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SNSの影響で増加・低年齢化する「子どもの美容施術」 親目線で考えるリスクや注意点
SNSの普及が当たりまえとなった近年、美容意識の低年齢化が社会的に進んでいます。そこでKIDSNA STYLEでは「子どもの美容」に関する読者アンケートを実施。その結果を踏まえて、高須クリニック名古屋院 院長・高須幹弥先生にお話を聞きました。
子ども向けのメイク用品がプチブームになったのが2000年前後、それから20年以上を経た近年、子どもの美容は新たなフェーズに向かいつつあるようです。
キッズ向け脱毛サロンや、あざのレーザー治療が受けられる子ども専門の美容クリニックなど次々が誕生し、興味を持っている親御さんもいるでしょう。
そこでKIDSNA STYLEでは、子どもの美容に関する読者アンケートを実施しました。
※調査対象者:KIDSNAユーザー/調査期間:2024年1月31日〜2月26日
調査方法:インターネット調査/回答件数287件
その結果、「子どもの美容施術に興味があるか」「どんな美容施術なら行ってもいいと思うか」といった質問に対して、賛否両論さまざまな意見が集まりました。
今後もし「賛」の親御さんがわが子に施術を受けさせる場合、大人とはまた異なる注意点やリスクがあることも知っておかなければならないでしょうし、反対に「否」の意見にも誤解があるかもしれません。
そこで、このアンケート結果をもとに、美容施術の専門家に「子どもの美容」についてお話を伺いました。
お答えいただいたのは、美容外科「高須クリニック」名古屋院の院長であり、美容に関するさまざまな疑問にズバッとわかりやすく回答するYouTubeチャンネルも人気の高須幹弥先生です。
SNSの普及で子どもの美容施術は増加・低年齢化
アンケートではまず、「子どもの美容施術に興味がありますか?」と質問したところ、「ある」と回答した人は16.7%、「少しある」は25.4%でした。合計すると、およそ42%の人は子どもの美容施術に大なり小なり興味がある、という結果です。
この結果を見た高須先生は、「たしかにこのような結果になるだろうと思います」と言います。
「他人の子を含めて興味があるかと言われたら、こんな感じでしょう。ただ、『前向きに自分の子どもに美容医療を施そうと思っているか』ということになると、またぜんぜん違いますよね」
高須先生ご自身が「高須クリニック名古屋院」の院長として美容医療の現場に携わっている経験、実感を踏まえても、子どもの美容施術への関心は高まっているといえるそうです。
「僕がこの仕事を始めてから20年以上経ちますが、昔に比べると整形する人の比率が増えている上に、低年齢化しています。特に数年前からは、高校生の女の子で二重のプチ整形をしようとする子がすごく増えている。中学生でも(二重手術を希望する子は)ちょこちょこいます。
これはスマートフォンとSNSが普及した影響でしょうね。InstagramとTikTokが流行り始めてからまたグーンと増えました。
自分の顔を自撮りして(SNSに掲載することで)みんなと比較すると、写真写りによってはすごく不細工に見えたりするので、その写真ばかり見て悩んでしまう。子どもたちのルッキズム(=外見重視、外見至上主義)は非常に高まっていて、そのせいで整形する若い人が増えた、ということはありますね」
一方で「未就学児の美容行為」に肯定的な人は11.5%
「未就学児(~6歳まで)の美容行為について、肯定的・否定的どちらですか?」という質問に対しては、「肯定的」と回答した人は1割強にとどまりました。
肯定する理由としては、
何歳であってもかわいくなりたい、キレイになりたいという気持ちはあるから、危険がないことはやらせてあげたい
などという声がありました。
一方で、「否定的」な人は36.9%、理由は主に「まだ必要ない」「成長過程でこれから変化するので」といったものです。
それ以外の「どちらともいえない」派は51.6%で、「子ども自身が悩んだり困ったりしていれば否定する気持ちはないが、6歳以下の子どもにどれだけ自分で考えられる力があるのか見極めが必要だと思う」など、本人に判断力がないことを懸念する声がありました。
実際に高須先生も、未成年の美容整形に関しては「本人の意志があること」を絶対条件にしているとのことです。
「お母さんが『やってください』と言っても、本人が『イヤだ』と言えば、僕は断ります」
やはり現場でも、「本人の意志、本人の判断力」がポイントになっているようで、その点はアンケートに回答してくれた親御さんの多くが正しい感覚を持っていました。
年代別・子どもが行ってもよいと思う美容施術とは
では、親は「どんな美容施術なら」「何歳くらいから」子どもが行ってもいいと思っているでしょうか?
