日本は管理職ママや専業主夫に寛容な国になれるのか?【読者企画会議#1】
ジェンダー、性教育、脳科学など独自の切り口で子育てを考えるKIDSNA STYLE。今回、読者といっしょに今後世の中に発信するテーマを考える「読者企画会議」を開催。会議では自由に意見を交換し、KIDSNA STYLEが次に切り込むテーマの芽をいっしょに探していきます。第一回のトークテーマは、「ママだから・パパだからって決め方、そろそろやめない?」。
「育てるを考える」をコンセプトに、他にはない切り口で子育てや生き方のヒントを発信してきたKIDSNA STYLE。今回は、KIDSNA STYLE読者が潜在的に知りたいテーマを探すべく、初の読者参加型企画会議を開催。
女性には、育児かキャリアのどちらかを選択しないといけない局面があり、それが当たり前の風潮にあるという意見が。参加者のAさんの場合は、産休・育休から復帰するときには役職を下りるように、会社から圧力をかけられたという。
参加者は何を感じるのか、ママ・パパのリアルを聞いた。
キャリアを諦めるのはいつもママ?
ーー今日は「ママだから・パパだからって決め方、そろそろやめない?」をトークテーマに、自由に意見を交換したいです。
多様化する現代とはいっても、「ママだから~」「パパだから~」と性別によって役割や行動がしばられるような雰囲気が根強く残っていたり、日頃から感じることは多いのではないでしょうか?
Yさん:夫は家事・育児に関して「ママの仕事」「自分はお手伝い」のスタンスです。子どものしつけに関しても関心が薄く、私ばかりがやっていることにモヤモヤします。私は主婦なので家事はもちろんしますが、育児はふたりでやることなのにな、と思います。
Oさん:うちは夫の転職に伴い引っ越しをしたので、それを機に私は仕事をやめて専業主婦になりました。平日は夫が帰ってきた後も、私がメインで家事・育児をしています。
今まではそれを特に疑問に思わなかったし不満というわけではないけれど、社会の流れが変わってきてふと「私はなんで当たり前にやってるんだろう」と思うタイミングは増えたかもしれません。
ーー2022年に行われた夫婦の家事分担に関する調査では、妻側が約8割の家事を負担していることがわかっています。
出典:「家族サービス」は死語?夫婦が家庭を円満に運営するには【漫画家おぐらなおみと子育て中のママが語る】/KIDSNA STYLE
ーー事前のアンケートでも同様に、家事・育児の分担について納得感が少ないという意見が多かったです。それでは仕事に関してはどうでしょうか?
Aさん:私は産休前まで役職についていたのですが、妊娠がわかってから会社に「復帰後は役職から降りるべき」と言われて。実際に今まで役職のまま復帰した女性はひとりもいなくて、慣習のようになっていました。体力的にも精神的にもつらい時期にこのようなことがあって、会社からの圧力に負けそうでした。
結局、夫がよく考えるように止めてくれたので会社とも話し合いを何度も続けて、結果的には役職を維持したままフルタイムで復帰できることになりました。ただ、実際に復帰してみないとどうなるかわかりませんし、女性のキャリアについてあらためて考えたできごとでしたね。
Cさん:私も今育休中ですが、夫の会社では育休の話はまったく出なかったと言っていました。ママは育休を取るのが当たり前なのに、パパは聞かれることすらないということが、なかなか衝撃でした。
ーー女性活躍推進法が制定されたのが2015年ですが、今でも「育休を取るのは女性」「子どもがいる女性は役職には就けない」など昔からの体制・価値観が残っていることは多いですよね。事前アンケートでも関連するコメントがあったので紹介します。
Eさん:結局、赤ちゃんを妊娠・出産して、母乳をあげるまでは女性しかできず、そのために仕事のキャリアを止めないといけない。止めたキャリアは、復職する際にそのままの状態で戻ってくるわけではないことも現実。
だから、パパには少しでも世帯年収を下げずに済むように仕事を頑張ってもらうしかなくて、そうなるとママが家事・育児をするしかない。性差の役割を平等にするには、企業には「努力義務」ではなく「義務」として出産後のママのポジションを保証してもらわなければ難しいですよね。
Wさん:この話題は長年議論になっているので、きっと今が過渡期なんだとは思いますが......。社会構造の整備が十分とは言えないので、ママ・パパ個人の問題ではないですよね。
Tさん:保育園の送迎はパパが担当している家庭もかなり多いし、休日の公園もパパが付き添っている割合が多いときもあったり、育児環境は変化はしているなと。ただ、「育児とキャリア」の問題で悩むのは、いつも女性なんですよね......。
「専業主夫」「フリーランスパパ」も当たり前の社会へ
Mさん:うちは幼稚園なので専業主婦のママが多いのですが、やっぱり平日に行事があるとパパはほとんど来ていません。だから、余計にパパは参加したくてもしづらい空気を感じるみたいです。ママ・パパ関係なく、子どもの行事のために休みを取れるのが当たり前の社会になったらいいなと思います。
専業主夫も特殊なことではなくて、そういう人がいてもいいですよね。ママのキャリアが失われない社会になれば、パパの「仕事をなにがなんでも頑張らないといけない」というプレッシャーも減るかもしれない。結果として男性にとっても選択肢が増えることにもつながるのかなと思います。
ーーそうですね。まさきちさんは、在宅で仕事をしながら育児もしているんですよね?
まさきちさん:はい。私は育児が本当に大好きなんです。元々は会社員でしたが、ここ数年は在宅勤務だったので、子どもと過ごす時間が多くとても楽しくて。会社の方針で在宅勤務が禁止になったので、それを機に退職しました。
変化の遅い日本では、パパは仕事でママは家事・育児という構造がすぐ変わるとは思えませんが、私みたいに家族と過ごしたいという理由でフリーランスを選択する人も増えているように思います。
いま私はTikTokで家族の日常を発信しているのですが、そういう姿を見てもらうことで、パパ・ママの選択肢が増えたらいいなと思っています。
ーー皆さん、ありがとうございました!
編集後記:今回の企画会議では、ママがキャリアを諦めなくてもいい社会は、パパが自分らしく生きられる社会にもつながるという意見や、「専業主夫」「管理職ママ」「フリーランスパパ」など読者が気になっているキーワードがあがった。
また、会議で垣間見えたのは、参加者の方々の想いの強さ。当事者である子育て世代がもっと声を上げていくための第一歩としても、この企画を続けていきたい。
いっしょにヒントを探していく企画会議参加者も募集中!