「7割弱」を「7割とちょっと」と解釈するのは20代で19%…NHK調査でわかった「弱・強の使い方」意外な実態

「7割弱」を「7割とちょっと」と解釈するのは20代で19%…NHK調査でわかった「弱・強の使い方」意外な実態

「7割弱」は実際にはどのくらいの数値を表すのか。NHK放送文化研究所の塩田雄大さんは「『7割弱』は『7割よりも少し少ない』として解釈するのが伝統的だ。しかし、これとは異なるとらえ方も、特に若い人たちを中心に、少なからず見られる」という――。 ※本稿は、塩田雄大『ゆれる日本語、それでもゆるがない日本語 NHK調査でわかった日本語のいま』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

「7割弱」は70%より少ないのか、多いのか

Q 「7割弱」「7割強」という言い方は、実際にはどのくらいの数値を表すのでしょうか。

A 「7割弱」は「7割よりも少し少ない」、「7割強」は「7割よりも少し多い」として解釈するのが伝統的です。しかし、これとは異なるとらえ方も、特に若い人たちを中心に、少なからず見られるようです。

「~弱」「~強」は、国語辞典では次のように示されています。

じゃく【弱】 ある数の端数を切り上げたとき、示す数よりは少し、不足があることをいうために、数字のあとに付けて用いる。

きょう【強】 ある数の端数を切り捨てたとき、示す数よりは少しあまりがあることを示すために数字のあとに付けて用いる。(『日本国語大辞典(第二版)』)

これに当てはめると、「7割弱」は【70%未満の数値】であること、そして「7割強」は【70%よりも大きい数値】であることになります。

一方、現実としてはどのように解釈されているのでしょうか。「7割弱」「7割強」という表現について、その数値の範囲を自由に回答する形式での調査をおこなってみました。

20代に多い「7割弱は、70%から」

まず「7割弱」の【●●%から】については、いちばん多かったのは【65%から】という回答で32%でした。そして【●●%まで】については、【69%まで】で42%でした。[図表1]

また「7割強」についてもっとも多かった回答は、それぞれ、【70%から】の回答が40%、そして【75%まで】の回答が22%となっていました。[図表2]

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画像=『ゆれる日本語、それでもゆるがない日本語』
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画像=『ゆれる日本語、それでもゆるがない日本語』

このように、「7割弱」は【65%から69%まで】、「7割強」は【70%から75%まで】といったあたりの解釈が、現状ではもっとも典型的なものと言えるでしょう。

その一方で、「7割弱」について、伝統的な解釈とは合致しないはずの【70%から】という回答も10%あることが、目を引きます。

この回答を年齢別にみたところ、20代ではこの回答の割合が特に多い(19%)ことがわかりました。[図表3]どうも、若い人の中には、「7割弱」を「7割と、ちょっと」というように解釈している人も、けっこういるようなのです。

関連して、「1時間弱」ということばの解釈についてかつておこなった調査でも、若い人にこれと同じ傾向が見られていました(『変わる日本語、それでも変わらない日本語』P.135)。

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画像=『ゆれる日本語、それでもゆるがない日本語』
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2025.04.18

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