「飲み会前にウコン」は逆効果…認知症専門医が解説「ビールは1日何本までセーフか」の最終結論
「乾杯はビールか、ハイボールか」への残酷な回答
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お酒を飲む人は認知症になりやすいのか。このほど、『認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実』(講談社)を上梓した米マウントサイナイ医科大学病院の山田悠史医師は「リスクが上がるのは確実だ。ただ、その程度は“飲酒の量”によって大きく変わる」という――。
「お酒は認知症を招く」のか
あなたは普段、お酒はどのくらい飲むでしょうか。
「毎日欠かさず晩酌をする」という人もいれば、「付き合いでたまに飲む」という人もいるでしょう。
なかには、「記憶を失うまで飲む」なんて酒豪の人もいるかもしれません
「飲酒」をはじめ、「喫煙」、「長時間のSNS」、「座りがちな生活スタイル」などは、すべて認知症のリスクを高める生活習慣です。
今回は、この中から、私たちが日々晩酌などで楽しんでいる「お酒」に着目したいと思います。
飲酒が認知症のリスクを高めるというと、患者さんからさまざまな質問が寄せられます。
「何杯までならセーフなのか」
「ちょっとは飲んだ方がいいのか」
「お酒の種類や一緒に食べるものによってリスクを下げることはできるのか」
こうした問いに対して一つ一つ、最新の研究を含め現代の医学でわかっていることをお答えしています。読者の皆さんにも認知症のリスクを下げるための「お酒との付き合い方」として考える一助になれば、と思っています。
アルコールが認知機能にどのような影響を与えるのか。
まずは、そのメカニズムから説明したいと思います。
ビタミンB1が欠乏する
アルコールと、アルコールを代謝する時に生成されるアセトアルデヒドという二日酔いの原因物質が脳の神経細胞にとって毒物です。
飲酒が原因で健康を害する患者さんは、脳の部位でも記憶を司る「海馬」や理性を司る「前頭前野」にダメージを受けることが多いです。
例えば、前頭前野の機能が低下すると、怒りっぽくなったり、涙もろくなったり、と感情のコントロールが利かなくなります。
海馬の機能が低下すると、怒りっぽくなったり、涙もろくなったり、と感情のコントロールが利かなくなります。
脳の神経細胞はブドウ糖をエネルギー源としていますが、ビタミンB1は糖質からエネルギーをつくり出す際に必須の栄養素です。
ところが、アルコールを摂取するとビタミンB1を大量に消費してしまいます。ビタミンB1の欠乏によって、脳のエネルギー不足を引き起こし、認知症を発症するリスクが高まるのです。
ですから、お酒を飲む人ほどおつまみ程度で済ませずに、バランスのいい食事を摂ることを心掛けてほしいと思います。
また、お酒は血管にも影響を与えます。
飲酒を続けると、心臓から酸素や栄養を全身に供給する動脈が硬化します。これはタバコにも言えることなのですが、血液の巡りが悪くなることで、脳へのダメージが出やすくなるのです。
脳の血管を水道管に例えると、水道管の中の錆を増やすようなイメージですね。