自分時間=自分を最優先する時間。何かを削る必要はない?

自分時間=自分を最優先する時間。何かを削る必要はない?

2025.07.07

現役保育士のてぃ先生、1児の母であるpecoさんの「令和時代の子育て」をテーマとした対談企画第3弾。司会には自身も2児の母である、タレントの鉢嶺杏奈さんをお迎えしました。中編のトークテーマは、自分時間の作り方について。

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(左)てぃ先生。現役保育士。SNS総フォロワー数は180万人を超え、保育士としては日本一の数を誇る。育児アドバイザー、顧問保育士、講演活動など、メディア出演なども多数。(中央)peco。1995年 大阪府出身。原宿系のファッションモデルとして若者を中心に絶大な人気を集め、現在は自身のブランド「Tostalgic Clothing」のプロデューサーを務める。1児の母。(右)鉢嶺杏奈。1989年 東京都出身。映画やドラマ、CMで女優として活躍する一方、TBS系バラエティー「日立世界ふしぎ発見」のミステリーハンターを務めるなど、タレントとしても活躍。2児の母。

自分を最優先にする瞬間=自分時間

鉢嶺:今回取ったアンケートのなかには「結局自分時間っていらないかも」という方もいらっしゃいました。

てぃ先生:すごいですね! ただ、幸せは巡ってくるものだと思います。自分時間を取って気持ちに余裕が出れば子どもにも優しくしてあげられるし、結局は子どもに還元されるのではないでしょうか。親御さんたちはどうしても子どもに対して直接の愛を注ごうとしがちですが、それで疲弊してしまったら、怒ってばっかりになったり、与えるはずだった愛がしぼんでしまったりするかもしれない。だとしたら、一回「自分のため」を経由して、子どもに還元していくほうが理想的かなとも思います。

鉢嶺:親になると、色々なことを犠牲にして”子どもに与えること”が当たり前になってきちゃうんですよね。だから、自分時間を確保することがとても特別で、大事すぎることになってしまう。そして、その特別な時間を無駄にできないと感じてしまうのかもしれません。


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てぃ先生:そういう方は、頑張りすぎているがゆえに一人時間をあまりにも特別視しすぎているのではないでしょうか。だから「せっかく自分時間を取るならいい時間にしたいし、まとめて取りたい」とか「最低でも一時間はほしいから、それ以下ならいらない」という極端な思考になりがちな気がします。

上手にやっているなと思う方は「アイスコーヒー飲みたいからちょっと一人で飲もう」とか、自分時間を細かく取っている気がします。一人の時間を特別視してしまうと「せっかくアイスコーヒー飲むなら、お気に入りの映画を見ながらゆっくり飲みたい」などと思ってしまいがちです。

peco:細かく色々な場面で自分を大切にしている、ということですね。

てぃ先生:そうです。大事にしていたお菓子を自分ひとりで食べるとか(笑)。

peco:まさにやっています!こっそり食べるのは10秒とか20秒の短い時間だけど、そういうことの積み重ねなのかなと感じました。

てぃ先生:「特別」は大事だけど、その特別のハードルを下げられるといいですよね。すぐにでも取り組めることを、一日のなかに散りばめる。

peco:そうですね。あと私は、息子が見てない隙に、絶対にいま見る必要のないようなインスタを見たりします(笑)。でも、そういう瞬間にふっと肩の力が抜けたりするような気がするんですよね。他にも、「自分のために」息子のお願いを断ることもあります。「ママ、今日髪の毛洗って」と言われても、どうしても疲れていてやりたくなかったら断ったり。もちろん伝え方には気を付けますが、そういうことの積み重ねですね。

てぃ先生:つまり「自分のことを優先にする時間」があるということですよね。子どものことが大事という前提がありつつ、自分を最優先にする瞬間。

鉢嶺:たしかにそれって「自分時間」ですね!そう考えると意外とすぐにできそうです。

peco:改めて考えてみて、自分でもはじめて気が付きました。私は自分を優先にしている瞬間がたくさんあるから、逆に自分時間に「これやりたい」「あれがしたい」とはならないのだと思います。

てぃ先生:各家庭の状況に合わせて「自分を優先する時間」を増やしていけば、それが自分時間になるんですね! すごい発見ですね(笑)!

