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子どもの共感力は育てられる?思いやりがある子とない子の違い
子育て中のパパやママであれば、誰もが1度は「子どもに思いやりのある子になってほしい」と望んだことがあるのではないでしょうか?思いやりに必要な「共感力」は、実は生まれたときから備わっています。では、その共感力はどのように育てたらよいのでしょうか?この記事では、子どもの共感力について徹底的に解説します。
子どもの「共感力」とは?
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共感力とは、相手の気持ちを自分のことのように感じたり、相手の立場に立って考えたりする力のことです。
相手の気持ちに共感したうえで「力になりたい」「助けになりたい」と思い、言葉をかけたり行動したりすることを「思いやり」といいます。思いやりのあるふるまいをするには、まず相手の気持ちを想像しなければいけないため、共感力が必要不可欠になるのです。
子どもの「共感力」は生まれたときから備わっている
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共感力は、いつから芽生えるのでしょうか?実は、子どもは生まれた瞬間から共感力を備えています。たとえば生まれたばかりの赤ちゃんが、お母さんのほほえみに応じて笑ったり、周りの赤ちゃんが泣きだすのと同時に泣き出してしまったりするのも共感力があるからといわれています。ただ、赤ちゃんのうちは自分と他者の区別がよくわかっていないため、周囲の人の感情をそのまま自分の感情として受け取っているだけのようです。
2歳前後になると自分と他者の区別がついてくるといわれており、4歳前後から徐々に相手の立場に立ってものごとを考えられるようになってきます。何度も試行錯誤するなかで「自分と相手は違う感情を持っている」ということを理解し、徐々に思いやりのある行動ができるようになっていきます。
共感力が高い子どもの特徴
共感力は目に見えるものではないため、自分の子どもが共感力が高いのか低いのかわからないと感じている保護者は多いのではないでしょうか?以下では、共感力が高い子どもの特徴を紹介します。
周囲のお友達とコミュニケーションがとれる
共感力が高い子は、周囲とのコミュニケーションが円滑にできます。ただ「会話をする」というのではなく、相手の言葉を受け止めて寄り添うことができるため、相手に安心感を与えることができます。また、自分が使いたいおもちゃをお友達が使っている場合なども「貸して」「一緒にやろう」など、相手を傷つけずに自分の気持ちを伝えるのも上手です。
共感力の高い子は前向きなふるまいが多いため、周りの人から好かれやすく、友だちも増えやすい傾向にあります。
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人に興味がある
共感力の高い子は「相手のことを理解したい」という気持ちを強く持っています。そのため、人との関わりを求める行動が多くなります。そうすると、自然と人に共感する場面が増え、さらにその力が磨かれていきます。
「自分と違う」に肯定的
共感力が高い子は、相手の価値観が自分と違う、つまり共感できないことが起きたとしても「そういう考え方もある」と柔軟に捉えられる特徴があります。自分や他者の感情を否定せず受け入れられるため、自己肯定感や幸福度が高いという特徴もあります。
共感力が低い子どもの特徴
共感力が低い子は、自分本位な考え方をするのが特徴です。「自分は〇〇がしたい」「〇〇されて嫌だった」など自分の気持ちばかりが先行してしまうため、自己主張が強くなってしまいがちです。自分にとっての正義が正しいと思ってしまいがちなので、自分の価値観から逸脱する人やふるまいに対して否定的で強く排除しようとしてしまうこともあるようです。
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子どもの共感力を育む方法
共感力が高い子どもは、総じて周りと円滑にやりとりができ、幸福度が高くなる傾向があることがわかります。自分の子どもを共感力の高い子に育てるには、どのような方法があるのでしょうか?1つずつみていきましょう。
保護者が子どもの気持ちに寄り添う
