トランプ大統領でも「世界最悪の独裁者」は動かせない…日本が「弾道ミサイルの脅威」から逃れられないワケ
米朝首脳会談は屈辱的な結果に終わるだけ
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ドナルド・トランプ米大統領が、年内の米朝首脳会談の実現に意欲を見せている。実現すれば史上4度目となるが、軍事ジャーナリストの宮田敦司氏は「北朝鮮が非核化に応じる可能性はゼロに近い。会談が実現しても、アメリカが取れる選択肢は核とミサイルの保有を黙認する道だけだ」という――。
7年ぶりの国連演説で「核を放棄しない」宣言
2025年9月26日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は核関連分野の科学技術者たちとの会議を開催した。今年度の核物質の生産について進捗について報告を受け、「核戦力を軸とする、力による平和の維持と安全保障の論理は絶対不変の立場だ」と発言。重ねて「(核戦力の強化は)国家の現在と未来のための最も正しい選択で、守らなければいけない不変の義務だ」と、核戦力の能力向上にさらなる意欲を示している。
9月30日には国連総会の一般討論演説に金先敬(キム・ソンギョン)外務次官が登壇し、「我々は核を絶対に放棄せず、いかなる場合もこの立場を撤回することはない」と発言。北朝鮮から国連総会に高官が派遣され、一般討論演説に登壇するのは7年ぶりのことだったが、国際社会に向けて非核化の意思がないことを表明した。
アメリカはこれまで、北朝鮮に対し一貫して非核化を求めてきた。だがこのように北朝鮮が応じる姿勢は一向に見られない。それどころか、核とミサイル開発を着々と進めている。
ドナルド・トランプ米大統領は2025年中の米朝首脳会談の実現に意欲を見せているが、この状況を打開することはできるのだろうか。