子どもの美容施術に興味が「ある」「少しある」と回答した方を対象に、年代別に「行ってもよいと思う美容施術」も質問したところ、それぞれ以下のような回答が得られました。
これを見ると、全年代を通じて「行ってもいい」と思われている割合が高いのは、「歯列矯正」と「スキンケア」でした。
むしろ未就学児と小学校低学年に対しては、それ以外の美容を認める親は少ない傾向です。小学校高学年になれば、「脱毛」の割合が少し増えてきます。
一方、中学生になると「脱毛」を認める親がグンと増えました。
「ヘアケア」「化粧」も中高生ならアリと考える親は多いことが伺えます。
ただ、「美容整形」をよしとすることは、かなりハードルが高いようです。
このグラフを見ると、「子どもが整形してもいいという親がこんなに多いの⁉」と驚かれるかもしれません。
しかし、この「美容整形を行ってもよい」の中には、「アザがあるのはかわいそうなので、除去手術をしてあげたい」「ホクロの除去は、ある程度成長したあとならいいと思う」と言った意見も含まれています。
(ちなみに高須先生からは、『アザは保険がきく治療なので美容ではありません、美容整形とは分けて考えなければいけない』と指摘がありました。これについてはのちほど説明します。)
二重の切開手術など、メスを入れて本格的に整形する手術のみに絞ると、もっと賛成意見は少なくなります。
高須先生に聞く! 施術別・子どもの美容の「アリ・ナシ」
そこでここからは、上記のアンケート結果の中から目立ったものを美容施術ごとに掘り下げていきましょう。
各施術を子どもが受けることについて、その現状や是非、親が知っておくべきリスクなどを高須先生にお聞きします。
(高須先生の専門である美容医療にかかわるものに絞ってお話を伺いました。)
【歯列矯正】
まず、未就学児から中学生まで広い年代にわたって、もっとも多くの親御さんが「行ってもいい」と回答したのが「歯列矯正」です。
なぜ行ってもいいと思うのか、主な意見は以下です。
【未就学児】 |
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【小学校低学年】 |
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【小学校高学年】 |
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【中学生】 |
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【高校生】 |
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年代別に比較すると、「未就学児や小学校低学年=乳歯のうちからなるべく早く始めてあげたい」派と、「永久歯になったらやらせたい」派で意見が分かれました。
永久歯派は、生え変わってしまう乳歯を矯正するより、もう生え変わらない永久歯が揃ったら矯正したい、という考えでしょう。
実際のところ、乳歯のうちから歯列矯正を行う意味はあるのでしょうか?
歯科は高須先生の専門外ではありますが、高須クリニックでは歯科、審美歯科の施術も行っています。
「乳歯の段階でも、反対咬合(=上の歯よりも下の歯が前に出ている状態、いわゆる受け口)などの場合は、矯正を始めるものだと思います。
その場合、ブラケットではなくマウスピースなどでの矯正になるでしょう」
ブラケットとは、下の写真のように歯に取りつける小さな矯正器具のことで、これにワイヤーを通して歯の位置を矯正します。
幅広い矯正に対応でき、費用も比較的抑えられますが、装置が目立ちやすく、つけていて違和感を感じたり、ときには口内を傷つけてしまったりすることもあります。
それに対してマウスピースは、さらに下の写真のように透明なマウスピースを装着する矯正方法です。
ブラケットを使う方法に比べて矯正する力は弱めですが、器具が目立たず簡単に取り外しでき、口内を傷つける恐れがないため、小さな子どもでも装着しやすいでしょう。
いずれにしろ「歯列矯正は永久歯が生え揃ってからがいい」とは限らず、乳歯のうちに始めたほうがいいケースはある、ということです。
「必要なら歯列矯正はしてあげたい」という親御さんは、「いつ始めるか」「どの矯正方法をするか」などを含めて、早めに歯科医に相談してみたほうがいいかもしれません。
【脱毛】
一方、小学校高学年で3番目に多く、中学生では歯列矯正に次いで2番目に、高校生ではもっとも多く「行ってもいい」と親御さんが考えている施術が「脱毛」でした。
たしかに近年は、「キッズ脱毛」を謳っているクリニックやサロンが増えているようですし、中には未就学児から施術しているところもあります。
親御さんの意見には、以下のようなものがありました。
【未就学児】 |
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【小学校低学年】 |
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【小学校高学年】 |
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【中学生】 |
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【高校生】 |
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ただ、レーザー脱毛の場合、子どもの毛には効果が出づらいとも言われます。
レーザーは毛の色素に反応して脱毛するため、まだ色素が薄くて細い子どもの産毛には反応しにくいというのです。
子どもの脱毛には、意味があるのでしょうか、あまりないでしょうか?
