ゴミ回収ロボットなのにモジモジして拾おうとしない…そんな「怠け者ロボ」がわざわざ開発された"本当の狙い"

ゴミ回収ロボットなのにモジモジして拾おうとしない…そんな「怠け者ロボ」がわざわざ開発された"本当の狙い"

コミュニケーションがとれるロボットの登場により、私たちの暮らしはどう変わるのか。ロボット開発者の安藤健さんは「愛着が増すコミュニケーションロボットは、ビジネスや社会を大きく変える可能性を秘めた新しい存在だ。その理由として、ゴミ回収ロボットの事例を紹介しよう」という――。 ※本稿は、安藤健『ロボットビジネス ユーザーからメーカーまで楽しめるロボットの教養』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

「脱がせて」と着替えをねだるロボットの登場

街を歩いていると、オシャレな洋服を着た犬に出会うことは日常茶飯事です。

もはやこの特権は犬だけのものではありません。ロボット専用の洋服が続々と販売されているのです。

現在の代表的なコミュニケーションロボットである「LOVOT(らぼっと)」は、フリース、スウェット、ワンピース、パジャマ、浴衣とさまざまなタイプの洋服を公式ウェブサイトで販売しています。

さらには帽子、蝶ネクタイ、メガネまであり、人間顔負けのおしゃれ度合いです。価格も数千円から1万円を超えるものまであり、こちらも人間用と遜色なく、むしろ自分の服より高いという方もいるかもしれません。

さらに驚くのは、ロボット側にも仕掛けがあることです。LOVOTの場合には、体の一部のパーツをクルっと回すと、両手を挙げて、「脱がせて~」と言わんばかりにお着替えをおねだりしてくるのです。

このように人との関わり合いが増えると、愛着が積み上がってきます。コミュニケーションロボットが、単なる機械から「家族」や「仲間」へと変貌を遂げつつあるのです。

多くのコミュニケーションロボットが、「○○くん」「○○ちゃん」とそれぞれ名前を与えられ、ロボットの誕生日を家族で祝う習慣ができているという事例からも、その愛着の度合いをうかがい知ることができます。

これは、従来の家のなかで使う家電製品や工場で使うロボットとはまったく異なる、新しい「家族」のかたちを示唆しています。

ロボットとの生活で「幸せのホルモン」が増える

興味深いのは、この現象が脳科学的にも裏付けられていることです。

資生堂などがLOVOTを使っておこなった実験では、コミュニケーションロボットと生活を共にしている人は、絆の形成に関与する「オキシトシン」というホルモンの体内濃度が、ロボットを使っていない人よりも高いことが示されたのです。

オキシトシンは「幸せのホルモン」とも言われ、精神的な安定や母性愛などとも関連するとも言われています。ロボットとの生活により、人とロボットとのあいだにオキシトシンを介した絆が形成される可能性を示す結果だと言えます。

先ほど紹介したロボットの「着替えさせてポーズ」はまさに母性をくすぐり、絆の形成に役立つ振る舞いなのかもしれません。

このような愛着は、ビジネス面でも新たな機会をもたらしています。

コミュニケーションロボット本体の市場の拡大や、冒頭で紹介したアパレルビジネスの誕生にとどまらず、それに付随する新たな市場も生まれています。たとえば、ロボットが座る専用の椅子などのインテリア製品が発表されており、いかにロボットが生活に溶け込み始めているかがわかります。

さらに、ロボットのファンコミュニティも各地で誕生しています。また、ロボットファンが集うカフェもオープンし、新たなコミュニティビジネスとして注目を集めています。

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https://kidsna.com/magazine/article/entertainment-report-240921-87680363

2025.04.19

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