黒柳徹子さんには"正解"への強い執念があった…「世界ふしぎ発見」で草野仁がやっていた"黒柳対策"の中身
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どうすれば会話が上手くなるのか。テレビキャスターの草野仁さんは「“自分が言いたいこと”を伝えるだけでは、会話が終わってしまう。相手に合わせた言葉遣いや、その先の反応まで意識するといい」という――。(第2回) ※本稿は、草野仁『「伝える」極意』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「相手が話を聞いてもらえる状態」に持っていく
Q:すぐに機嫌を損ねることで有名な大物と遭遇。取るべき行動は?
①先入観を捨てて、自ら挨拶する
②怒られそうなので、話しかけられるまでは黙っておく
うまく伝えるためには、相手の気持ちをほぐし、話を聞いてもらえるような状態にもっていく工夫も大切です。私は、司会を務めている番組では必ず、私のほうからゲストの方の控え室にご挨拶に伺っています。
ゲストには、大変度胸の据わった方、緊張でそわそわなさっている方と、いろいろな方がいらっしゃいます。本番前に少し柔らかめのお話をして、気持ちをほぐしてあげるのは、番組をうまく運ぶ上でも欠かせないことです。
『日立 世界ふしぎ発見!』では、初めてのゲスト、若いゲストも多くいらっしゃいましたから、必ず控え室に訪ねて行き、番組に関係のないことも交えつつ、ひとしきりお話をして、気持ちを和ませてあげるようにしていました。司会者がゲストの方を訪ねることは珍しいと聞いていたので、他ではあまりやっていないのかもしれませんね。
そのことで言うと、ヤクルトスワローズや楽天ゴールデンイーグルスなどの監督を務めた野村克也と、妻の沙知代さんのことを思い出します。
“野村克也に近づこうとする人”は少なかった
1993年から1997年まで司会を務めた、朝日放送の『朝だ! 生です旅サラダ』では、野村夫妻がシークレットゲストとして登場したことがありました。本番は朝8時半からでしたが、お二人は7時にはそろって控え室に入ってこられて、スタジオ内をあちこち歩いたり、廊下の自動販売機を見たりして、少し落ち着かない様子でいらっしゃいました。
それを見て、私は「これはひとつ、先にお伺いしよう」と思い、控え室のドアを叩きました。「おはようございます。草野仁でございます。今日はひとつ、よろしくお願いいたします」と挨拶すると、野村克也さんは「おお」と喜んで迎えてくださいました。後日、「草野君のおかげでリラックスして本番に臨めた」と、大層喜んでいらしたことを聞きました。
プロ野球ファンの間では周知のことですが、野村さんはこだわりのある方で、それがわかっている人は、事前に野村さんにあまり近づいていこうとはしませんでした。私は、そのような態度は一切見せずに、よいお話をいろいろと差し上げたところ、思った以上に打ち解けることができたのです。
たとえ相手がどんな立場の方でも、壁を作ったり受け身になったりすることなく、自分の方から心を開いていくことは、一人の社会人としても身につけるべきことと言ってもよいでしょう。