なぜお金が必要なのかを明確に。プロに聞く子育て世代の投資術【読者企画会議#5】

なぜお金が必要なのかを明確に。プロに聞く子育て世代の投資術【読者企画会議#5】

2024.03.06

ジェンダー、性教育、脳科学など独自の切り口で子育てを考えるKIDSNA STYLE。今後世の中に発信するテーマを読者といっしょに考える「読者企画会議」を開催。会議では自由に意見を交換し、KIDSNA STYLEが次に切り込むテーマの芽をいっしょに探していきます。今回は特別編として「保護者の投資事情」をテーマに、アクサ生命保険株式会社の小田さん、吉村さんを講師に迎え座談会を実施。将来に対する不安や、投資への心配を抱えていたKIDSNAアンバサダーの悩みは解消されたのでしょうか。

座談会参加者

大石さん(1歳児のママ)
大石さん(1歳児のママ)

投資経験は少しだけあります。今回はNISAと新NISAの違いについて教えてもらいたいです。


小谷さん(2歳・1歳児のママ)
小谷さん(2歳・1歳児のママ)

投資初心者です。慎重派でリスクは取りたくないので、お金のプロの方はどのような投資をおすすめするのか聞いてみたいです。


鈴木さん(3歳・2歳児のママ)
鈴木さん(3歳・2歳児のママ)

以前、ジュニアNISAを始めようと考えていましたが、制度が終わってしまい結局できませんでした。NISAには興味があるので、リスクの少ない運用方法を教えたもらいたいです。


山本さん(1歳児のママ)
山本さん(1歳児のママ)

投資運用の経験はありません。どのような投資を毎月いくらくらいすればいいのか、また、アンバサダーの皆さんは日々の節約をどのように工夫しているのか教えてもらいたいです。

そもそもNISAとは?

すでに多くの方が実施されているNISAですが、今一度その制度を振り返ってみましょう。一般的に、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、その利益や配当に対して約20%の税金がかかります。しかし「NISA口座(非課税口座)」内で、かつ、毎年一定金額の範囲内で、金融商品を購入すれば、得られる利益に対して税金がかからなくなるのです。このような理由から、近年ますます注目が集まっています。

参考:金融庁「NISAとは?」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html


これまでのNISAと新NISAの違い

大石さん:新NISAが始まったと聞きましたが、何が違うのでしょうか?

小田さん:大きな違いは非課税で運用できる期間と金額です。旧NISAでは5年間だけだった非課税期間が新NISAでは無期限に、つまり一生涯非課税で運用できるようになりました。投資できる金額の上限も以前の制度よりも上がっています。

アクサ生命 小田さん

山本さん:NISAを始めるには口座を開設しないといけないんですよね。どうやって選んだらよいでしょうか?

小田さん:NISA口座は銀行や郵便局でも開設できますが、私は投資の選択肢を広げるという意味で証券会社が良いと思います。銀行や郵便局では投資信託しか買えませんが、証券会社では株も購入することが可能です。また、証券会社のなかでも、ネット上で簡単に情報を得たり、売買がしやすいネット証券がおすすめですよ。

つみたてNISAはほったらかしが理想的?

大石さん:私は以前からつみたてNISAをやっていますが、運用実績をチェックしないといけないと思いつつ、忙しくて放置してしまっています。やっぱり定期的に確認したほうがいいですよね?

小田さん:実はつみたてNISAは放置がいちばんいい状態です。相場変動に一喜一憂するのはストレスですから。やっているけどほったらかしにしている状態が理想的なんですよ。

小谷さん:逆に私は、上がってるのか下がっているのか、ついつい見ちゃいます......。

小谷さん

小田さん:それはきっと、投資に対して怖いものだという認識があるのかもしれないですね。ルールさえ明確に守っていたら全然怖くありません。

そもそも、新NISAに限らず、投資はやみくもに始めるのではなくて、「老後に〇〇円備えたい」「子どもの学費を〇〇円貯めたい」など、資産運用をする目的と備えたい金額を考えてからスタートすることが理想です。増えたお金で、いつ、何がしたいのかが見えてくると、そこから逆算して投資金額や運用期間が見えてくるからです。

小谷さん:うちは、いまお金に困っているというわけではないですが、将来に対する漠然とした不安があって、節約しないといけないような焦りがあります。お金を使うことに対して罪悪感があって、欲しいものも買えなかったり......。

吉村さん:そういう方は非常に多いです。だからこそ、今後、家庭でどのくらいのお金が必要で、目標額をいくらに設定するのかを決めておかないと、その不安が何十年も続いてしまいます。

目的から逆算したうえで、月々の投資額が決まったら、残りは好きなことに使ったらいいと思います。もしパートナーの方がすごく節約家なのであれば、なんのためにそこまで節約するのかを、一度話し合ってみたほうがいいかもしれないですね。

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お金のプロが実際にやっている投資とは

鈴木さん:お金のプロであるお二方が実際にやっている投資について聞いてみたいです!

