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おこづかい、お年玉の渡し方と使い方で学ぶお金のルール
KIDSNA編集部が選ぶ、子育てや教育に関する話題の書籍。今回は、キッズ・マネー・スクール代表・三浦康司氏が、これからの時代を生きる子どもに伝えるべき、お金の知恵を分かりやすく解説した『10歳までに身につけたい一生お金に困らない子どものルール』(青春出版社)を一部抜粋・再構成してお届けします
お金の「価値」を子どもに説明できますか?
私は講座でよく、「1000円は重いですか? 軽いですか?」という質問をしています。
千円札をイメージした子は「軽い!」と言います。そこで、ビニール袋に一円玉を1000個詰めた袋を見せて、持ってもらいます。文字通り、ずっしり! ものすごい重さです。
片手だと持てない子もいます。これも千円札1枚と同じ「1000円」です。一円玉1000枚の重さを実感すると、千円札1枚に子どもが抱くイメージも変わってきます。
現代のキャッシュレスの流れを止めることはできないでしょう。子どもがお金のリアルさを実感できる環境が乏しいのなら、親が意識的に教えていくしかありません。
この袋から1円玉を1枚抜き取ったら、1000 円のおもちゃは買える? 答えは「NO !」ですね。そう考えると「1円玉1枚の大切さ」がよくわかります。
生きること=お金を使うこと
子どもが蛇口をじゃーじゃー開けっぱなしにしたり、ティッシュペーパーを無駄に何枚も抜き取ったりすると、「あー、もったいない!」って思いますよね?
そんなときこそ、「水にもティッシュにもお金がかかっている」ということを教えるチャンスです。ただし、言い方が感情的にならないように、そこだけ注意してくださいね!
たとえば、『それはエコまちがい? 震災から学んだ、2030年の心豊かな暮らしのかたち』という本には、1人がお風呂で使う水の量などが、わかりやすいイラストで解説されています。
こういう本を見ると「うわ、こんなに!」と子どもはびっくりするかもしれません(親もそうですね!)。
あるいは、先月と今月の水道代や電気代を比較検証してみるのもいいかもしれません。
どうしたら節約できるか? どこに無駄があるか? 子どもと一緒に考えてみましょう。
そうしたら、ふだん何気なく使っているあらゆるものにも「お金」がかかっていることが、少しずつ実感としてわかってきます。家計のためにも一石二鳥ですね。
こういうことを通して、親子で対話を積み重ねていけば、「お金は湧いてくるものじゃない」「お父さんとお母さんが働いて得た、限りある資源みたいなもの」ということが、少しずつ理解できるようになると思います。
おこづかいはいつから、いくらあげる?
お金の概念がわかってきたら、それがおこづかいをあげるタイミングです。たとえば、「あれ、買って!」「これ、欲しいなあ」と言い出したら、もうそれは十分に、お金の概念を感じ取っているサインだと思います。
よく、「子どもが使って失敗するといけないから……」と言う大人がいますが、それは失敗ではなく「学び」なんですね。小さい頃のお金の失敗は、少額ですし傷も浅いので、たかが知れています。
失敗をおそれずに、子どもにはどんどんお金に触れさせましょう。
また、よく、「おこづかいは月にいくらがいいのでしょうか?」と聞かれます。
この質問には、私は、親子で話し合って、一緒に決めることを提案しています。これが正しい決め方だと思います。家庭によって、300円だったり、100円だったりいろいろでしょう。でも、それでいいんです。
5歳のお子さんの1か月のおこづかいは、いくらが妥当か? 500円? 100円?……その根拠は何でしょうか?
年齢×100円という方もいらっしゃいますね。でもそこはそれぞれのご家庭の判断でいいと思います。
おこづかい、どんなかたちであげる?
