【専門家監修】幼児教育で人気のフラッシュカードとは?効果を上げるコツや体験談、家庭で実施するときの注意点など

【専門家監修】幼児教育で人気のフラッシュカードとは?効果を上げるコツや体験談、家庭で実施するときの注意点など

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有元 真紀

有元 真紀

発達支援スクール「コペルプラス」代表講師

発達支援スクール「コペルプラス」代表講師。幼児教室「コペル」講師時代から、30年で延べ1万人の子どもたちの指導に携わる。 教育プログラム作成・レッスン・教室運営に代表講師として取り組むほか、現在は後進の指導、コラム執筆や講演などを通して、 凸凹の凸を伸ばす療育をより多くの子どもたち・保護者の方々へと届けている。

右脳を育てるためによいとされ、幼児教育でも人気が高いフラッシュカード。実際にはどのような効果があり、使い方にコツはあるのでしょうか。フラッシュカードにまつわる先輩ママの体験談や、フラッシュカードを手作りする方法も紹介します。

フラッシュカードとは?

フラッシュカードとは、大人が子どもにイラストを見せると同時にその名前を言い、次々とカードを見せていく教育法です。特徴的なのはスピードで、カメラのフラッシュが瞬くように1枚1秒以下で次々にカードをめくり、情報をインプットしていきます。

高速で情報を伝えることで、言語や論理的思考を司る左脳での判断が追いつかず、視覚での認識を司る右脳での情報処理が優先的に行われるといわれています。

フラッシュカードを始めるのに適しているといわれている年齢は、0歳~6歳くらいまでの未就学児です。未就学児は、脳の発達が最も著しい時期であり、シャワーのように良質な情報を浴びることで、イメージとして大量の情報を一度に処理できる右脳が活性化すると考えられています。

大体3歳頃になると左脳で考えることが増え、5~6歳になるとかなり左脳優位になっていくことから、できるだけ早い段階で取り組むことが推奨されています。


フラッシュカードの効果とは

では、フラッシュカードを行うことでどのような効果があるのでしょうか。もっとも大きな効果は、さまざまな言葉や概念を、小さいうちにスムーズにインプットができるという点です。

フラッシュカード以外では教えていないのに、子どもが実際には見たことのない動物や植物の名前を言えたり、自然とひらがなが読めるようになっていることで、効果を実感する保護者も多いようです。

さらに、大量の事実を学ぶことは論理に転換されます。例えば、果物カードを見せることで、カードでも見たことのない果物を見ても「果物の仲間かな?」とわかるようになるのです。

また、人が物事を認識するとき、「視覚」「聴覚」「身体の感覚」「言語」など、人それぞれに優位性が異なります。しかし、0~2歳頃の乳児期においてはほとんどが視覚優位です。その時期にフラッシュカードを行うことによって、見たものを映像のように記憶する能力を育みます。


フラッシュカードのジャンルはさまざま

フラッシュカードに使われるのは、子どもが見やすい大きさのカードです。表面にはイラスト、裏面または表面の下部などに名前が書いてあります。内容は、下記のようにさまざまな種類があります。

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※写真はイメージ(gettyimages/Jacob Wackerhausen)
  • 動作
  • 生活道具
  • 果物、野菜
  • 動物
  • 昆虫
  • 植物
  • 楽器
  • 乗り物

また、上記のような動詞や名詞だけではなく、小さい子どもには難しいかもしれないと感じるようなフラッシュカードまであります。

  • ひらがな
  • 国旗
  • 時計
  • ことわざ
  • 日本地図
  • 世界地図
  • 数字
  • 英単語
  • 星座
  • 偉人
  • ドット(数)

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※写真はイメージ(gettyimages/Zolotaosen)

これらは一見すると難しすぎると感じるかもしれませんが、子どもの発達や興味の対象によっては、ぐんぐんと吸収する内容かもしれないので、子どもの様子を見ながら取り入れてみてもよいでしょう。

また、フラッシュカードは通常の使い方の他にも、カードを見せて名前当てゲームをしたり、複数枚のカードを広げてグループ分け遊びをしたりと、応用が効くカードです。


フラッシュカードを手作りする方法とは

教育関連の有名企業が出しているフラッシュカードは人気ですが、価格が高く、いきなり買うのは躊躇してしまう保護者もいるかもしれません。そんなときは、フラッシュカードを手作りする手もあります。

フラッシュカードはめくるときに力がかかるので、薄い紙ではすぐに折れ曲がってしまいます。そのため、フラッシュカード専用の厚紙を使うことをおすすめします。イラストは、フリーサイトで検索すると大体のものは出てきますので、そのままフラッシュカード専用紙に印刷して使うことができます。

または、普通の画用紙を使い、イラストをプリントアウトしたあとに、ラミネートをかける方法もあります。

もしくは厚紙をフラッシュカードに使用する場合は、普通のコピー用紙にイラストを印刷し、それをのりで貼るという方法で作成することもできます。


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※写真はイメージ(gettyimages/Liderina)

