夫婦間の衛生観念や金銭感覚のズレ、どう解決する?あつたゆか『共働きのすごい対話術』

夫婦間の衛生観念や金銭感覚のズレ、どう解決する?あつたゆか『共働きのすごい対話術』

2022.12.23

KIDSNA STYLE編集部が選んだ、育児や教育、夫婦関係にまつわる話題の最新書籍を紹介する企画。今回は、あつたゆか『仕事も家庭もうまくいく! 共働きのすごい対話術』(クロスメディア・パブリッシング)をご紹介。パートナーシップの専門家が、夫婦ふたりの理想を叶える対話の方法を明かす本書を一部抜粋・再構成してお送りします。後編では、具体的な悩みを例に挙げ、解決するためのポイントを解説していきます。

▼▽▼記事前編はこちら▼▽▼

味方であるはずの夫婦がなぜ「対話」につまづき「対立」してしまう?あつたゆか『共働きのすごい対話術』

味方であるはずの夫婦がなぜ「対話」につまづき「対立」してしまう?あつたゆか『共働きのすごい対話術』

「家事の基準」や「衛生観念」がすれ違ってイライラする

家事へのこだわりや掃除に求めるクオリティなどは、お互いの育った環境や、長年かけて形成してきた生活習慣などによる違いがあります。

伝え方を工夫して役割分担を見直せばよいというものでもなく、長年のこだわりであれば、負担を減らしたりすることも難しく、頭を抱えてしまう気持ちはよくわかります。

この場合は、長期戦になりますが、それぞれの違いに歩み寄っていく「異文化交流」が必要です。

お互いの理想や許容範囲についてじっくりと理解し合い、そのうえで、ふたりの基準を定義することが何より大事です。

たとえば、「ちゃんと掃除をする」といったとき、髪の毛一本も落ちていない状態を指すのか。

それとも多少のホコリに目をつぶったとしても、最低限、床に何もモノが落ちてない状態を指すのか。

 
※写真はイメージ(iStock.com/urbazon)

人によって「ちゃんと」の基準は違います。

だからこそ、ひとつずつ定義をすり合わせていく必要があります。

また、仕組みに頼ることで解決に近づくこともあります。

共働き夫婦のリカさん・テツヤさんの事例をご紹介します。

綺麗好きなテツヤさんと片付けが苦手なリカさんは、衛生観念の違いにより衝突することが多く、悩んでいました。

そこで、「ふたりにとって家はどんな場所でありたいか」「リビングはなんのためにあるか」「個人の部屋はどうあるべきか」を話し合うことにしました。

その結果、「共用のリビングやキッチンは綺麗に保つようにして、お互いの部屋はいくら汚くても干渉しない」と、エリア別にルールを設けたそうです。

テツヤさんは綺麗なリビングで時間を過ごせるようになり、整理整頓が苦手なリカさんも、自分の部屋はある程度汚くても大丈夫ということでストレスを感じなくなったそうです。

 
※写真はイメージ(iStock.com/Drazen_)

この問題で大事なのは、自分の基準を一方的に押し付けないことです。

自分が思っている「普通」の基準と、パートナーの基準は違うかもしれません。

あまりにもパートナーが片付けられないので調べてみたら、ADHD(注意欠如・多動症)という特性を持っていた、というケースもあります。

片付けが苦手な性質を持っている場合は、片づけやすい導線を工夫したり、収納スペースをわかりやすくしたりといった工夫も必要になってきます。

まずは「当たり前」を捨てる。

そこから、どんな状態が理想なのか、お互い何が得意で何が苦手なのか、どうやったらお互い無理なく基準を維持できそうかを対話してみましょう。

ストレスを100%なくすことは難しいかもしれませんが、軽減する方法はあるはずです。

長く向き合う覚悟と、ストレス軽減の仕組みをふたりで考えることが大切です。

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パートナーが仕事の愚痴を聞いてくれない

出産した女性が職場復帰後、自分の意思とは関係なく単調な仕事を割り振られたり、昇給・昇格の機会を与えられなかったりすることを「マミートラック」と言います。

社会全体で変えていかなければいけない問題ですが、職場で自分の意思と違う業務内容になったり、出世コースから外れたり、理不尽な目に遭ったりしたときは、パートナーに相談したくなりますよね。

