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赤ちゃんのおんぶはいつから?メリットやデメリット、注意点など
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医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
赤ちゃんをおんぶできると、両手が自由になり、家事など行動の自由度がぐっと増します。しかし、赤ちゃんをいつからおんぶしてよいのか迷う方もいるかもしれません。今回は、おんぶの開始時期から、おんぶのメリット・デメリットや注意すべきポイント、おんぶ紐の選び方やおんぶの方法までをご紹介します。
赤ちゃんはいつからおんぶできる?
日本では昔から馴染みのある子守りの方法のひとつである「おんぶ」。抱っこと異なり、赤ちゃんが常に縦の姿勢になるおんぶは、いつから始めてよいのでしょう。
おんぶの開始時期は、基本的に赤ちゃんの首がしっかりとすわってから可能とされています。体に比べて頭が大きい赤ちゃんは、首の筋肉も未発達。首がすわる前におんぶしようとすると、赤ちゃんの首が前後左右に倒れてしまい、事故につながる恐れがあるため大変危険です。
赤ちゃんの首すわりの目安
「首がすわる」とは、大人が赤ちゃんの頭を支えなくてもグラグラせず、首がしっかりと安定した状態のこと。
首がすわる時期には個人差があり、早い子だと生後2カ月頃から、一般的には生後3~4カ月頃が多く、生後4~5カ月頃になるとおよそ9割の赤ちゃんの首のすわりが完成するといわれています。
首すわりの確認方法
あくまで目安にはなりますが、赤ちゃんの首がすわっているかどうか判断するには、以下のような方法があります。
・赤ちゃんを縦に抱っこしたとき、頭がグラグラしない
・赤ちゃんをうつ伏せに寝かせたとき、自分自身で頭を持ち上げられる
・仰向けに寝かせた赤ちゃんの両手を持って体を起こすと、首が遅れずについてくる
首すわりは3~4カ月健診でも確認される項目です。首すわりの発達について問題ないと医師に診断されてから、おんぶを開始するとよいでしょう。
首すわりの時期は目安に過ぎず、個人差があるため、あまり心配し過ぎないようにすることも大切です。なんらかの異常を疑う場合や不安を感じる場合は、健診時に医師に相談してみるとよいでしょう。
おんぶのメリット・デメリット
おんぶをすることによって得られるメリットや、どのようなことをデメリットとして知っておく必要があるのかについてご紹介します。
おんぶのメリット
おんぶの最大のメリットといえば、やはり大人の両手が空くことにより、家事などをスムーズに行うことができるという点ではないでしょうか。加えて、抱っこに比べて自然な立ち姿勢に近づくため、大人の体への負担が軽くなるということも挙げられます。
また、赤ちゃんにとっても以下のようなメリットがあるとされています。
・密着感があり、ぬくもりから安心感を得られる
・大人の肩越しに周囲を見渡すことで、目に入る情報量が増え刺激になる
おんぶされている間の赤ちゃんは、しがみついたり腰を伸ばしたりすることで、体のさまざまな筋肉を使っています。本能的に落ちないための体勢をとることで、自然と体幹が鍛えられ、バランス感覚が養われることも期待できそうです。
おんぶのデメリット
おんぶにはたくさんのメリットがある反面、以下のようなデメリットについても知っておく必要があります。
・赤ちゃんの様子をすぐに確認できない
・授乳中に胸を長時間圧迫してしまうと、乳腺炎を引き起こす可能性がある
・腰痛持ちの場合は、悪化させてしまう可能性がある
おんぶをしている間は、赤ちゃんが興味のある物を触ろうとして身を乗り出すこともあるため、細心の注意が必要です。外出時や狭い場所に出入りするときなどは、特に気を付けましょう。
赤ちゃんをおんぶするときに注意すべきポイント
赤ちゃんをおんぶするときは、どのような点に気を付けたらよいのでしょう。注意すべきポイントについてまとめました。
赤ちゃんが落下しないよう十分気を付ける
赤ちゃんを背負うときは、赤ちゃんの腕や肩がおんぶ紐の上部からはみ出さないようにすることが大切です。はみ出していた場合、前屈みになったときに赤ちゃんが頭から転落してしまう危険性があります。
