「手書き連絡帳」「現場好き園長」は危険サイン…"安心して預けられる保育園"を一発で見抜くたった一つの質問
"安全管理への本気度"がわかるチェックポイント
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秋は、翌年4月の入所に向けて保育園の申し込みに追われる時期だ。だが、複数の保育園から希望を絞るのは難しい。“安全”で“いい保育園”を選ぶには、どうすればいいのか。『ここが変だよ、保育園』(幻冬舎)を書いた、社会福祉法人みなみ福祉会の近藤敏矢理事長は「保育現場で事故を完全にゼロにすることは難しい。だが、いい保育園かどうかを見抜くポイントはいくつかあるので、ぜひ参考にしてほしい」という。ライターの黒島暁生さんが聞いた――。
“毎日、どうやって通うのか”をイメージする
こども家庭庁によれば、保育所や幼稚園、学童保育などで子どもが大けがなどをした事故が、2024年の1年間で3190件にのぼった。これは事故の報告が義務化された2015年以降、過去最悪の数字だ。
『ここが変だよ、保育園』(幻冬舎)などの著書を持つ社会福祉法人みなみ福祉会理事長・近藤敏矢さんに、保護者が確認すべき“こんな保育園なら安心”という基準を聞いた。
6つの保育施設を運営している近藤さんは、名古屋大学大学院情報工学専攻修士課程修了後、研究者としてNTTにて5年間、業務に従事した。その後、家業である保育園を継ぐことになった近藤さんが着手したのは、ペーパーレス化、経理システムの独自開発など業務のデジタル化だった。また、経営コンサルタントを活用して積極的な改革を推し進めるなど、その敏腕ぶりで知られる。
近藤さんはまず、保育園という業態の特殊性についてこう話す。
「いま、いろいろな情報が溢れていて、『あそこの保育園はやばい』『あそこの教育はいいらしい』という声を耳にすることがあると思います。しかし、保育園は毎日送り迎えをするものだから、現実的に通える保育園は一定範囲内で決まっているわけです。とても評判がいいから片道2時間をかけて通う、という発想にはならないと思います。つまり、企業的に言えば限られたエリアでしか「市場」を展開できないサービスだといえます。『実際に通えるか』を想定した導線が大切です。どこに車を停めて、どうやって連れていけるのか? というシンプルな視点ですね」
実際に保護者が入園を検討するとき、施設見学をすることもあるが、過度な“見学主義”に対して近藤さんは首を傾げる。