イラストについてはフリーサイトから検索するほか、手描きでももちろん大丈夫です。手描きならではのオリジナリティを楽しむこともできるので、絵を描くことが好きな保護者は、挑戦してみてはいかがでしょうか。


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家庭で実践するときの注意点

環境を整える

フラッシュカードを行う際は、静かな場所で、親子ともに集中できるように環境を整えましょう。きょうだいがいて騒がしかったり、保護者も気持ちに余裕がないのに隙間時間で行おうとすると、子どもは集中できません。

フラッシュカードに期待しすぎない

フラッシュカードの効果は人によってもさまざまですが、過度な期待はしないようにしましょう。「フラッシュカードを続けると頭がよくなる」と過信することはせず、あくまで教育法のひとつだと認識しましょう。

適切なカードを用意する

フラッシュカードをお下がりでもらった場合や、手作りで用意する場合も、ある程度のクオリティは担保しなくてはいけません。たとえばイラストがわかりにくかったら子どもがやりたくなくなってしまうかもしれません。また、カードが古い場合は情報が正しくないことも考えられます。適切なフラッシュカードを用意して行いましょう。

五感を刺激することも忘れない

フラッシュカードばかりでは、五感を鍛えることはできません。たとえばリンゴのカードを何度も見せて言葉を覚えさせるより、手で触って、においを嗅いで、皮をむいて味わわせる。そのほうが脳にインプットされる情報量は圧倒的に多いのです。バランスよく情報を与えてあげるように気を付けましょう。


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※写真はイメージ(gettyimages/yamasan)

子どもの様子をしっかりと見ながら行う

子どもにフラッシュカードを無理やりやらせるような状態にならないように、子どもが楽しんでいるか、やりたがっているかどうかをしっかりと見極めましょう。しっかりと観察することで、子どもが何に興味を持っているかにも、気が付くことができるはずです。


フラッシュカードの効果を上げるコツ

フラッシュカードの効果がなかなか感じられないときや、もっと効果につなげたいというときは、下記のようなポイントも意識してみるとよいかもしれません。

クイズを取り入れる

フラッシュカードをひととおり見せたあとで、2枚カードを見せて「イチゴはどっち?」などとクイズを出して、それに答えてもらうことで記憶への定着につながります。

カードに飽きていないか確認する

フラッシュカードをあまり見てくれなくなったような場合は、もしかするとカードに飽きてしまっているのかもしれません。前述のとおり、フラッシュカードは自作することもできるので、新しいカードを取り入れながら行いましょう。

アウトプットを増やす

カードをひたすらインプットしても、子どもの発達段階によっては物足りなさを感じていることもありそうです。それまで保護者がカードをめくりながら名前を言っていたのであれば、今度は子どもに名前を言ってもらってみてもよいかもしれません。アウトプットが増えることで、また新鮮にフラッシュカードを楽しんでくれることもあるでしょう。


フラッシュカードにまつわる体験談

フラッシュカードにまつわる先輩ママの体験談を聞きました。


8歳児・5歳児のママ
8歳児・5歳児のママ

長男はわりとフラッシュカードが好きで、どんどんと単語を吸収していきましたが、次男はあまり好きではない様子でした。その代わり、図鑑を一緒に見ながらひとつひとつ覚えていくのは楽しそうにしていたので、向き・不向きがありそうだなと感じました

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※写真はイメージ(gettyimages/shironosov)
1歳児のママ
1歳児のママ

私はカメラにおさめたように、情報を画像として覚えることがわりと得意です。母に聞くと、0歳のうちから小学校低学年までフラッシュカードをよくやっていたと言っていました。それが絶対に必要な能力だとは思いませんが、子どもにもできるだけフラッシュカードを見せてあげたいなと思っています

1歳児のママ
1歳児のママ

親子で幼児教室の体験会に行ったときに、はじめてフラッシュカードを体験したのですが、想像以上の速さでめくられていくので驚きました。でも、1歳の娘はフラッシュカードにくぎ付けになっていたので、効果がありそうだと感じました

フラッシュカードを親子のコミュニケーションに

フラッシュカードは効果があると言われていますが、合うか合わないかは人によって違います。子どもが楽しんで取り組めているかどうかがもっとも大切です。

あくまで幼児教育のひとつの方法として理解し、親子のコミュニケーションを大切にしながら、フラッシュカードを取り入れていけるとよいですね。


監修:有元 真紀

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有元 真紀

有元 真紀

発達支援スクール「コペルプラス」代表講師。幼児教室「コペル」講師時代から、30年で延べ1万人の子どもたちの指導に携わる。 教育プログラム作成・レッスン・教室運営に代表講師として取り組むほか、現在は後進の指導、コラム執筆や講演などを通して、 凸凹の凸を伸ばす療育をより多くの子どもたち・保護者の方々へと届けている。

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