また、赤ちゃんを背負うときや降ろすときは、在宅時・外出時ともに必ず低い姿勢で行いましょう。ソファやベッドなど、クッションとなるものがある場所で行うようにするとよいですね。このとき、バックルの留め忘れがないかどうかもしっかりと確認します。
なお、ウエストベルトは、緩め過ぎると赤ちゃんが落下する危険性があり、逆に締め過ぎても赤ちゃんの血液循環や呼吸の妨げになる可能性もあるようです。使用するおんぶ紐の取扱説明書を参考に、適切な具合で行うようにしましょう。
赤ちゃんが正しい姿勢になるようおんぶ紐を装着する
赤ちゃんの脚は、両膝と股関節が曲がった「M字型」が正常な状態。脚を伸ばした状態が続くと、股関節を脱臼する恐れがあるため、注意が必要です。
おんぶをする際は、赤ちゃんの脚がきちんとM字型になっているか、手が上に出てしまっていないか、お尻が座面にしっかりと乗っているか、背中が自然なカーブになっているかを確認し、赤ちゃんが正しい姿勢になるよう装着しましょう。
長時間のおんぶは避ける
おんぶは自由に動きやすくなるため、つい家事や用事をまとめて済ませてしまうこともあるかもしれません。長時間のおんぶは、大人・赤ちゃんともに体に負担が掛かります。そして、大人が無理をして万が一転んだりなどすれば、危険に晒されるのは赤ちゃんです。
長時間作業をする際は、抱っこ紐を併用する、お昼寝をさせるなどして、おんぶだけに頼りすぎないことも大切でしょう。また、こまめに赤ちゃんの顔をのぞき、変わった様子はないか確認することも重要なポイントです。
おんぶ紐の選び方やおんぶの方法
おんぶ紐はどのような点を意識して選べばよいのでしょう。また、おんぶ紐を使ったおんぶの方法もあわせてご紹介します。
選び方
一般的なおんぶ紐には、大きく分けてクロス式とリュック式の2種類があります。
クロス式は昔ながらのおんぶ紐で、微妙なフィット感を調整できるため、より赤ちゃんと密着しておんぶをすることができます。また、赤ちゃんの顔が上部に来るため、大人の肩越しにいろいろな景色を見ることができ、赤ちゃんがたくさんの刺激を受けられるという利点も。
しかし、女性が使用する場合は胸が強調されることから、使う場所を選ぶ必要があり、現在はリュック式が主流になりつつあるようです。
リュック式は、対面抱っこや腰抱きなど、マルチな使い方ができるものが多いのが特徴。商品によっては、大人の体に掛かる負担が軽減されるように作られているものもあります。クロス式に比べると赤ちゃんとの密着度は低くなり、赤ちゃんが後ろに反りやすいため、おんぶにある程度慣れてからリュック式に切り替えるとよいでしょう。
おんぶ紐は安定感とフィット感が重要なため、初めて購入する際は店頭で試してみるとよいですね。おんぶをしながら体を動かすことも考え、下記をポイントに選ぶとよいでしょう。
・ホールドカバーやヘッドサポーターなど、赤ちゃんをしっかり守れる設計になっているか
・通気性がよい素材や構造であるか
・丸洗いできるか
また、おんぶもできる抱っこ紐を使用する場合は、どの製品を選ぶかが大変重要になってきます。抱っこ紐を選ぶ際は、SGマーク(※)がついているか確認するとよいでしょう。
※Safe Goods:安全な製品の略で、民間の第三者機関が検証し、基準に適合する製品に付けられるもの
おんぶの方法
赤ちゃん・大人ともにおんぶに慣れるには練習が必須。最初はおんぶ紐を使わずに素手で、家族などにサポートしてもらいながら行いましょう。
おんぶ紐を使った代表的なおんぶの方法をご紹介します。
【赤ちゃんを背負うおんぶの方法】
1.ソファーやベッドなどにおんぶ紐を敷き、その上に赤ちゃんを仰向けに寝かせる
2.おんぶ紐に合わせて、赤ちゃんの脚をM字型になるよう調整する
3.大人が赤ちゃんの上に仰向けになるような姿勢をとる
4.腰や肩のベルトを固定し、大人が起き上がる
赤ちゃんをおんぶ紐に対して上の位置に置き過ぎると、重心が偏ってしまい、起き上がったときに赤ちゃんが頭から落ちてしまう可能性も。仰向けに寝かせるときは、赤ちゃんの腰や頭の位置をよく確認しましょう。
【赤ちゃんを前から後ろにずらすおんぶの方法】
1.立て膝をつき、おんぶ紐を腰に付ける
2.赤ちゃんを縦抱きから、腰抱き状態にする