「脱毛を早いうちからするのは、無駄ではないですよ。
たしかに細い毛にはレーザーは反応しにくいのですが、まだ完全に毛が生え揃っていなくても、レーザー脱毛すればその時点で生えている毛は永久脱毛されます。
成長するにつれてまた少し生えてくることはあるのですが、そうなったらまたレーザーを当てることを前提にして、子どもに施術することはありますよ。
そのほうが、大人になってからゼロから脱毛を始めるよりは、(永久脱毛が完了するまでに)レーザーを当てる回数が少なくてすみます」
では、実際には何歳くらいから始めるのがいいのでしょうか?
「それは、年齢で決めるというよりは、成長のスピードによります。第二次性徴(=体毛が濃くなり性毛が生える時期)が始まる時期は本当に個人差が大きくて、早い人は小学校4年生で生理が始まる。
中には小学校5年生くらいでワキの毛を脱毛することもありますよ」
ということは、産毛のうちにレーザー脱毛をすることにも意味はあるけれども、一般的にはその子の第二次性徴を待って始めるもの、と言えそうです。
【美容整形】
もうひとつ、アンケート上では「行ってもいい」という人は少ないながらも、年代を追うごとに肯定派が増えていく「美容整形」についてです。
前述したように、このアンケート回答の中には二重手術、ホクロ除去などのほかに、美容施術ではなく健康保険が適用される「治療」である「アザ除去」も含まれていますので、これはのちほど別途で触れましょう。
まず、子どもが二重やホクロ除去などの施術を行ってもいい、という親御さんの意見はこちらです。
【未就学児】 |
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【小学校低学年】 |
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【小学校高学年】 |
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【中学生】 |
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【高校生】 |
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これを見ると、美容整形を認める親は、「本人が希望していて、コンプレックスが改善されるなら」という理由で肯定的に考えていることがわかります。
また、中学生くらいから「行ってもいい」という親が出始め、高校生になると本人の意志に任せる方針の親御さんもちらほらいるようです。
美容整形は、高須先生の専門分野ですので、実際にクリニックではどうなのか、くわしくお聞きしました。
◎二重手術
高須先生によれば、前述したように近年美容整形をする人が増えている上に低年齢化しているとのこと。
中でも高校生の女の子が二重手術を受けるケースが非常に多いそうです。
「それはなぜかというと、日本人の7~8割は一重まぶたなんです。だからみんな、アイプチやアイテープで二重に見せようとしますが、人によってはそれで皮膚がかぶれてしまったり荒れたりする。
それに、学校に行く前に何十分もかけて二重にするので、すごく時間が無駄になりますよ。
そこで、二重のプチ整形手術をしようとする子がすごく増えている。アイプチをする時間がはぶけて遅刻もしなくなるということで、親御さんも喜んで受けさせたりするんです」
実際に高須先生のクリニックでは、小学校高学年くらいから二重手術をするケースがあるとのことです。
「二重手術には、『埋没法』という糸でとめる簡単なプチ整形と、まぶたを切開する『切開法』があるんですが、(高須クリニックでは)埋没法は小学校高学年くらいから行っています。
これは、まつ毛が目の内側に向かって生えている逆さまつげの子がほとんどで、眼球にまつ毛が当たって傷がついたりしてしまうので、その治療として行うことが多いんです。これを子どもに行うのは、むしろ目の健康のためにもいいことだと思います」
一方で、美容のため、つまり「かわいくなりたい」という理由で二重手術を希望する子どもももちろんいます。
「その場合も、本人の意志で『やりたい』ということが確認できて、芸能事務所に所属しているいわゆる『子役』などの子であれば、埋没法は小学校高学年くらいからやることはあります。
実際に子どものうちに二重手術を行い、その後に子役デビューして、国民的人気になった子はたくさんいます。
