間関係のイライラやモヤモヤに〝目からウロコ〟の解決策をもたらす著作も多く、『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』をはじめとするトリセツシリーズは大ヒットとなり、累計100万部を突破している。

2023.07.27

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