預金を引き出せないだけでなく生命保険も受け取れない…多くの人が知らない「遺産相続で泣く想定外パターン」

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高齢になれば認知症を患う可能性がある。母の末期がんと父の認知症を経験した永峰英太郎さんは「『自分の親が認知症になるわけない』といった思い込みは危険で、それが故に遺産相続がまったく前に進まないこともある」という――。 ※本稿は、永峰英太郎『マイナス相続サバイバルガイド』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

「親が認知症になるわけない」は危険

私の父が、認知症の検査を受けたのは、2012年8月。そこで医師から、父が71歳だった2010年頃に、アルツハイマー型の認知症を発症した疑いがあると、診断されました。恥ずかしながら、父が認知症であることを私が知ったのは、2013年です。その間、母は父の病気を隠していました。「子どもに心配をかけたくなかった」とは、のちの母の言葉です。

3年もの間、なぜ、私は気づかなかったのか。じつは、この間、父の行動や言動がおかしかった場面は何回かありました。しかし私は、「疲れているのかな?」ぐらいにしか考えませんでした。「親父が認知症になるわけがない」と思い込んでいたのです。当時、私の周りに認知症になった人はいませんでした。これも「うちの親に限って」というバイアスを助長させました。

皆さんも、何の根拠もなく「うちの親は元気だから大丈夫」と考えていませんか? しかし、実際には、高齢者のうち、5人に1人は認知症を患っているというデータもあるのです。

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出所=『マイナス相続サバイバルガイド』

バリバリ働いている人でも発症する

浴風会病院認知症疾患医療センター長の古田伸夫先生に取材をしたところ、こう話してくれました。「認知症は、病気や怪我によって、脳に障害を及ぼすことで起こります。そのなかで、一番多いアルツハイマー型は、アミロイドβやタウなどのたんぱく質が脳に溜まることで、神経細胞が破壊され、脳が萎縮し、物忘れがひどくなったり、判断・理解力が衰えたりするのです」。

そして驚くことに、このたんぱく質の蓄積は、「発症の約20年前から始まっている」そうです。私の父でいえば、50歳くらいの頃は、ラジオ局のアナウンサーとして、バリバリに働いていました。認知症というと、怠惰な生活を送っているとなると思っている人も多いのですが、父のようなケースもあるのです。誰もがなり得る病気だと、私は思います。

認知症の発症率は、70~74歳で、3.9%、75~79歳で、13.6%(下図参照)となっています。認知症は当人が隠すことはできない性質の病気です。親が老いてきたら、子どもは「認知症の可能性はゼロではない」と思って、親の日常生活をしっかり観察すべきです。「認知症を疑うきっかけとなるような変化」を載せました。

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2025.10.13

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