その場合、『若いから切開法より埋没法がいい』というわけではなくて、埋没法であれば、もし本人があとで『戻したい』という場合に、もとに戻せるんですよ。たとえば中学生などは、仮に二重手術がうまくいってすごくかわいくなっていても、友だちに『前のほうがよかった』などと言われると、罪悪感から『もとに戻したい』ということがありますから。
埋没法であれば、とめている糸を取ればほぼ完全にもとに戻ります。でも、切開法だと戻せないんですよね。
それと、二重のデザインも重要です。二重のラインには平行型、末広型、ミックス型というのがあって、僕が本人に合っている自然なデザインを勧めても、本人がいま流行りの不自然なデザインを希望することがあるんです。
中学生くらいでそのようなことがある場合は、とりあえずはあとで修正できる埋没法でやっておきましょう、というふうに勧めることがありますね」
たしかに子どもの場合、自分の意志でやりたいと言っていても、あとで気持ちが変わる可能性も高いでしょうし、また成長過程で顔が変わってきて、二重手術をもとに戻したり修正したりしたくなることもありそうです。
そのため高須先生は、「若い方の二重手術は、とりあえず埋没法で行うほうが無難でしょう」と言います。
もしお子さんが「二重手術をしたい」と言い出して、親御さんも前向きに検討することになったら、本人の意志が本当に固いかどうかを話し合った上で、埋没法を勧めるのがよさそうです。
◎ほくろ除去
もうひとつ、肯定的な親御さんが多かった美容整形が「ほくろ除去」でした。
「これも、早ければ小学校4~5年生からレーザーで取ることはあります。
ほくろは、鼻のまわりや口の近くにあると、『鼻くそついてる』とか『食べ残しがついてる』とかからかわれるんです。それがイヤだからと、僕の病院に来る子どもはいます」
親御さんのアンケート回答の中には、ほくろのレーザー除去は「小さい子どものうちに済ませたほうが、回復が早くてあともきれいになる」という意見もありました。
この考えは、正しいのでしょうか?
「はい。
ほくろの除去は、レーザーにしろ切開にしろかならず多少はあとが残るんです。ただ、ほくろは加齢とともに大きくなることがあるので、小さいうちに取ったほうがあとも小さくて済みます」
子どものほくろ除去を考えている親御さんは、小学校高学年くらいになったら医師に相談の上で手術を受けさせてあげてもよさそうです。
【アザ】
次に、アンケートでは、「美容整形」の項目に回答が含まれてしまっていた「アザ」についてです。
前述したように、アザの除去は「美容」ではなく保険が適用される「治療」です。
アンケート回答の中では、「アザの除去は小さいうちからしてもいい」という意見が比較的目立ちました。
これについては高須先生も、同様の意見です。
「たとえば生まれつき顔に真っ赤な血管腫がある子や、太田母斑がある子などがいますが、それは昔から子どものときでも健康保険で治療をしているので、やってあげるのがよいと思います。
アザにも医学的にいろいろなアザがありますが、一般的に血管腫や太田母斑などは若いときのほうが皮膚が薄くてレーザーも反応しやすいんです。年を取ると、アザが濃くなってくることもあるので、そういうものは幼いうちに治療したほうがいいということはあります」
子どものアザが目立つ場合、医師と相談の上でなるべく早めに除去治療を受けさせてあげても問題はないとのことでした。
知っておきたい、子どもの美容整形についてのリスクや誤解
ただ、施術の是非とはまた別に、アンケートで肯定的な回答をした親御さんにぜひ知っておいてほしいリスクや誤解もあります。
それは主に以下の2点です。
・二重手術の埋没法は、時間とともにもとに戻ることもある
・アレルギーや失明のリスクもある
「埋没法は、ちゃんと施術しないと糸が取れてしまったりしてもとに戻ることがあります。これは子どもか大人かにかかわらず、一定の確率で戻るものだと思ってください。
それと、施術によってはアレルギーのリスクがあります。たとえばヒアルロン酸注射などは、絶対にアレルギーが起きないという保証はない。
それからヒアルロン酸では、失明することもあります。極めて低い確率ですし、僕のクリニックでもいままで何十万例も施術してきて一例も起こったことはありませんが、実際に失明したという報告はあります」
プチ整形とはいえ、どんな施術にもリスクはあります。
特に子どもに受けさせる場合は、医師にリスクをよく聞いた上で検討する必要があるでしょう。
子どもの美容施術は本人の意思確認が絶対条件
高須先生はクリニックで実際に多くの患者さんに接しています。美容医療の現場から見ていて、子どもの美容、特に美容整形の現状についてはどう感じているでしょうか?
