「すみません、できません」は評価を下げるだけ…会話のプロが説く「断っても好感度が上がる"最強の返し"」
「ポジティブNO」で株を上げ信頼関係も築ける
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会話で評価を上げる人、下げる人の違いはどこにあるのか。コミュニケーショントレーナーの司拓也さんは「人を褒める時、頼まれごとを断る時には注意してほしい。言葉選びを間違えると評価を下げることになる」という――。 ※本稿は、司拓也『信頼される人の話し方 軽く見られる人の話し方』(KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
抽象的な褒め言葉は逆効果
「○○さん、すごいね! さすが!」
この褒め方、実は相手に全く響いていません。たしかに「褒めることは大切では?」「ポジティブなフィードバックは必要では?」という意見もあるでしょう。しかし、抽象的な「褒め」は、実は相手の心には響いていません。
では、どのようにすればよいでしょうか。
対人関係において、円滑なコミュニケーションを築き「信頼される人」になれる方法とは何か。先述の例も含めて、3つの具体的な事例をご紹介します。
①行動を解剖して伝える
先述した「褒め方」の正解ですが、信頼される人はプラスの言動に対して褒める際に「GROW褒め法」を使うことが多いです。
1.Good point(良い点):具体的に何が良かったか
2.Reason(理由):なぜそれが素晴らしいか
3.Outcome(成果):どんな良い結果を生んだか
4.Way forward(今後):さらに伸ばす方法
「すごい」が成長マインドを阻害する
たとえば、
表面的で心に残らない会話
あなた:「プレゼン、良かったよ! さすがだね!」
部下:「ありがとうございます……(何が良い? 次も同じようにできるかな……)」
具体的で次に繋がる会話
あなた:「素晴らしいプレゼンだった! 特に3つの点が秀逸だった。冒頭の問題提起で全員の注意を引いた、複雑なデータを3つのシンプルなグラフにまとめた、最後に『明日からできる3つのこと』を示した。この構成によって役員全員が最後まで集中して聞いていた。君の『聞き手ファースト』の姿勢が、今回の承認に繋がった。次回は、この成功パターンに加えて、質疑応答でも同じように簡潔に答えられれば完璧だ」
なぜ「すごい」という結果への称賛が人を育てず、「プロセス」への言及が人を育てるのでしょうか。スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授の「成長マインドセット」理論はこう説きます。
「すごいね!」と才能や結果だけを褒められると、人は「自分には才能があるからできる/ないからできない」というように、能力は生まれつきで変わらないものだと考える「固定マインドセット」に陥りやすくなります。
結果、失敗して「自分には才能がない」と思われるのを恐れ、新しい挑戦を避けるようになってしまうのです。