「勉強ができる人」と「勉強ができない人」のたった1つの違いとは。東大理三&日本三大難関資格に合格した河野玄斗の勉強法②

「勉強ができる人」と「勉強ができない人」のたった1つの違いとは。東大理三&日本三大難関資格に合格した河野玄斗の勉強法②

東京大学理科三類に合格し、日本三大難関資格である医師国家試験、司法試験、公認会計士試験を突破した河野玄斗さん。今回は河野玄斗さんの勉強法に迫ります。後編では、河野さんの受験生のときの1日のスケジュール、勉強ができる人とできない人の違いなどについて教えていただきました。

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(プロフィール)1996(平成8)年、神奈川県生まれ。株式会社Stardy CEO、河野塾ISM代表。東京大学医学部卒業。東京大学在学中に司法試験・医師国家試験に合格。大学卒業後は株式会社StardyのCEOをつとめながら公認会計士試験に合格。書籍『シンプルな勉強法』。YouTubeチャンネル登録者数は125万人。

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量をこなさなければ勉強の質は上がらない。東大理三&日本三大難関資格に合格した河野玄斗の勉強法①

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受験生時代の1日のスケジュール

――受験勉強をしていた期間の1日のスケジュールを教えてください。

受験勉強をしていた期間は、1日16時間勉強をしていました。移動中や朝食中も自習をしていました。ただ、眠くなったら一旦仮眠をとっていました。眠くて頭がぼーっとした状態では効率が悪くなってしまうので、それならと仮眠をとっていました。人間は睡眠の間に記憶を整理するといわれているので、仮眠を取ったあとに「あの単語はなんだったけ?」と記憶の定着のために有効活用していました。

休憩時間は、音楽を聴いていました。好きな1曲を大音量にして、一旦勉強の内容を頭から追い出すぐらいの音量で集中して聞いていました。

僕が休憩のときに意識していたことは、ちゃんと勉強に戻れるということです。スマートフォンを1回触ってしまうと止まらなくなってしまいますよね。だから、休憩時間だからといってスマートフォンは触らないと決めていました。

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――勉強に役立つグッズなど、当時ありましたか?または、現在ありますか?

役立つグッズはあまりないですね。だから、むしろ自分で作ってしまおうと思って、勉強に役立つ眼鏡を今開発しています。

人間は無駄に視野が広いといわれています。自分が見たいもの以外に、外敵が来るかもしれないと周辺もぼんやり見えています。でも、勉強においてはぼんやり見えるところには不要な情報しかなくて、その不要な情報が集中力を削ぐということが知られているんですね。

だから、目の前のものだけに視野を狭めて集中力を高める眼鏡を作っています。試作段階のもので作業や勉強をしてみましたが、とてもはかどりますね。

受験は本気で努力する経験を与えてくれる

――正直、河野さんは受験勉強は大切だと思いますか?

受験勉強は大切だと思います。理由は2つあります。

まず1つ目に、何かに向かって本気で努力できる経験はそれだけで尊いと思っています。今後の人生、何かの目標に向かって本気で頑張らないといけないときがありますよね。

そんなときに「あの時に自分は頑張ったから、こうすればいいんだ」ということが、受験勉強によってわかると考えています。

そして、ここから成功体験を積むことができれば、さらに次のチャレンジをしやすくなります。受験勉強は半ば強制的に参加させられるイベントですが、本気で頑張るというのはとても意義のあることだと思います。

2つ目は、勉強の側面からいえることです。例えば、数学は与えられた条件があって、この条件から求めたいゴール(答え)があります。

ここから「この条件から何がわかるか」「ゴールを求めるためには何がわかればいいのか」などをつなぎ合わせて、論理的に組み立てて答案にしていきます。このような論理的思考は、日常生活でも活かすことができます。今自分が置かれている状況から、どうしたら目標を達成できるのかを考える、これも論理的思考です。

実際、直面するさまざまな問題にも、論理的思考のプロセスと一緒だと実感しながら課題に取り組むことができているので、受験で培った力が他のところにも活きていると感じます。

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――資格の勉強においても、受験勉強と通じるものがあると思いますが、医師と司法試験、公認会計士の資格ではどのように勉強をされていたのでしょうか?

