健康診断の数値はさほど意味がない…和田秀樹がそれでも「中高年は受けるべき」と説く"2つの検査"
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中高年は健康診断をどのように活用するといいか。医師の和田秀樹さんは「病気との関連性がほとんどわからない健康診断の数値に一喜一憂しても、実際はさほど意味はない。自分の体の声を聞くことのほうが大切だ。ただし、そのなかでも2つの健康診断だけは受ける価値がある」という――。 ※本稿は、和田秀樹『AIを賢く利用して 老後を図々しく生きる』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
「健康診断の数値が良い=健康」ではない
高齢になってから健康に不安を感じて健康診断をまめに受けるようになったという話をよく聞きます。血圧や血糖値、コレステロール値などの数値を知って予防に役立てたいという気持ちはわかりますが、健康診断を過信するのはよいことではありません。
実際、悪い数値が出て放置しているにもかかわらずピンピンしている人もいれば、正常値のA判定でも心筋梗塞や脳梗塞を起こし、生死をさまよう人もいます。健康診断の結果とちぐはぐなことが起きる理由は、日本の健康診断が相対評価で正常値を決めていることにあります。
日本では、通常は「健康だと考えられる人」の平均値を基準として、上下95%の範囲に収まっている場合を正常と診断し、その外側の上から2.5%と下から2.5%をすべて異常とみなしているのです。
血液検査を受けると何十種類もの項目の結果が出ると思いますが、それぞれが基準としている数値と健康との関連性について、実はほとんど明らかになっていない、というのが現実なのです。
実際に、健康との関連性が認められているのは血圧や血糖値などせいぜい5項目程度です。つまり、多くの数値については異常かどうかを証明することはできず、さほどあてにならないわけです。