ここにあった!日本人が英語を話せない大きな理由とは?

ここにあった!日本人が英語を話せない大きな理由とは?

2017.08.28

Profile

平川裕貴

平川裕貴

幼児教育研究家

英語プリスクール「リリパット・リトルキンダー」経営者、「日本・欧米いいとこどり育児」を提唱する幼児教育研究家。経営者としての視点と教育者としての視点から、子ども達が生きる未来の社会を見据えて教育に取り組んでいます。 保育士、英語教師資格保有。

昔から、「日本では中学、高校、大学と10年近く英語を勉強してきているのに、英語がまったく話せない」と不思議がられていました。欧米ではめったに使わないような難しい単語は知っているのに、スーパーで売っているような野菜の名前を知らない。むずかしい論文は読めたり書けたりするのに、外国人に声をかけられたらシドロモドロ。みんな一生懸命学校で英語を勉強してきて、受験にも受かってきたはずなのに、いったいどうしてでしょうか?今回は、『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』の著者で、日本・欧米いいとこどり育児を提唱する平川裕貴が、日本人が英語を話せない理由についてお話したいと思います。

日本人が英語を話せない大きな理由とは

日本の学校の英語教育では、文章を読んで訳させるということが多いですね。しかも単語一つ一つの意味を引いて、訳そうとしますよね。試験では英語文の訳を書かされたり、日本語文を英語に訳させたりしますが、単語一つ一つを正しく訳すことを要求されたりします。

ですから、日本人には、どうしても訳す癖がついてしまうのです。実はこの


「訳す癖」が日本人が英語を話せない大きな理由


だと筆者は考えています。

日本語を英語に置き換えるときに大きな障害になるもの

外国人と会話しなければならない場面になったとき、ほとんどの人が、まず日本語を考えて、それを英語に訳して伝えようとするのではないででしょうか?

たとえば、トイレに行きたいとき、「お手洗いに行ってもいいですか?」という日本文を思い浮かべ、「お手洗いは英語でbathroom だっけ、toiletだっけ」「行ってもいいですかは May I かな、それとも Can I かな」などとウダウダ考えてしまいます。

これではなかなかスムーズな会話は無理ですよね。

子ども英会話

日本語は非常に感性豊かな言葉

その上、日本語は非常に感性豊かな言葉です。自然の描写も、感情表現も実に豊かです。

そのあまりにも豊かな日本語表現が、英語に置き換えるときに大きな障害になってしまうのです。

どういうことかと言うと、たとえば、雨一つ取っても


大雨、小雨、豪雨、時雨、五月雨、秋雨、小ぬか雨、通り雨、長雨、にわか雨、氷雨


などの言い方がありますね。また雨が降っている状況も、


ポツポツ降ってきた、シトシト降っている、ザアザア降ってきた


などと表現します。

訳す癖がついていると、「雨がポツポツ降ってきた」って英語でどう言えばいいのだろうとか、「大雨になった」ってどう英語で訳せばいいのだろうと考えてしまうのです。


英語でどのように伝えればいいのか?

単に雨が降っているという状況を伝えようとするなら、”It’s raining.” ですむのに、「ポツポツ」とか「大雨」などという日本語を訳そうとしてしまうから話せなくなってしまうのです。

要は、日本語文を思い浮かべるのではなく、雨が降っているという状況を伝えようとすればいいわけです。

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子どもの場合、英語を話そうとなるとどうなる?

その点、まだ日本語も覚えていない子どもの場合は、どうでしょうか?そもそも日本語の文章を考えるということをしませんよね。ただ、今の状況をなんとか伝えようとするだけです。

トイレに行きたいときは、トイレに行きたいという状況をどう伝えるかと考えます。決して「トイレに行きたい」という日本語を思い浮かべて、それを英語に訳そうとするわけではありません。

ですから、日本語もおぼつかない小さい子どもはソワソワし始めますよね。パンツの上から手で抑えて足踏みしたりもするわけです。

そのときに親が「トイレに行きたいのね」と言って連れて行ってあげれば、子どもは「トイレ」とか「トイレに行きたい」と言えばいいと学び、”Do you want to go to the bathroom?”と聞いてあげれば、”bathroom”や ”go to the bathroom”や“I want to go to the bathroom.” という表現を覚えていくのです。


でも、子どもでも4、5歳になって日本語が堪能になってくると、どうしても訳そうとしてしまいます。「りんごって英語でなんて言うの?」と聞いてくるわけです。りんごを思い浮かべるのではなく、りんごという日本語を考えてしまうのです。

英語で聞かせて、慣れさせて、物事を考えることができるように

グローバル

筆者が、まだ日本語が理解できないうちから、英語を聞かせることをお勧めしている理由は、この「訳す癖」をつけたくないということもあるのです。

訳す癖をつけないためには、0歳から英語を聞かせて、英語に慣れさせ、英語でも物事を考えることができるようにしておくことです。ぜひ、0歳から英語教育を始めてくださいね。


執筆:平川裕貴

平川裕貴

元日本航空CA。外資系英語スクールマネージャーを経て、1988年子ども英語スクールを開校。現在、英語プリスクールで、3歳から6歳までの子ども達を、幅広い視野と思いやりを持ったバイリンガルに育てている。また、スクール経営の傍ら、長年欧米文化に触れてきた経験から、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱する幼児教育研究家として活動。フジテレビ『ホンマでっか!?TV』 に子ども教育評論家として出演。また、英語やしつけに関する記事を多数執筆。著書に『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』(彩図社)『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』(アマゾン)

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平川裕貴

英語プリスクール「リリパット・リトルキンダー」経営者、「日本・欧米いいとこどり育児」を提唱する幼児教育研究家。経営者としての視点と教育者としての視点から、子ども達が生きる未来の社会を見据えて教育に取り組んでいます。 保育士、英語教師資格保有。

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