なぜ岡山大は世界初の医療ロボットをつくれたのか…東大京大でも苦しむ「組織の壁」を地方大が突破できたワケ

なぜ岡山大は世界初の医療ロボットをつくれたのか…東大京大でも苦しむ「組織の壁」を地方大が突破できたワケ

トヨタの元技術者が担った「技術」以外の大きな役割

岡山大学は、今年、商品化されれば世界初となる治療用ロボットを開発した。そこには医学部と工学部の密接な連携があった。ジャーナリストの春川正明さんは「一般的に、医工連携はなかなかうまくいかないとされる。岡山大学がその壁を乗り越えられたのには、キーマンの存在が大きい」という――。

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写真提供=岡山大学 (左から)松野隆幸教授(工学部)、亀川哲志教授(工学部)、平木隆夫教授(医学部)

岡山大学が開発した医療ロボットとは

「このようなロボットは世界的にほぼ前例がないので、どういうデザインにして、どう動かしていくかも含めてゼロからのスタートでした」

岡山大学医学部の平木隆夫教授(放射線医学)は、広く商品化されれば世界初となる治療用ロボット「Zerobot(ジーロボット)」を10年以上かけて“医工連携”と“産学連携”で開発した。

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撮影=春川正明 治療用ロボット「Zerobot」

現在、一部病院では肺や腎臓などにできたガンに対し、医師がCT(コンピュータ断層撮影)の画像を見ながら医療用の専用の針を刺す治療が行われている。

この治療によってガンの組織を取り出したり、ガンを焼いたり凍結したり薬剤を入れたりするのだ。従来の手術に比べ、体を切開する必要がなく針が通るだけの傷ですむので、患者への負担も小さい治療法だ。岡山大学病院では1年間に約640件行われている。

ところが、この治療で大きな問題になっているのが『医師の職業被曝』だ。CTは撮影時にX線を出すため、装置の近くで治療する医師は被曝ひばくしてしまうのを避けられない。

「CTからのX線で(医師は)被曝しながらやっているが、この被曝を無くしたいという思いで開発しました」(平木教授)

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写真左=通常の手技による針刺し(写真提供=岡山大学医学部放射線科)・写真右=治療用ロボットの遠隔操作(撮影=春川正明)
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2025.10.16

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