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【#私の子育て】田村淳〜自分軸で生きる子を育てるために。感情を言葉で伝える大切さ
タレントの田村淳さんは、自身のInstagramを「娘たちへの遺書」とし、現在8歳と4歳のふたりの娘さんへの想いやメッセージを綴っている。今回は田村さんの子育て観や、子どもに好かれるパパでい続ける秘訣を聞いた。聞き手は2児の母であるタレントの鉢嶺杏奈さん。
「子どもから見た僕は、ひょうきん者で、話をよく聞いてくれるパパだと思う」
「子育てで大事にしていることは、家族全員が自己を肯定できること」
こう語るのは、タレントとして多方面で活躍しながら、プライベートでは2児の父である田村淳さん。Instagramでの投稿は「娘たちへの遺書」とし、現在8歳と4歳のふたりの娘さんへの想いやメッセージを綴り話題を呼んでいる。
今回はタレントの鉢嶺杏奈さんが聞き手となり、田村家のルールや、子どもが自分らしく生きられるために親として工夫していることを聞いた。
4歳でも考える力は十分ある
鉢嶺:淳さんのInstagramを見てみると、お子さんととても仲の良い様子が伝わってくるのですが、子どもと信頼関係を築くために、どのようなコミュニケーションを大切にしていますか?
田村:僕も8年前に親になってからずっと手探り状態ではありますが、ひとつ決めていることは、頭ごなしに否定したり注意したりしないということです。もちろん注意しないといけないタイミングはあります。そういうときは「パパ、それをやられたらイヤなんだけど、なんでイヤだと思う?」と問いかけるようにしていますね。
そうすると娘は自分で考えて、たとえば「私が道路に飛び出して車に轢かれたらパパはイヤだから注意しようとしたのかな」などと答えてくれます。行為をやめさせることよりも、なぜやってはいけないのか理由を理解してもらうことが大事なので、「ダメだよ!」みたいな強い怒り方はしないようにしています。
鉢嶺:私はついつい「危ないよ!ダメだよ!」みたいな否定的な言い方になってしまいます…。
田村:うーん。怒られたくないからやらない、となってしまうと、すごく子どもの可能性が減っていくような気がするんです。たまに子どもに強い語気やきつい言葉で怒鳴っている親御さんを見かけたりもしますが、他人である僕が聞くだけで萎縮するのに、当の本人はもっと萎縮しちゃうだろうなと思って。
だから、子どもに対して注意するときは、語気や言葉選びに気を付けるし、子ども自身に考えさせるような伝え方を心がけていますね。子どもが考えた結果、間違っていることももちろんありますが、そのときは教えてあげたらいいですから。
鉢嶺:お子さん自身に導かせるんですね。逆に怒ることもありますか?
田村:人を叩いたり、物を投げたりしたときは、すぐ注意します。でもその後に、「なんでパパが怒ったのか、ひとりで考えてきて」と言うようにしています。長女はそういうときに決まってひとりになれる場所に行って、静かに考えて考えがまとまったら出てきます。
鉢嶺:小さい頃から自分で考える習慣が身についているんですね! 4歳の下のお子さんはどうですか?
田村:お姉ちゃんのことを見て育っているので、下の子もひとりで考えて、自分で戻ってきますよ。
4歳には4歳の、8歳には8歳の悩みがある
鉢嶺:淳さんは家族とコミュニケーションをする上で、ツールとして欠かせないものって何かありますか?
田村:特にこれといったものはないですが、我が家にとってはリビングで集まることが、とても大事なコミュニケーションになってるので、ある意味リビングがツールかもしれませんね。僕は家を建てるときからリビングが家族にとって心地いい空間になるようにすごく考えていて。
基本的にみんなリビングで過ごしていて、何をしていてもどこかしら姿が見えています。僕自身が思春期のときには、親とコミュニケーションをとらずに自分の部屋にずっとこもっていたので、そうさせたくないなと思ったんです。
鉢嶺:みんながリビングで過ごしているから、自然とコミュニケーションも生まれるんですね。家族同士でも以心伝心があるわけじゃないので、会話でコミュニケーションを取らないと、わかり合えないですよね。
田村:そう。特に日本人は、会話はなくても分かり合えるとか言う人がいるけれど、そんなわけありません。僕は幼少期から、母が自分の意見をしっかり言う人で、「あなたはどう思うの?」と問いかけ続けてくれたから、コミュニケーションの重要性が分かっているつもりで。今も、些細なことでも隠さずに、相手の気持ちも考えながらしっかりと伝え合える家族を意識しています。
鉢嶺:素敵ですね。でも、ご家庭では女性が3人ということで、コミュニケーションのバランス調整が必要そうですよね。
田村:そうですね。たとえば長女は主張が強いので、そのせいか次女は遠慮しがちで。なので、次女のほうに話をたくさん振るときもあります。本人が置いていかれていると思わないように、都度バランスを取っていますね。でも、基本的には、みんなお互いが納得がいくまで話を聞くようにしています。4歳には4歳なりの、8歳には8歳の悩みがあるし、奥さんの話も聞いてあげたいですからね。
会話の交通整理をするのが自分の役割
鉢嶺:お話を聞いていて、笑い声や喋り声が絶えないリビングなんだろうなと想像できました。
田村:笑い声もそうですし、姉妹の喧嘩や、ママと長女の喧嘩が始まってもすぐにわかります。
鉢嶺:喧嘩が始まったときは、どうしてるんですか?