僕は先取り学習のおかげで、東大理三の合格は確実だったのですが、司法試験などの資格試験は遅れを取っている中で、短期間で合格しなければと思っていました。

僕が資格試験のときにしていたのは、資格の予備校の映像授業をなるべく早くすべて見終わるようにしていました。映像授業を早く見終われば、全体像が見えてきます。全体像が見えれば、過去問を解くにしても参考書を読むにしても、何をするにも効率がよくなるんですよね。全体像が見えない中で過去問を解いても、よくわからないとなって終わってしまいます。

全体像というものは地図のようなもので、今後勉強を進めていく上での土台になります。僕は、司法試験では全体像をつかむために映像授業を2倍速で見ていました。

――司法試験や公認会計士は、どれくらいの期間で取得するものなのでしょうか?

司法試験については、何年やってもなかなか合格しないといわれています。僕は8カ月で予備試験に合格しました。公認会計士は9カ月です。どちらもかなり短期間でしたが、ここまでの勉強で効率的な勉強とは?ということが肌に染み込んでいたように感じます。

とにかく全体像をつかむことが大切です。全体像がわかれば、「地図をこうやって埋めていけばいいんだ」と過去問の見方も変わってきます。

勉強ができる人、できない人の違い

――河野さんが考える勉強ができる人とできない人の差とは何でしょうか。また、勉強ができない人の勉強方法にはどのような特徴があると思いますか?

今自分がやっていることの目的が見据えられているかどうかが違うと考えています。今目の前でやっている勉強が、何のために行われているのかということを意識できていない人は勉強ができないと思います。

例えば数学の問題で、パラパラと見てなんとなく終わらせてしまう人は目的がわかっていません。そのため、1週間後に全く同じ問題を出しても解けないでしょう。「どうやって解くんだっけ?」と記憶を頼りにしているだけだと、回答を導き出せないです。

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※写真はイメージです(gettyimages/Thapana Onphalai)

大切なのは、回答を見たときに「どうやったらこの回答を導き出せるのか」「この問題を解ける人はどういう思考プロセスをしているんだろう」と考えることです。

考えることによってはじめて他の問題にも対応できるようになりますし、1週間後に同じ問題を出されても記憶を頼りにせず、「この問題にこうやって書いてあるから、こうやったら答えを導き出せる」と問題が解けるようになります。

つまり、問題を解いたときにゴールがどうあるべきなのかということを想像して、そのゴールに合った勉強方法を模索できる人が勉強ができる人だと思います。

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日本の学校教育に足りないのは個別最適化

――河野さんは中高一貫校に通われていたそうですが、学校教育や学校で行われている授業についてはどのように感じますか?

日本の学校教育にはいいところがたくさんあると思います。課題としてあげるのであれば、日本の学校は学習指導要領というものを定めて、日本の学校全体に合わせたものを定めているので、どうしても画一的な学習になってしまう点です。もちろん画一的な学習にはいいところもあるのですが。

ただ、それぞれの個人に合った学習というものをさせてあげにくくなるということが課題だと感じています。もっと個別最適化できたらいいと思います。

昨今AIの導入が進んでいるので、オンライン学習などができる環境が整えられています。自分でどんどん進められる映像授業のようなものが取り入れられたり、AIが問題を出してくれたり、個別最適な教育を行う時代が近づいているように感じます。

――そうなると、これまで以上に格差が生まれないでしょうか?