鉢嶺:自分時間って、もっと大きな時間だと思っていたし、そのために何かを削って時短をして……、と思っていましたが、そんな大した話ではなかったんですね。


帰宅後の時間割には、自分時間を組み込むべき

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鉢嶺:KIDSNA STYLEが「自分時間を確保するための時短術」についてアンケートを実施した結果、寝かしつけに悩んでいるママの声が多かったのですが、pecoさん流の寝かしつけはありますか?

peco:ベッドに入って電気を消したら小さい声にする、というルールはありますが、他には特にないですね。

鉢嶺:寝かしつけは、家庭や子どもごとにかなり特色がありますよね。

てぃ先生:日本の寝かしつけの方法は「ママのとんとん」だったり「お気に入りのお人形」のように、その子が寝るための要件であることが多いです。何か特定の仕草やグッズに頼ること自体はいいのですが、度が過ぎるとそれがなければ寝られない体質になりかねないです。きっと早く寝かしつけたいがあまりに、グッズやルーティンを増やしすぎたりしていると思いますが…。

鉢嶺:ちなみに、アンケート回答の中では「帰宅後の時間割を決めて、その流れを遵守する」という意見もありました。

peco:私もそうかもしれません。家に帰ったら、お風呂→ご飯→フリータイム→寝ると決まっていますね。お迎えの車の中から「帰ったらお風呂やで!どこも行かないで、まっすぐお風呂やで!」と言っています(笑)。


てぃ先生:子どもは「帰ったらお風呂」のように、これから何をすべきか予めわかっていると行動しやすいです。家に着いて遊び始めてから突然「お風呂だよ!」と言っても、子どもはもう遊びに夢中なので、なかなか切り替えられないので。

あと、時間割を決めるのであれば先に「22時~23時は自分時間」などと決めてみてください。最後の余った数十分を親御さんたちは自分時間にしがちですが、それだと大体予定がずれたり、眠くなってしまったりと、なかなか上手くいかないと思います。

この時間は絶対に取りたいから、ご飯は簡単なものにしようとか、今日の掃除はこれくらいでいいや、と逆算したらいいのではないでしょうか。


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頼れる先は、なるべく増やしたほうがいい

鉢嶺:自分時間を確保するために、ベビーシッターや家事代行サービスを利用する方法もありますが、pecoさんは経験ありますか?

peco:私はこれまでずっと抵抗があって頼むことはなかったのですが、最近シッターさんにお願いする機会があって、いざ頼んでみたらもっと早くにお願いしたらよかったと思いました。私の場合は自分時間の確保のためではなく、どうしても仕事が終わるのが遅くなってしまうときに使っています。でも、海外では夫婦でディナーに行くためにベビーシッターを呼んだりもすると聞きますし、使い方は人それぞれですよね。

鉢嶺:私はなかなかハードルが高くて、気軽に使うことはできないですね。本当に最後の砦、みたいなイメージを持っています。

peco:そうですよね。私は知らない人を家に入れることのハードルがずっと高かったので、気持ちはわかります。でも、今は本当におすすめできます。もちろん人間同士なので相性もあると思うのですが、うちに来てくれるシッターさんは、英語も日本語も喋れて息子ともすぐに仲良くなってくれたし、親としてはやらせてあげられないようなこともしてくれるので最高です。

たとえば、息子は「スムージーを作ってみたい」と前から言っていたんですが、私はどうしてもミキサーを洗うのがめんどくさいし、余裕がなくて。でも、シッターさんは一緒に楽しんで作ってくれるんです。色々なレシピを教えてくれたりして、息子にとってはそれが楽しくて楽しくて。シッターさんが丁寧に作り方を教えてくれるおかげで、今では息子ひとりでも包丁やミキサーを上手に使って作れるようになりました。

息子が一人でスムージーを作っている様子を見て、レシピを教えてくれただけでなく、自立心まで教えてもらったように感じました。私にはできないことだったので、他人と過ごすことは決してマイナスなことではないんだと気づかされましたね。親がいないところで子どもはなにか新しい成長をするんだなと。

てぃ先生:ベビーシッターって、保育園の機能が家に来てくれるようなことですよね。よく聞く話で、ご家庭でお子さんが「絵具で遊びたい」と言ってもなかなかやらせてあげられないじゃないですか。でも、シッターさんは部屋が汚れないように準備をして、子どものやりたいことを叶えてくれる。ママは自分の時間も過ごせるし、このようなサービスをうまく活用できるといいなと思います。


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peco:習い事のお迎えをしてくれたり、宿題も教えてくれたり、簡単な家事もやってくれていたり……。本当にありがたいです。

てぃ先生:保育園は入ってから相性が悪いと分かっても転園するのには大きなコストがかかりますが、ベビーシッターの場合は、もし違うなと感じたら、気軽に他の方にお願いできますから。頼れる先は増やしておいて損はないということですね。


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