日本は関税を下げる「最強の切り札」を持っている…トランプ大統領が喉から手が出るほど欲しい"日本の技術"

日本は関税を下げる「最強の切り札」を持っている…トランプ大統領が喉から手が出るほど欲しい"日本の技術"

米国のドナルド・トランプ大統領は「相互関税」の措置を90日間、停止すると発表した。停止中は各国に課す関税率は10%に引き下げられ、交渉が進められることになる。日本工業大学大学院技術経営研究科の田中道昭教授は「日本は関税対策として戦略を提示するだけでなく、本質的に米国との関係を変えていく必要がある。防戦一方ではなく、『提案する同盟国』としての自覚と構想力が求められている」という――。(前編/全2回)

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米ホワイトハウスで「相互関税」の詳細を発表するトランプ大統領=2025年4月2日

「トランプ関税」の衝撃

2025年4月、ドナルド・トランプ米大統領は突如、「相互関税」の導入を発表した。日本にも24%の関税が課され、経済界と政界は衝撃に包まれた。

その後トランプ大統領は、報復措置をとらず問題の解決に向けて協議を要請してきている国に対しては90日間、この措置を停止すると発表。相互関税を停止している間は各国に課す関税率は10%に引き下げられ、交渉が進められることになる。

石破茂首相とトランプ大統領は7日に電話会談を実施し、両国は関税交渉に向けて担当閣僚を指名し、協議を開始することで合意した。トランプ政権は米財務省のスコット・ベッセント長官を対日交渉の主導役に指名。米通商代表部(USTR)も加わり、関税だけでなく円ドル相場、非関税障壁、政府補助金などを含む包括的な交渉が開始される運びとなった。

ベッセント長官は声明で、「大統領は私とUSTR代表に、世界貿易の黄金時代に向けたビジョンを実現する対日協議を開始するよう命じた」と明言し、通貨問題も焦点となることを明らかにした。

ベッセント氏は、かつてジョージ・ソロス氏のファンドで最高投資責任者(CIO)を務め、英ポンド危機を引き起こした“通貨のプロ”。トランプ政権の掲げる二大戦略「関税強化」と「ドル安誘導」の両面で日本との本格的な交渉に臨むことが予想される。米国債を活用したドル高是正案など、極めて高度な金融交渉も視野に入る。

日本は「提案する同盟国」になれるか

このような状況下、日本の輸出企業にとっては「関税」と「通貨」のダブルパンチが現実化する恐れがある。日本政府は、防戦一方の交渉に終始するのではなく、米国にとって戦略的に意味のある“能動的提案”を行う必要がある。

筆者は、その最有力分野が「造船業」だと考える。

トランプ大統領は9日、低迷する米海事産業を復活させ中国の海上支配に対抗することを目的とした大統領令に署名。マイク・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)らに7カ月以内に造船・海事労働力の強化策をまとめるよう指示した。

トランプ政権では、すでにホワイトハウス内に「造船局(United States Office of Shipbuilding)」を新設しており、軍用・商用の造船業の国家的再建を目指している。

その背景には、造船業における中国の台頭がある。米国はすでに中国に造船能力で232倍の差をつけられ、自国建造力の喪失が安全保障上の脅威として顕在化している。

ここに、日本の提案の入り口がある。日本は、造船業を「海洋インフラ」「国際物流」「防衛」を支える“構造同盟産業”として位置づけ、米国とともに日米共同造船体制を構築することで、トランプ氏の国家戦略を支援し、同時に関税・通貨問題に対する協調的アプローチを提示すべきだ。

関税、通貨、財政、防衛を連動させ、戦略産業を再構築するというトランプ政権のビジョンに、日本がいかに“同盟国として貢献するか”が問われているのである。本稿では、その中核提案となり得る「日米造船同盟モデル」について、構造的かつ具体的に提示していく。

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2025.04.19

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