CM差止めでフジ系列27局は地獄の沙汰…ビクともしないフジからの流れ弾で地方局に募る「柿本人麻呂の怨念」
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負のスパイラルが止まらない!
1月27日に行われたフジテレビやり直し会見。各種制限なしで行われ約10時間半に及んだが、残念ながら広告主の納得は得られなかった。フジテレビでは、全体の8割がAC広告に差し替えられたままだが、系列局でも3割近くのCMが差し止められている。連結売上の中で、広告収入は3割に満たないキー局と異なり、ローカル民放の広告費は収入の大半を占める。この事態の先に待つ地方局の運命とは……。
フジテレビの1日の広告枠は1000本弱。通常は、番宣は100本ほどあるがAC広告は1本あるかないか程度なので、収入に直結する普通の広告は900本ほどに及ぶ。
1月17日に港浩一社長らフジテレビ幹部が元タレントの中居正広氏の女性トラブル問題を巡り緊急記者会見を行った。ところが動画を許可しないなど閉鎖的なやり方に加え、港社長の「逃げ」の姿勢が目立ち、翌日からCM差し止めを決めたスポンサーが続出した。その後10日間でAC広告は700本ほど、全体の8割ほどに増えてしまった。75以上のスポンサーがCMを差し止めた結果である。
起死回生のやり直し会見が1月27日に行われた。191媒体・437人が出席し、異例の長時間となったが、残念ながらここでも広告主を納得させるには至らなかった。
会見が始まった16時以降、フジはCMを外したため、この日の広告総本数は3分の2に減った。そして残りの枠でも、AC比率が下がらなかった。
広告枠も減り始める⁉
そして会見を受けた翌28日、広告枠総数は少し戻った。
ところが、やり直し会見前と比べ1割以上減っている。前の週から広告期間の前倒し終了を検討した結果、実行に移したスポンサーが出始め広告枠が減っているのかもしれない。
28日に放送された広告枠を、一週間前と比べてみよう。
枠全体は813と、2割近く本数が減った。CMを出稿した企業数も29社と問題発覚前の8分の1に激減した(PTP社「SPIDER」データから)。
中でも深刻なのは、タイム広告主が逃げている点だ。例えば、日曜夕方放送の「サザエさん」。問題前は10社以上が提供に名を連ねていたが、26日には西松屋のみとなっていた。ところが同社も、やり直し会見後にフジテレビへのCM出稿を見合わせると発表した。
タイムCMから降りるスポンサーは続出している。
火曜の新ドラマ「アイシー~瞬間記憶捜査・柊班」(波瑠主演)は、21日に放送された初回で提供がゼロだった。翌週28日放送では、高須クリニック1社だけの提供となったが、流れたのは30秒1本だけ。
番宣を除く広告枠では通常広告が2割程度だったが、出稿した企業をみると事態の深刻さがわかる。テレビCMをたくさん出す上位社が完全に消えていたからだ。
しかも、CMを出したのは「日本民間放送連盟」「TVer」「フジランド」「東宝」など、業界関係あるいはフジと出資関係にある企業が目立つ。つまり通常の取引相手に限れば1割程度に減ってしまうのである。