もう大学生は東京23区に住めない…「上がらないはずの家賃」が30年ぶりに急上昇し始めた構造的要因
物価上昇→お金の価値が低下→資産防衛に四苦八苦
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「物価の優等生」も9月最高値を記録
足元で、わが国の物価上昇に歯止めが掛からない。政府の電気・ガス料金補助の影響を受けて、8月は総合指数の上昇率が久しぶりに3%を下回ったものの、秋口以降、値上げ品数は増加傾向を辿りそうだ。当面、物価上昇に歯止めが掛かりにくい状況が続きそうだ。
物価上昇の背景として、人手不足が深刻化している影響は大きい。それと同時に、これまで上がりづらかった国内の家賃まで上昇し始めた。また、世界的に食料の価格も上昇している。かつて「物価の優等生」と呼ばれた卵の価格は、東京地区において9月としては統計開始以来の最高値を記録した(Mサイズ1kgあたり320円)。食料品価格の上昇傾向は今後も続くとみられる。
10月、電気代とガス代の政府補助は終了する。それは、物価の上振れ要因になる。中長期的に、国内の生産年齢人口(15~64歳)は減少し人手不足は深刻化する。企業は人材確保のため賃金を引き上げざるを得ない。
今後、AIデータセンターの増設による電力逼迫懸念や、異常気象や地政学リスクなどの影響で物価が上昇することも想定される。家計への打撃は一段と高まりそうだ。