おこづかいのあげ方は、【定額タイプ】【報酬タイプ】【混合タイプ】の3タイプをいつもご提案しています。
➀定額タイプ
1か月の定額を決めて渡すタイプです。
定額タイプのメリットは、毎月一定額が決まっているので、お金の管理を学びやすいことです。
定額タイプのデメリットは、話し合って決めた額なので、罰として減額するよ! という言い訳がきかないことですね。親にも覚悟が必要です。
➁報酬タイプ
お手伝いの対価によって金額を決めるというタイプです。お風呂そうじをしたら100円、お皿洗いをしたら100円とか、そういうものです。
報酬タイプのメリットは、お金は仕事の対価だということが実感しやすい点でしょう。
デメリットは、「リモコンとって」とちょっと頼み事しただけで、「いくらくれる?」なんて言われかねないこと。なんでも「お金に換算」するようになったらたまりませんが、そういうデメリットもあるわけです。
ですから、報酬タイプにするときは、「どんなお手伝いにはいくら」ということを、最初の話し合いできちんと決めるようにしましょう。
わが家の場合は、家族として気持ちよく暮らすために当然の仕事に関しては、お金は発生しないというルールを決めました。
親がちょっと面倒くさいな、手が回らないな……という家事をリストアップして、そこから子どもにやってもらいたいことを決めていくのもいいかもしれません。
➂混合タイプ
「定額タイプ」と「報酬タイプ」をあわせたものです。
報酬タイプは、お手伝いのモチベーションが下がってしまうと続かなくなります。ですから、小さいうちは頑張ってやっていても、大きくなるにつれて成り立たなくなることがあります。
混合タイプは、報酬タイプから定額タイプへ移行していくときに知っておくととても便利です。
ご家庭それぞれにいろんな基準や考え方があると思います。ぜひ、お子さんと話し合ってみてください。そして、一度決めたらしばらく試してみましょう。他の家庭と比較しないでくださいね。「ウチはウチ! よそはよそ!」で自信をもってやっていいんです。
おこづかいの使い方にもルールを作る
おこづかいの額を決めたら、使い方についても、ぜひ、親子で話し合って決めてください。子ども自身が、自分で使うお金の計画を立てます。
使途別に、私は3つの分け方をいつもご提案しています(注:毎月分ける額が変わってもOKです)。
貯金枠
半年~1年、もしくはそれ以上の期間、頑張って貯める枠
「いつか何か欲しくなったときのために準備しておこうね?」という問いかけで促すのがいいと思います。
理想は「◎をいつ頃に買いたいから△円貯めたい」と具体的にすることですが、小さい頃はそこまではできないですよね。
「あのゲーム欲しい」と子どもが言い出したとき、貯金が100円だったとします。そしたら、その貯金を「1か月で200円にしてみたら? 本当に欲しいなら、できるかな?」
と提案してみます。
もしくは「2000円まで貯めてみよう! そこまで貯められたら、残りはお母さんが払ってあげるね」と提案してもいいですね。
ありがとう枠
感謝の気持ちや、誰かの役に立つための枠
家族やお友だちの誕生日プレゼント、寄付など、人のために使う「感謝」のお金です。
お金は「ありがとう」と交換するものだと、私は子どもたちに伝え続けています。ありがとう枠は、「寄付枠」とも言っていますね。
コンビニのジュースを買ったとき、コンビニの店員さんは「ありがとうございました」と言います。
私たちもジュースが欲しくてお金を使って、ジュースという“もの”に交換しているんです。お金が行き交うことで、「ありがとう」という言葉も行き交っています。
自分枠
生活の中で、“必要に応じて買うもの”の枠
おもちゃやジュース、おやつ、筆記用具など、自分が欲しいと思って買うものです。
学校で使う文房具などは、自分で買うか、おうちの人が払うのか、など家族で決めるといいと思います。
この枠の予算については、おうちの人たちは一切口を出してはいけません。渡した以上は、子どものお金です。
おこづかい帳とお財布について
おこづかい額と使い方を決めたら、おこづかい帳をつけましょう。ただ、小学校高学年から中学生くらいなら使いこなせるものの、小学校1、2年生くらいだと、ちょっと難しいんですね。
そんなときは、使った分のレシートだけは必ずもらうようにして、「レシートをノートに貼りつけるだけ」でもいいと思います。
楽しく使うことも学ばせたいのに、お金の管理をあまり厳密にしすぎると子どもにもストレスですし、親子でケンカになってしまいますから。それでは、本末転倒ですよね?
おこづかいを持たせると同時に、「どんなお財布を持たせるか?」も考える機会が必ず
あります。最初のお財布は、子どもと一緒に買いに行って、自分で選ばせるのがいいと思
います。
ちょっと大人な気分にもなりますし、財布を持つだけでワクワクした気分にもなります。