田村:あまりにも揉め方が子どもじみていたら入っていきますが、ママからいま絶対に伝えなきゃいけないような言葉が飛び交っていたら僕は入っていかないし、ケースバイケースですね。どんなときでも臨機応変に、その場の状況に応じて動くというのは、司会の仕事をするときにも心がけていることだし、僕の生き方として大事なポイントでもあるんです。
台本通りに進めるだけだったら、僕はそれを司会者だとは思わなくて。どんな状況でも臨機応変に対応するというのが僕の司会術でもあり、家庭でのパパという役割でもあり、両方で活きています。
鉢嶺:淳さんの話を聞いていると、家族それぞれのことをすごく見ていらっしゃるなと感じます。ひとりひとりの性格とか日頃の様子を見ていないと些細な変化には気付けないし、うまく声をかけることもできないですよね。
田村:でも、普段からデータを蓄積している感覚ではなくて、一緒に過ごす時間を臨機応変に対応することで、情報が入ってくるんだと思います。人の表情は見たらわかるじゃないですか。仕事でも「この人言いたいこと言えてなさそうだな」とか、家庭でも「ママがなんか言いたそうだけど遠慮してそうだな」とか。
それをその都度感じながらそっと手を差し伸べるというか、会話の交通整理をしてあげることが、仕事でも家庭でも自分の役割だと考えています。
2千冊の本が育てた子どもの表現力
鉢嶺:娘さんからもらった贈り物で、いちばんの宝物はなんですか?
田村:今までにもらった手紙は全部宝物ですね。先日、長女の誕生日に「誕生日を祝ってくれてありがとう。ここまで私という種に、お水をちゃんと与えてくれたのはパパとママだよ。立派な花になります」というような手紙をくれて。ママと一緒に、なんていい文章を書くんだと、毎回感動してしまいます。
4歳か5歳のとき、はじめてくれた手紙には「こころのそこからあいしてる」と書いてくれて。今でも大切に飾っています。
鉢嶺:そんな言葉を知っているなんて驚きです! 小さい頃から絵本をよく読んでいたんですか?
田村:そうですね。本は無条件で買うと決めていて、家には2千冊くらいの本があります。
鉢嶺:もはや図書館ですね! 読書の習慣から「心の底から愛してる」という言葉も知ったのかもしれないですね。娘さんから見た淳さんは、どんなパパだと思いますか?
田村:話をよく聞いてくれるパパだとは思ってくれているのかな。手紙でも「私の長い話を聞いてくれてありがとう」とよく書いてあるので、そういう認識があるんだと思います。気持ちよく喋ってもらえるように、どんな話でも遮らずに、相槌や質問を入れながら盛り上げています。
鉢嶺:子どもの話を聞き出すために、気をつけていることはありますか?
田村:感情が揺さぶられた瞬間に到達するよう、話を持っていきます。どこでどのように気持ちが揺さぶられたのか、興奮したのかを、聞くようにしています。
鉢嶺:なるほど。その瞬間を思い出して、本人もあらためてワクワクできますもんね。
田村:そうですね。決して文章としてまとまっているわけではないけれど、今は感情のままに喋ってもいいのかなと思います。
鉢嶺:そうしているうちにだんだん上手になってくるんでしょうね。
田村:1~2年前に比べても、文章力や表現力がどんどん上がっていますね。
”親”ではなく”自分”が楽しい、で生きて欲しい
鉢嶺:将来、子ども達にはどのような大人になってほしいですか?
田村:他人に流されないで、自分の軸を持つ人になってほしいです。どうしても世の中には、他人の目を気にしすぎたり、他人の軸で生きてしまう人が多いように思います。でも、自分の人生なのに他人のフィルターを通して生きてしまうのは、もったいないですよね。他人にどう思われようが、自分の人生で何をしたいのか、どう生きたいのか、自分軸で動ける人になってほしいなと思いますね。
ただ、偉そうに話してしまいましたが、僕も子育ては初めてのことだらけなので、「子育ては確実にこうだ」なんて持論はもちろんありません。一方で、奥さんと一緒に子育てを楽しんできたことは、自信を持って言えます。子育ての楽しい瞬間をどれだけ切り出せるか。楽しくないとしんどいし、続かないと思いますが、今のところすごく楽しいです。
鉢嶺:Instagramを拝見していても、その「楽しい」を引き出す子育てが、素晴らしいなと思います。たとえば雨の日を楽しく過ごすために、アート活動をしたりゲームを作ったり、いろいろと工夫されていますよね。その想像力は一体どこから湧いてくるのか知りたいです。
田村:僕の人生のテーマのひとつに「あるものを疑って、ないものを創る」があるんですよね。たとえば目の前にあるペットボトルは当然のように普及しているけれど、もっといい容器が他にあるんじゃないかと疑う力。そして、他にないのであれば創ったらいいじゃん、と生み出していく力。
子どもには、既存のおもちゃで遊ぶばかりではなくて、自分たちで作ることもできるし、作ったら楽しいということを知ってほしくて、おもちゃの材料になるようなものを出しておいてみたりします。そうすると、やっぱり子どもの想像力ってすごくて、僕も意図していなかったようなものを創り出すんですよね。
それを見せてもらったときは、「いいね!」と言うのはもちろん、作ってみてどんな感情になったのかを聞くようにしています。大体は「楽しかった」「作ってよかった」など当たり前の感想が返ってくるのですが、それを毎回子ども自身の口で言わせることが大事なのかなと思っていて。
子どもが自分自身でその行動を始めたこと、楽しそうだからやった、作ってみたら実際に楽しかったということを、言葉に出すことで感じてほしいんです。パパから褒められるからやった、という考えにはなってほしくないなと思うんです。
鉢嶺:たしかに、子どもは大人から褒められたいのが行動原理になりがちですよね。
田村:そうなんです。子どもには、「ママやパパを喜ばせるために生きてほしくない。あなたたちが、自分らしく生きていることがママもパパも嬉しいんだよ」ということを日頃から言っていますね。