「年金だけで暮らす人」は早々に手放している…50代までに捨てておくべき「老後のお金を食い潰すもの」8選
「老後破産」を防ぐ最短の方法
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老後に備えるにはどうしたらいいのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは「お金を食いつぶす『もの』を現役時代にどれだけ捨てられるかが重要になる。50代のうちに捨ててほしいものがある」という――。
老後の備えは「負担を減らす」こと
そろそろリタイアが見えてきた――そういう年代になると、お金との向き合い方も変わってくるもの。「いかに資産を増やすか」を目指してきた現役時代とは異なり、「いかに負担を減らすか」に軸が移ってくる。
そのためには、自分が持っているものを把握しなくてはいけない。貴重なお金を食いつぶす“負債”になりかねないものを洗い出すために。
この負債とは、処分・維持するのにお金や手間がかかるもの、家のスペースをムダに塞ぎ続けているもの、そうした生活負債を指す。それらを抱えたまま老後に入ると、整理されないものに囲まれ、常にストレスを感じながら暮らすことになる。
老後こそ前向きな気持ちでお金を使いたいと思う人は、体力や気力が十分なうちに生活負債を片付けたいものだ。余計なものを処分して暮らしがシンプルになれば、お金の使い方も変わってくる。
それ以上ものを増やすことがなくなり、その分お金が貯まり始める。そこからいい循環が生まれてくるだろう。限られたお金で豊かに暮らすためにも、取捨選択をスタートしたい。
「判断に迷うもの」こそ早めに捨てる
「年齢とともに集中力が続かなくなった」という声を聞く。そのせいで一つ判断するにも時間がかかる。高齢者の家にモノがどんどん溜まってしまうのも、捨てるという決断がなかなかできないせいもあるだろう。「判断に迷う」次のようなものこそ、待ったなしだ。
① 数が多い金融機関の口座
年齢が上がるごとに保有する銀行口座の数が多くなっていくもの。マイボイスコムの2025年調査によると保有口座数は3つと答えた人が22.6%と最も多いが、5つ以上も全体の3割ほどいる。多く所有しているのは男性50~60代の比率が高いという。
例えば、ボーナス時期に高金利を打ち出すネット銀行やネット支店の定期預金に惹かれて口座を開いた経験はないだろうか。その後ほとんど出し入れしていない休眠状態の口座があるなら、早めに解約の手続きをしよう。ご存じの通り、最近の銀行は、2年間など一定期間稼働がなかった口座に1000円ほどの「未利用口座管理手数料」を課す方向だ。気づかないうちに預金が目減りしていたらがっかりだ。
特にネット銀行やネット証券は、本人しかログインパスワードを知らないケースが多く、人任せにはできない。自分が保有する金融機関の棚卸をし、口座を残すもの・解約するものの判断をして、整理しておくのが後々のためだ。自分の全資産を把握するきっかけになるし、その後の管理も楽になる。