ウルトラマンと違い「生身の人間」が平和を守る…「昭和後期世代」が少年時代に熱中したヒーローの名前
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世代によって憧れのヒーローは異なる。雑誌『昭和40年男』創刊編集長の北村明広さんは「昭和後期世代が影響を受けたヒーローと言えば、仮面ライダーだろう。ロボットでも宇宙人でもなく、生身の人間が等身大のサイズで平和を守る姿に衝撃を受けた」という――。(第1回/全3回) ※本稿は、北村明広『俺たちの昭和後期』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。
「62年+2週間」続いた昭和
タイトルをみて読者の方がまず思うこと。それは――
「昭和後期とはなんぞや?」
ではないだろうか。
西暦645年、皇紀ならば1305年にして、最初の元号「大化」が採用された。以来、250近くある元号の中で、昭和は最も長い64年までカウントした。
少し突っ込むと、昭和元年は12月25日に始まった。終焉となった昭和64年は、1月7日に小渕官房長官が「平成」を発表して翌日より始まった。昭和は62年と2週間で成り立っているのである。
奇しくも最初と最後が7日ずつで、これは偶然で片付けたくないと常々声を大にしている。昭和の奇跡と紐付けるのは、子供じみていることは自認しているものの、昭和ジャンキーにとっては些末なことも強く結びつける悪い性癖がある。何事にもしつこい巳年であることも付け加えておくから、どうかご容赦願いたい。
“復興”からの“発展”を象徴した五輪
この本ではまず、昭和を「えいや」と3分割してみた。
するとどうだろう。終戦までの昭和20年までを初期。
敗戦の崩壊から立ち上がり、オリンピックを経て万博を開催した昭和45年までを中期。
ここからギアを上げてミラクルジャパンへと駆け上がり、バブルの絶頂期を迎えた昭和64年までを後期と、くっきりはっきりと分けることができた。
これほど納得感のある割れ方も昭和の奇跡だ。いや違う、奇跡を起こしたから割れるのだ。
乱暴すぎるだろうか? もう少々丁寧に追ってみよう。
戦後の混乱下で、全力の復興にあたった昭和31年の経済白書に「もはや戦後ではない」と掲載され、復興の第一ピリオドを打った。ローギアの10年から、一段ギアを上げたのだ。
依然ボロボロながらも、これより国民は、“復興”でなく“発展”へと心を入れ替えた。五輪開催に向かって、新幹線に高速道路、高層ビルに都市計画などなど、官民あげてのインフラ整備が急ピッチで進んだ。