共感力を育てるうえで1番大切なポイントは、子ども自身に「共感してもらえた」という体験を多くさせてあげることです。うまく言葉が出てこずお友達と喧嘩をしてしまったときや、失敗して落ち込んでいるとき、嬉しい体験ができたときなど、感情が大きく動いたときに「本当は〇〇だったんだね」「うんうん、わかるよ」など、子どもの気持ちに寄り添い、代弁してあげましょう。気持ちに寄り添ってもらえる経験は、思いやりの気持ちを育むことにつながりますよ。
子どもの意志を否定しない
「コップの水を何度も移す」「高いところにのぼる」など、一見意味のないことや危険なことに見えても、子どもなりに考えて行動していることはたくさんあります。子どもの行動が気になったときは、いきなり否定するのではなくなぜその行動をしようと思ったのかを聞くところから始めましょう。子どもの考えを聞いたうえで「落ちたら危ないから、ここはのぼってはだめだよ」などの声かけをしてあげることで、「わかってもらえた」という納得感や安心感を与えてあげられるはずです。
絵本の登場人物の気持ちを考えてみる
絵本を読み聞かせるときは、「この主人公はどんな気持ちだったと思う?」など、登場人物の気持ちを考えてみる機会を作ってみましょう。最初はうまく言葉にできなかったり、見当はずれなことを言ったりすることもありますが、否定しないことがポイントです。「〇〇ちゃんはそう思ったんだね」と前置きし「ママは〇〇だと思ったよ」と会話を楽しみながら他者の気持ちを想像する練習をしていきましょう。
ごっこ遊びをする
ごっこ遊びは共感力を育てる最適な遊びです。おままごとでお母さんの気持ちになったり、お友達とのお人形遊びでお人形の気持ちを代弁しながらお友達とのやりとりをしたりするなかで、自然と他者の気持ちを考えるトレーニングができますよ。
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保護者が自分の気持ちを伝えるようにする
子どもとの会話では、まず保護者がアイメッセージで自分の気持ちを伝えるように意識してみましょう。アイメッセージとは、主語を「私」にして自分の気持ちや考えを伝える方法です。例えば、子どもと一緒に遊んでいるときにお母さんをたたいてしまったとします。「たたくのはよくないよ」と常識やルールをもとに言い聞かすのではなく「ママはたたかれて悲しかったよ」と伝えることで、「自分は遊びの延長だと思っていたけど、ママは悲しかったんだな」と、自分の気持ちと他者の捉え方が違うことに気づくことができます。
こうしたやりとりを繰り返すなかで、子ども自身も自分の気持ちを言語化できるようになり、加えて「他者は自分と違う考えを持っている」ということに気づくきっかけにもなっていきます。
共感性が高すぎる子どもの注意点
共感力は、周囲とのやりとりを円滑にするうえで非常に大切な要素です。生まれつき高い共感力を持っている子もおり、そのなかには共感力が高すぎる子どももいます。共感力が高すぎると、子ども自身が追い詰められてしまったり、苦しい気持ちになったりすることもあるため、共感力のネガティブな側面も理解し、子どもの特性に合わせて適切にサポートしてあげましょう。
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周囲の人の感情に振り回されやすい
共感力の高すぎる子は、他者の気持ちを自分の気持ちに重ねてしまう傾向があります。ポジティブな感情であればいいものの、怒りや悲しみなどネガティブな感情に同調しすぎてしまった場合、相手以上に落ち込んでしまったり心が不安定になったりすることも。他者の気持ちに寄り添いすぎて負担を感じるときは意識的に人と距離をとったり、あえて鈍感さを身につけたりすることも大切です。
自分のことを後回しにしてしまいがち
共感性の高すぎる子どもは、「空気を読むこと」が得意であり、周囲の感情を敏感に感じ取り、合わせてしまいがちです。その場の空気を悪くしないように自分の気持ちを抑えてしまうこともあるため、本当にやりたいことができなかったり、自分の気持ちに反することをするあまり、辛い思いをしたりすることもあるようです。
子どもの共感力は「共感してもらえた」という気持ちが育む
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子どもに思いやりのある子になってほしいなら、共感力を育てるのが大切です。共感力は生まれながらに備えている能力ではありますが、「共感してもらえた」という経験を多く積むことでより育むことができますよ。
一方で、共感力によって子どもが苦しい思いをしないよう、ネガティブな側面も理解しておきましょう。もし子どもにとって共感力が過度な負担になっていると感じた場合は「あなたの気持ちも大切にしていいんだよ」といった声かけなどでフォローしてあげることも大切です。