3.脇の下をくぐらせるようにしながら、赤ちゃんを少しずつ後ろにずらしていく
4.適度に前屈みの体勢になり、赤ちゃんを背中に乗せる
5.赤ちゃんの位置や高さをゆっくりと調節する
赤ちゃんをずらすときは体から離れないよう、常に赤ちゃんの体を支えながら行いましょう。赤ちゃんを乗せる位置は、肩に乗せるようなイメージで行うとより安定感が高まります。
また、基本的なことではありますが、まずおんぶ紐や抱っこ紐の取扱説明書をよく読み、正しく安全に使用することが大切です。商品によって対象月齢も異なるため、購入の際にあらかじめ確認しておくとよいですね。
なお、首すわりの時期には個人差があるため、月齢はあくまで参考程度にし、赤ちゃんの首が完全にすわってから使用を開始しましょう。逆に、生後6カ月以降での使用を推奨しているおんぶ紐の場合は、首がすわったら使えるというわけではないので注意が必要です。
【シーン別】おんぶのコツ
自転車に乗る場合や双子の場合、赤ちゃんをどのようにおんぶしたらよいのか迷うこともあるかもしれません。おんぶのコツについてシーン別にまとめました。
自転車に乗る場合
そもそも、赤ちゃんをおんぶして自転車に乗ることは、法律上許されているのでしょうか。赤ちゃんをおんぶして自転車に乗れるのは、運転者が16歳以上であることが前提で、東京都では以下の場合とされているようです。
・幼児用座席を取り付けていない自転車で、幼児1人をおんぶする
・幼児用座席に幼児1人を乗せ、幼児1人をおんぶする
そのほか、地域によって細かな規則が異なるため、警察署のホームページなどを必ず確認しましょう。
また、幼児2人を前後の幼児用座席に乗せ、さらに幼児1人をおんぶすることや、おんぶ紐や抱っこ紐などの道具を使用しないおんぶ、抱っこでの乗車は大変危険なため禁止されています。
自転車は道路交通法上「軽車両」に分類されるので、違反をすると罰則が科せられる場合も。赤ちゃんや同乗する子どもの安全のためにも、交通ルールは厳守しましょう。
双子の場合
双子をおんぶしたい場合は、双子用の抱っこ紐を使って、1人をおんぶ、1人を抱っこします。1人用の抱っこ紐を2つ使ってしまうと、大人の肩や腰に大きな負担が掛かるだけでなく、それによってバランスが崩れ、転倒してしまう恐れも。赤ちゃんを危険な目にあわせないためにも、必ず双子用の抱っこ紐を準備しましょう。
赤ちゃんのおんぶにまつわる体験談
赤ちゃんのおんぶ事情について、ママたちに聞いてみました。
30代/3児のママ
30代/3児のママ
おんぶのメリットは、やはり家事や食事などのときに両手が使いやすい事だと思います。また、月齢が進んで重くなってきても、抱っこよりはつらくないように感じます。
30代/1児のママ
赤ちゃんの様子が見えないのが怖いので、抱っこが基本でしたが、料理をするときにたまにおんぶをしていました。ひとりではおんぶ紐の装着が不安だったので、家族がいるときに手伝ってもらっていました。
おんぶは、家事や食事などの両手を使って作業をしたいときや、子どもを2人連れて自転車に乗りたいときなどに便利だという声がありました。子どもの体重が重くなってきても、抱っこに比べると体に負担が掛かりにくいと感じるママもいるようです。
しかしながら、ひとりで背負うのが難しいことや、常に赤ちゃんの様子を確認できないことに不安を感じるという声も。自分ひとりの時間には行わず、家族に手伝ってもらったり、家族が赤ちゃんの様子を確認できるときなどに試してみてもよいかもしれません。
子どもの人数や生活スタイルなど、必要性や体の様子にあわせておんぶを上手く取り入れられるとよいですね。
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保科しほ
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
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1人目のときはおんぶの必要性を感じませんでしたが、2人目が産まれてから、保育園の送り迎えで自転車に乗るときはおんぶが必須でした。抱っこ紐でおんぶをするときは、抱っこの体勢から後ろに回すのが難しく大変でした。