「たしかに昔と比べると、未成年の患者さんは増えていますが、全体の中ではまだそれほど多くはないですよ。高校生でも2%くらい。未就学児はゼロです。
たとえば今日も僕は1日診療をしていたんですが、朝から晩まで20人くらいカウンセリングした中で、子どもは高校生がひとり来ただけです」
中には、お母さんが自分で整形手術を受けに来て、2歳の子どもにもしてほしい、と言われたこともあるそうですが、高須先生は小さい子どもの施術はしません。
というのも、本人の意志が確認できないためです。
「美容整形に関しては、本人の意志があることを絶対条件にしています。お母さんが『やってください』と言っても、本人が『イヤだ』と言えば断ります。
ただ、子どもが小学生だったりすると、本人の意志といっても9割は親の洗脳なんですよ。毎日のように『整形しようね』『整形しようね』と言われれば、子どもはたいてい『整形する』と言うんです。
お母さんとしては、自分自身が整形して人生が変わった、幸せになったので、この子にも同じようにさせたいというやさしさからなんだろうけれど、僕は『ちょっと待って、もう少し成長して本人の意志が固まってから考えればいいのでは』と伝えます」
とはいえ、そのようなケースは多くはないとか。
「子どもが嫌がるのに親が無理やりやらせたい、というのは少数派です。逆に、子どもが『やりたい、やりたい』といって、親が反対するというケースがほとんどです。
『整形させてくれないなら学校行かない!』と子どもが言えば、親は『ダメ』とビシッと言えない。それで、僕に『(かわりにダメと)言ってほしい』というオーラを出している親御さんもいます。
でも僕は、淡々とカウンセリングするだけです。その上で、『実際にやるかやらないかは親子で話し合って決めてください』と言っています。
未成年の子どもの整形は、親がダメと言えばできないわけで、基本的には親が決めることです。
それと、努力でなんとかできることは、『まず努力して』と言いますね。たとえば、若いのに『脂肪吸引してください』という人には、『まずがんばってダイエットして』と言うんです。
でも、昔は『努力でなんとかなる』と言われたことでも、最近の若い人は『ガチャ』をすごく気にするんですよ。『こんなに不細工なのは親のせいだ、だから親が(整形のための)お金を出せ!』なんて言う。そうなると、お母さんは強く言えずに『ごめんなさい』と謝って、お金を出してしまう」
子どもに無理やり整形させようとする親も、子どもの言いなりになって本当はさせたくない整形を認めてしまう親も、どちらも子どもの意志や気持ちをきちんと聞いた上で、親子でじっくり話し合うことが必要なようです。
そして最後に、子どもの美容整形について、高須先生自身はどのように考えているのか、率直な意見をお聞きしてみました。
「安全性が高くて『これをすれば確実にかわいくなる』という施術は行うことがあります。
たとえば、目がすごく細くて睨んでるように見える子もいるんですよね。そういう子は、二重にしてあげると本当にかわいくなって、自身が持てたり友だちが増えたりする。本当にそのパーツ(の見た目)が悪くて、整形すると確実によくなるのなら、行うことはあります。
でも、実際は悪くないのに、本人が勝手に悪いと思い込んで『整形したい』という子もけっこういるわけであって、そういう認知が歪んでいる場合は、親が(やめるように)がんばって説得しないといけないですね」
実際に、自撮りした写真を見て、「笑うと目が細くなる」「ほうれい線が出る」といった当たり前のことを悩みに思い、「笑っても目が大きいままになるようにしてください」「笑ってもほうれい線が出ないようにしてください」といった無茶な要望を出す若い子もいるそうです。
そのような認知の歪みは、子どものもっとも身近にいる親が正してあげる必要があるのでしょう。
「でも、親御さんも判断が難しいところもありますよね。
自分の子どもだからなんでもかわいく見えてしまったり、反対に自分が不細工で苦労したから、『子どもは徹底的にかわいくしてあげたい』と思ってしまったり、お母さん自身の心の中に何か歪みがあったり、そういう場合は判断を誤りがちかもしれません。
でもそれは、親の自己満足です。基本的には、美容整形は子ども本人の意志がいちばん大事ですから」
子どもの美容整形は、するもしないもまずは子どもの意志を確認して、その上で、最終的には親が決めること。
子どもも親も納得できる道を選ぶには、親子でじっくり話し合うこと、話し合える年ごろまで待つことが必要なのかもしれません。
やらせるかどうかは別として美容に興味を持つのはいいことだと思う。正しい知識とやり方を学んで未就学児のうちに興味があるならやらせてあげたい