むしろ、格差は画一的な学習でみんな一斉に「よーいどん!」とされることで顕在化していると僕は感じています。

例えば、大谷翔平さんとメッシさんのどちらが運動神経がいいですか?と問われたら、比べられないと思います。多くの方がどっちもいいと言うと思います。学校でも同じことで、何か突き詰めてみたいことがあってその道をずっと歩み続けていれば、それはプロフェッショナルといえるでしょう。時間が短いからなどの理由で、この人より劣っているなどといわれてもまったくそんなことはないと思います。

「勉強が楽しい!」と思える子どもへの声掛け・働きかけ

――河野さんから先ほど「勉強はゲームみたいに楽しんで」というお言葉がありました。子どもにそのようなマインドを持ってもらうためには、親としてどのような声掛け・働きかけが必要なのでしょうか?

僕は、親自身が勉強を楽しいと思っていることが大切だと考えています。どんなに「勉強しなさい」「将来のためだから勉強しろ」などと言われても、言っている本人が何もやっていなかったら説得力がありません。

子どもとしては、「そんなに言うなら自分がやればいいのに」と思ってしまうでしょう。子どもは親の背中を見て育ちます。親が何かを勉強している姿、楽しそうに勉強している姿を見れば、「なるほど。勉強は楽しいんだ」と感じることができると思います。

僕は子どもの頃、勉強をしていると母が隣でプリントの採点をしてくれていました。プリントを解くのと採点のどちらが早く終わるか競争して、「解くの早いね」と声を掛けてもらったり、「もうそんな単元まで進んだの。すごいね」と褒めてもらいました。

父からは、模擬試験などを受けに行くときは「頑張ってね」ではなく、「試験を楽しんできてね」と毎回声を掛けてくれました。だから、試験は楽しいものなんだと子どもながらに感じていました。

中学受験を経験すると何が変わる?

――昨今、中学受験がとても加熱している状況です。難関塾に入るための塾もあると聞いたことがあります。このような加熱している状況を、河野さんはどのように見ていますか?

中学受験自体、僕はいいと思っています。例えば、小学校の算数は学校で学ぶものだけだと簡単です。中学受験で学ぶ算数は、パズルのような問題を思考力で解くような問題が出されます。

実は、大学受験の数学の問題では中学受験で出された問題が出ることもあるのです。

小学校の授業の算数と中学受験の算数では、あまりにギャップがあるので、この先の中学・高校で、中学受験を経験した子としていない子では、思考力の差が広がっていくばかりだと考えています。この差を埋めるためにも、脳が柔軟な子どものうちから思考力を問われる問題に触れるということは意義があると思います。

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一方で、加熱している状況からいうと、子どもに勉強を詰め込ませた結果、勉強が嫌いになってしまうケースがけっこうあります。中学受験のときには、高い学力を持っていたのに、その先で成績が上がらなくなってしまうケースは多いです。

だからこそ、勉強は楽しい、勉強が好きだと思わせることは重要です。中学受験で志望校に落ちたからこそ、「中学入学後に勉強して挽回しよう」「次はもっと頑張ろう」というモチベーションを持てるといいと思います。

実は、僕は中学受験第一志望の学校には落ちています。でも「中学受験は楽しかった。第一志望は落ちたけど、これからも勉強頑張ろう」と思っていました。受験に落ちるということは、誰にでもつきものです。だからこそ、落ちたときに次に繋がるステップが大事だと思います。

――最後に、これから活躍するために今の子どもたちにどんなことが大切だと思いますか?

みんなが必ず通る算数・国語・英語はとても大事なことだからこそ、みんなで必ず通ります。この大事な3科目に真摯に向き合うのが大切です。そのうえで、自分の興味があることが見つかったら、とことん突き詰めてみましょう。ゲームでもどんなことでもいいです。突き詰めるということ自体が、僕は勉強だと思っています。

勉強は「できなかったことをできるようにする」ことです。頭を使って「どうやったらできるようになるんだろう。うまくなれるんだろう」ということを突き詰めてみましょう。

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