こちらの記事も読まれています
【調査】「法律婚と事実婚」の現状。98%が法律婚を選ぶも、夫婦別姓に賛成の声多数
俳優の宮沢氷魚さんと黒島結菜さんのニュースをきっかけに、改めて話題となった事実婚。共働き世帯が増加しているにもかかわらず、選択的夫婦別姓制度がいまだ導入されないなか、婚姻制度に対する考えは変化しているのでしょうか。法律婚・事実婚にまつわるアンケート調査を実施しました。
法律婚と改姓、どう考える?
最初に、法律婚と事実婚のいずれを選択したか聞きました。
98.1%が法律婚、1.9%が事実婚を選択しています。2022年の内閣府男女共同参画白書によると、事実婚の割合は推定2〜3%。届け出を必要としないため、正確な数値を把握することはできませんが、今回のアンケートでもそれに準ずる結果が出ています。
法律婚を選んだ方に、その理由を尋ねました。
「特に意味はなく、多くのカップルが法律婚だから」が最多の回答でした。その他には、下記のような意見が届いています。(一部抜粋、編集して掲載)
今後のこと、具体的には家や仕事、子どものことなどを相談・確認し合いながら、共に歩んでいくための覚悟を決めて法的婚姻を選びました。
上記の2点の問いの答えからは、いまだほとんどの夫婦が夫の姓を選択し、さらには半数以上が事前に話し合いの場を持つこともないとわかりました。
「はい」を選択した方の意見をいくつかご紹介します。
(事実婚は)将来的な拘束力はないけれども、お互い馴れ合いになったりぞんざいな扱いになったりしないように思います。女性のキャリア躍進が進んでいるこの現代に、法律的な安心感や稼ぎの部分で旦那に頼らなくても良くなっている気もします。
法律婚はどうしても結婚という状態に甘えてしまい気が緩むので、事実婚で定期的に気持ちや意識の変化を確認しあえたらうまくいくのかな? とも思います。ただ、事実婚の友人が子どものことで煩雑な手続きがあると言っていたので、ないものねだりかも。
離婚の際、手続きにとても苦労したので。
実家は姉と私の二人姉妹で、二人とも夫の姓を選んで旧姓が途絶えてしまうことを父が悲しんでいたので。
法律婚をしている方に、婚姻制度や夫婦同姓/別姓全般について伺いました。
制度上の問題から法律婚を選択した方の意見です。
同棲中パートナーに病気がみつかり、家族として同意書にサインしたかったので手術前に婚姻届けを提出しました。
各自自由に選択できるのがいい。控除や相続など制度上の問題で、法律婚の存在とメリットはあっていいと思いますが、姓や性の問題で事実婚にせざるを得ない現状は修正されるべき。幸い私は現行制度に乗っかりやすい状態だけど、運が良かっただけだと理解しています。大きな効果は見込めないでしょうが、低コストで多少の少子化対策にもなり得るのも魅力的では。
姓(名字)をめぐるこういった意見も。
夫婦同姓別姓については別姓を支持するが、本人の意思次第。自分は夫の姓を選んだが、理由としては旧姓がよくある苗字で珍しい苗字に憧れがあったからです。自身が珍しい苗字で別姓制度があればそちらを選んだと思います。
旧姓が嫌いだったこともあり、夫の姓になることに単純に憧れていました。ただ、近年いろいろな情報を知って、事実婚という選択を結婚前に得ておきたかったなと思っています。ただ、親戚づきあいなども多くしがらみのある家なので、義両親を説得することなど結局ハードルは高すぎてうちには現実的ではないなと思います。
法律婚で夫婦同姓にしたが、結婚した時に名義変更を銀行やカード等色々やらなければならないことが多く面倒でした。しかし、その面倒さが夫には伝わらず残念でした。
同性婚を含め結婚の権利について触れる方もいました。
全ての選択肢(同性婚を含む)を自由に選べるべき。結婚はその人の権利です。周りの人がとやかく言う問題ではないと強く思います。
法整備が整い、どの選択をしても権利が保障されて、自由な選択ができる環境が整えばいいなと思います。
事実婚にも法的権利を
一方、事実婚を選択した方はどのような理由が決め手だったのでしょうか。
・日本の婚姻制度に納得がいかないから
・「家に入る」ことに違和感があるから
に二票ずつ。そして、
・姓を変えなくていいから
・日本の家制度もだが、日本に限らず婚姻に懐疑的だから
という意見もありました。
「法律婚を選べばよかったと思ったことはありますか?」との質問の答えは、「いいえ」が100%でした。
事実婚を選択した方の意見です。
私とパートナーは年齢がいってから知り合ったこともあり、近所ながら別居で子どもが行き来をしている(子育て)運命共同体。ともに子育てをし、旅行にも出かけたりするので家族と呼べる関係性だが、お互いの生活や仕事のスタイルもあり、別居の方がいい関係でいられます。私たちのような関係でも法律婚と同じ権利(遺産相続、子どもの養育など)を得られるといいと思います。
事実婚を考える記事
事実婚を選択している漫画家の水谷さるころさん。事実婚を選んだ理由、お子さんへの説明などを漫画にしていただきました。
事実婚を選択した水谷さるころさんからのコメント
今回のアンケート結果を受けて、KIDSNA STYLEで「家族キモチ会議」を連載する水谷さるころさんにコメントをいただきました。
我が家は事実婚12年目です。事実婚……実際のところ生活のほとんどは法律婚と変わりません。我が家は母子別姓ですが、子どもの親として「母親の姓が違う」なんて、言わなかったらわかりません。親権の問題も、同居している限りほとんど問題になりません。我が家は共有財産を持たない主義で、一緒にローンを組むこともないので事実婚で困ることはほとんどありません。
じゃあどこに違いを感じているかというと「気持ちの違い」なのです。事実婚には「事実上の婚姻生活」が必要です。自分たちが最も心地よい関係を築けなければ婚姻生活が終わってしまいます。私は法律婚で失敗した反省から事実婚をしていますが、最初から事実婚という選択肢もあると思えば、初婚のときの意識も変わったかも……と思いました。なので今は「事実婚という選択肢もあるよ」と事実婚をオープンにしています。
法律婚は「安心おまかせパック」だとすれば事実婚は「カスタマイズプラン」みたいなものです。多くの人にオススメはしませんが、法律婚が合わない人はカスタマイズプランも考えてみてもいいかもしれませんよ。
まずは夫婦二人で話し合いを
事実婚という結婚の形がメディアで取り上げられる機会が増えていますが、今回のアンケートでは特段の理由なく法律婚を選択した方が大半を占め、しかし婚姻制度をより柔軟にしてほしいという意見が目立ちました。特に、法律婚を選択してはいるが、今すぐにでも夫婦別姓を認めてほしいと願う意見がいくつも寄せられています。
法律婚であっても、どちらの姓を選択するか、そして2人がそれぞれどんな人生を望むか、婚姻関係を結ぶ前に率直に話し合うことが必要なのではないでしょうか。
そして事実婚という選択肢は、地域や家庭によってまだまだ特別視される現状ですが、すべての人が自分たちの希望する形で結婚生活を送り、権利が守られる社会が望ましいでしょう。
KIDSNA STYLEでは、今後も変化する結婚の形を追っていきます。
<調査概要>
調査対象:子育て情報メディア「KIDSNA STYLE」のKIDSNAアンバサダー
調査期間: 2024年2月15日~26日
調査方法:インターネット調査
有効回答数:105名
名前が変わることに憧れがあった。家族の不幸が続き、名字を早く変えたいと思っていました。一方で、旧姓が途絶えてしまうため少し戸惑いもありました。