学歴もスキルもない「私文」に年収1000万円は無理…メガバンクの新卒採用に「MARCH卒」激減で起きたこと【2025年9月BEST】
「ソルジャー新卒」で東大卒に下剋上の時代は終わった
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2025年9月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。教育・子育て部門の第3位は――。 ▼第1位 子どもの学歴は「生まれ」で決まる…低学歴の親が目を背けたくなる学歴データが示す不都合な真実 ▼第2位 「お母さん、生理が来ない」小6娘を妊娠させたのは中2の兄…表面化しづらい"家庭内性暴力"の危険性 ▼第3位 学歴もスキルもない「私文」に年収1000万円は無理…メガバンクの新卒採用に「MARCH卒」激減で起きたこと
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の「3大メガバンク」の採用大学に変化が起きている。元メガバンク行員で、学歴研究家の伊藤滉一郎さんは「このうち三菱UFJ銀行の新卒採用数は、10年で約5分の1にまで減少した。私立文系卒を中心に大量採用された『ソルジャー営業マン』は、絶滅危惧種になりつつある」という――。
私文MARCHからの「下剋上ルート」に異変
かつてメガバンクは、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)卒にとって「凡庸でも這い上がれる」数少ない舞台だった。大量採用された「ソルジャー営業マン」が支店で数字を積み、時に東大卒すら凌駕する逆転劇が起きた。しかし今やその光景は過去のものだ。
新卒採用は10年で5分の1に激減し、銀行は理系や専門スキル、海外対応力を備えた人材を求めている。MARCH卒の下剋上ルートは急速に狭まり、銀行員像は根本から書き換えられつつある。
かつてのメガバンクは、学歴に劣っていても努力次第で這い上がれる貴重な舞台だった。MARCH卒の私文出身者でも、大量採用の「ソルジャー営業マン」として潜り込むことができた。求められる数字を卒なくクリアし、上司に気に入られるような振舞いを続ける。これで年収1000万円に到達するキャリアは、一昔前まで確かに存在した。
東大や京大といったトップ校の卒業生も同じフィールドに放り込まれ、同じノルマに追われた。それなりの社会的成功という程度であれば、口のうまさと体力で数字を揃えて「MARCH卒が東大卒に勝つ」、という逆転劇はよくある光景であった。
だが、2020年代半ばになり、この舞台は閉ざされつつある。理由は明快で、ソルジャー営業という役割そのものが不要になったからである。