小田さん:iDeCo、NISAを含めてさまざまな投資をしています。iDeCoは節税にもなるのでやったほうがいいですが、60歳まで引き出せないので老後の資金を貯めることに向いています。一方で、新NISAには期限の縛りがないので、どのような目的にも使いやすいです。うちは小学生の子どもが2人いますが、学資保険はやっていません。

鈴木さん:投資信託や株の銘柄はどうやって選べばよいのでしょうか?

小田さん:まず、投資信託というのは、いろいろな銘柄の株をセットにした商品を言いますので、前提として株についてご説明しますね。

株はどのように選んだらいいのかを端的に言うならば、その企業の物が売れているかどうかを見ればいいのです。そして、物を買うのは人です。だから、その企業がある国の人口が増えているかどうかということを、まずは判断基準にするとよいですね。そう考えると、必然的に日本の株は選ばないと思います。

鈴木さん

大石さん:でも、海外の株となると、なおさら何を選んだらいいかわからなくなってしまいそうです。

小田さん:たしかに知らない会社に投資するのは怖いですよね。でも、AmazonやAppleは知ってるじゃないですか。そういうことでいいんですよ。今勢いのあるアメリカやインド、インドネシアなどの企業のなかで、聞いたことのある会社を選んでみたらどうでしょうか。

鈴木さん:どのくらいの金額を投資に使えばいいのでしょうか?

小田さん:金額は本当にいくらでもよくて、無理なく始められる金額からスタートするとよいです。たとえばパートナーのお小遣いを5千円削っていただくとか(笑)。その5千円でスタートするくらいでも大丈夫です。

「数千円の投資ではやっても意味ない」と考える方もけっこう多いのですが、全然そんなことはないんです。仮に月千円だとしても、10年間続けたら12万円ですよね。それがもし倍になったとしたら、24万円。けっこう大きくないですか?

大石さん

大石さん:月に数千円なら捻出できますね! 長期で保有する商品と、短期で売買する商品は使い分けたほうがよいのでしょうか?

小田さん:私はそうしています。アメリカの安定的な投資信託や、アメリカの不動産、中国やブラジルの株などは長期で保有しています。

逆に短期的に売買する分は、あまり聞いたことがない株もチャレンジで買ったりしています。自分のなかのルールとしては、20%損したらすぐに売ると決めています。そこは別の対象で取り返そうと、割り切るようにしています。

小谷さん:以前にFPの方に見てもらったときに、就労不能保険が足りていないと言われて、万が一働けなくなったときのために保険をかけるか、その分他の投資をしておくかで悩んでいます。

吉村さん:我々は個人事業主なので、自分が動けなくなったらすぐに収入がなくなってしまうので、就労不能保険には加入しています。ただ、貯蓄や運用は右肩上がりに増えるものなので、資産が貯まるまでの間で大丈夫です。万が一のことがあっても安心できる金額まで到達したら、解約してもよいと思います。

アンバサダーの日々の節約方法は

山本さん

山本さん:皆さんにお聞きしたいのですが、日々の節約は意識していますか? おすすめの方法があれば知りたいです!

大石さん:私は外食をすると本当に高いなと感じるので、なるべく家で手作りのものを食べるようにしています。食材はまとめ買いをするので、冷凍庫がもう1台あればいいなと思っています。

鈴木さん:私は、たとえば毎年必ず必要になるアウターは、少しいいものを買って、それを長く着るようにしています。安いものを毎年買い換えるよりも、長い目で見たら経済的だと思っています。

山本さん:私自身は携帯電話は格安simを使っていて、通話と通信でいちばん安いプランを組み合わせるなどして、料金を下げる工夫をしています。

お金のプロの方ならではの節約術もあれば知りたいです!

吉村さん:手取りを増やすという意味では、年末調整のときにいろいろな控除があるので、しっかり理解しておいたほうがいいと思います。ふるさと納税やiDeCo、医療費控除など、申請しないと返ってこないお金がけっこうあるので、普段の節約にプラスして行うといいですね。

吉村さん

投資の手段より、まずは目的を

投資というワードを聞くと、私たちはどうしても「損をしたくない」という感情が働いてしまい、必死に利益を生み出す手段を探してしまいがちです。
もちろん、資産運用を行えば必ずプラスになるというわけではないので、リスクを避けるためにも、事前の下調べは重要です。ですが、その手段を見つけるためにも、今一度、なぜ投資を行うのか、利益をどうしようしたいのか、これを機に目的を振り返ってみるのも良いかもしれません。


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