「仕事の不満や愚痴をパートナーに聞いてほしい」「でも毎日聞くのはつらい」という葛藤は、結婚生活でよくあるお悩みのひとつです。

 
※写真はイメージ(iStock.com/kazuma seki)

つい、「愚痴を聞くか、聞かないか」という0か100かで考えてしまいがちですが、白黒思考にならず、お互いに良いバランスを見つけることをおすすめします。

ある共働き夫婦の例を紹介します。

ソラさんは、管理職になってからストレスが増え、つらい状況にありました。

そのとき夫のショウヘイさんから、次のアドバイスをもらったそうです。

「大変な状況を支えたい気持ちはあるんだけど、愚痴を毎日ぶつけられるとつらいから、同僚やカウンセラーに話したり、気持ちを日記で整理したりと、分散してもらえると助かるんだけど、どうかな?」

それからソラさんは管理職向けのカウンセリングサービスを利用したり、ストレスが溜まったときは日記アプリで自分の気持ちをひたすら書いたりと、自分の感情をある程度整理してから、ショウヘイさんに話せるようになりました。

くわえて、夫婦のSlackにお互いに思ったことをつぶやく「分報」チャンネルを作りました。

「今日も疲れた……!」「上司からの資料の指摘が大変だった」など、自分の気持ちをシェアするチャンネルを作ったことで、ショウヘイさんもソラさんの置かれている状況が理解しやすくなり、適切にサポートできるようになったそうです。

「私の愚痴を聞いてくれないパートナーが悪い」と対立構造になりがちですが、主語を「私たち」にして、お互いがどうすればいいのか話し合ってみましょう。

パートナーと「金銭感覚」が合わなくてイライラする

何に価値を感じて、それにどのくらいの投資をできるかは、育ってきた環境や過去の経済活動によって人それぞれ判断基準が異なります。

そのお金の使い方をどう捉えているかがわからないまま話し合っても、「無駄遣いだよ!」「いや、必要な支出だよ!」と平行線のままになってしまいます。

まずはこの考え方を念頭に置いて、「金銭感覚がおかしい」と決めつけずに、相手のお金に対する価値観を知ることから始めましょう。

そこで、支出を「消費」「浪費」「投資」の3種類に分けて考えてみましょう。

そして、お互いに何がそれぞれにあたると捉えているのかを話し合います。

 
※写真はイメージ(iStock.com/kazuma seki)

それぞれ、一般的には次のような区分けで認識できるでしょう。

・消費:生活に必要なものの購入費用、支払い(例:日々の食料品、通信費、家賃など)

・浪費:無駄な出費や、必要以上の贅沢(例:ギャンブル、利用していないサービスの会費など)

・投資:生活に必要ではないが将来または役に立つ出費(例:株式投資、貯蓄、スキルアップのための勉強代など)

これはあくまで一般例であり、自分から見たら「浪費」だと思うことでも、パートナーにとっては「投資」だということは往々にしてあります。

相談者さんが浪費だと思っている飲み会の出費も、夫にとっては人脈構築の場であり、今後のキャリアのための「投資」と捉えているかもしれません。

また、逆に相談者さんにとって便利家電は仕事を家庭と両立させるために必要な「消費」かもしれないですが、夫にとっては機能が充実しすぎていて不必要な「浪費」に見えているのかもしれません。

パートナーのお金に対する捉え方を知り、「消費」「浪費」「投資」のどれを良しとして、どれを削るかを話し合うのがよいでしょう。

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記事でご紹介した以外にも、「ふたりらしい生き方を叶える対話『4つのコツ』、「建設的な対話に必要な『6つのマインド』」など、夫婦などのパートナーシップをよりよいものにするヒントが満載! 書店やネットショップでお買い求めください。

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あつたゆか『仕事も家庭もうまくいく! 共働きのすごい対話術』(クロスメディア・パブリッシング)

2022.12.23

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