野球でもサッカーでも音楽活動でもない…意外にも20~30代男性社員が夢中になる「社内部活動」の名前
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仕事で成果を上げるためにはどうすればいいのか。日本文化の魅力を発信しているブランドプロデューサーの梅澤さやかさんは「社内に華道部を作った投資会社の社長がいる。いけばなを通して社員それぞれにリフレッシュや創造性が得られたそうだが、本当はそれ以上の良いメリットがあったと話す」という――。 ※本稿は、梅澤さやか『エグゼクティブはなぜ稽古をするのか』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
なぜ社内に「華道部」を設立したのか?
〈稽古〉が実際の仕事に役立つという意見を聞くと、「何となく理解できるが説明はできない」と思われるか、「両者はあまりにもかけ離れていて結びつかない」と感じるのが普通でしょう。
また〈稽古〉という言葉には、昔ながらの厳しい上下関係や精神修養のイメージがあり、「時代遅れの価値観や方法論ではないか」と思う人もいるかもしれません。
一方、実際に稽古をしている人には、稽古が仕事に活かされているという感覚を持っている人が多いと思います。
〈稽古〉をすることで仕事によいことがあるとしたら何でしょうか。現代、そしてこれからの時代に〈稽古〉をやる意味はあるのでしょうか。実際に稽古をしている人の体験談から探っていきたいと思います。
投資会社の社長Kさんが、社内に「華道部」を設立してから10年が経ちます。
部活に参加しているのは、20代から30代の若手社員です。これまで花をいけることなど考えたこともなかった男性社員も、いざ花の稽古を始めると夢中になるのだとか。これまで長く部活を続けていた社員の中には、会社を退職しても稽古には通ってくる部員が多いそうです。
投資会社の仕事とは、市場を分析し、新しい事業に資金を提供し、戦略的な経営支援を行うことです。週末に各自好きなことをやるならともかく、平日の夜に「そんな悠長なことをしている暇はない」と考えそうですが、なぜ会社に「華道部」を設けたのでしょうか。
華道を通して得られた気づき3つ
Kさんに尋ねたところ、長年、花の稽古をしてきて気づいた仕事へのよい影響を3つ教えてくれました。
1つ目は、社員の精神状態をより深く理解できるようになったことです。
いけばなをしている姿をみていると、「いま、いい状態だな」とか「少し悩んでいるな」などの状態がわかるため、わざわざ面談をしたり声をかけたりするよりも、リアルタイムで部員の状態を把握してフォローできるようになったそうです。
2つ目は、稽古そのものがそれをする人にとってリフレッシュ効果を持つということです。
仕事で行き詰まっている部員も、稽古をしている経過で自然と心を立て直して元気になるのだとか。仕事での悩みを引きずらず、短時間でマインドを整理することにつながっているようです。
3つ目は、クリエイティブな作業を通じて創意工夫の力が養われることです。草花をいけるという芸術的な活動が、仕事での発想や柔軟な対応力の向上に結びついているというのです。