石破首相の左手がすべてを物語っている…トランプとの「笑顔の握手」の裏にあった知られざる"30時間"の準備

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日米同盟を考える上で必要な「対称性」と「対等性」の視点

ドナルド・トランプとは何者か。『日米首脳会談』(中公新書)を書いた帝京大学の山口航准教授は「例えば、首脳会談前に官僚との打ち合わせを行わないところは異例の大統領といえる。だが、政策には、以前の政権からの一定の連続性を見ることができる」という。ライターの梶原麻衣子さんが聞いた――。

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撮影=プレジデントオンライン編集部 帝京大学の山口航准教授

トランプ氏とこれまでの大統領との違い

――戦後の日米関係、日米首脳会談の歴史の中でも、やはりトランプ大統領は「異例」の存在なのでしょうか。

【山口航氏(以下敬称略)】政策においても主張においても「異例」であることは間違いないのですが、一方である程度相対化して考えることも必要です。

例えばトランプ大統領は、首脳会談でも共同記者会見でも面と向かって「アメリカの武器を買え」「コメを買え」と要求します。水面下の交渉ではなく誰にでも見える場所でこうした要求をするのは、やはり異例と言わざるを得ません。

ただし、大きな政策の方向性としては、アメリカの大統領が日本の首相に対して貿易や軍事の面で何らかの要求をすることはこれまでにもありましたから、トランプ大統領もその流れに位置付けられるとは言えるでしょう。

貿易面で言えば、トランプ大統領は相互関税をかけるなど、かなり保護主義的な政策を打ち出しています。これはレーガン政権やブッシュ・シニア政権、クリントン政権など、党派を超えてアメリカ政府が続けてきた自由貿易の流れに反するものですから、やはり異例ではあります。

しかし、レーガン政権やクリントン政権も日本に報復関税をかけたことがありました。また第一次トランプ政権、バイデン政権も中国に対して経済安全保障の側面から一部の貿易関係に制限を加える方向に進んでおり、これも保護主義的な要素を含んでいます。その点で、異例に見え、「オバマやバイデンのやったことは全てひっくり返している」かのようなトランプ政権の政策にも、一定の連続性を見ることができます。

ただそれにしても、経済と軍事の話をここまではっきりとリンクさせるのはトランプ大統領ならではです。レーガンやブッシュ・シニアの時代には日米間に激しい貿易摩擦があり、これを良好な安全保障関係に波及させないよう、むしろ経済と軍事・安全保障を分けて考えよう、というのがアメリカ側の意向でした。ところがトランプ大統領はあからさまに経済と安全保障をリンクさせています。

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2025.10.17

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