「セクハラ上司」のレッテル貼られ一家離散も…危険がいっぱい「女性部下との泊まり出張」で身を守る3大予防策
Profile
「セクハラの加害者」にならないために
昨今、ビジネスパーソンの間ではハラスメントに対する意識が向上しています。それに伴い、セクハラに認定される行動の範囲が、従来よりも拡大しています。親睦を深めようと思って同僚社員を何回か飲みに誘ったら、いつの間にか自分が「セクハラ魔」に認定されていた。そんな話がないとも限りません。
自分がセクハラの加害者にならないために重要なのは、「相手との関係性」を意識することです。たとえばあなたが男性で、年下の女性社員と2人で泊まりの出張に行く場合を想像してみましょう。
ここで、双方の関係性が構築できていない場合、仕事後の食事やホテルでの部屋飲みに誘うのはセクハラです。相手の同意を得ないまま飛行機や新幹線の席を隣にしただけでも、「強制的に上司の隣に座らされた」と吹聴されれば、セクハラの疑いからは逃れられません。
もし、公共の場所などで卑猥な言動をすれば、各都道府県が定める迷惑行為防止条例に違反し、程度によっては懲役刑や罰金といった罰則が適用されます。
とはいえ、相手との関係性を見極めるのは難しいものです。セクハラに気を使いすぎるがゆえに部下が萎縮して、仕事に支障をきたしたら本末転倒です。そこで、一連の行為がセクハラかどうかを判断するために「業務上の必要性」を考えてみましょう。前出のケースでは、出張先の新幹線で隣席でも、事前打ち合わせやプレゼンのリハーサルをするのであれば、問題ありません。
気をつけてほしいのは、セクハラは受け手の主観なので、性別や年齢に左右されないということです。実際、私たちの弁護士法人では、男性からセクハラ被害を相談される機会が増えています。「男同士でキャバクラに行こう」と部下を連れ出したり、女性が冗談気味に男性を小突いたりするだけでも、セクハラになる場合があるのです。
セクハラ扱いを恐れて、社内恋愛に尻込みする読者がいるかもしれません。しかし、節度をわきまえさえすれば、問題ありません。セクハラで訴えられるのは「繰り返しデートに誘われた」「何度も連絡が来た」というケース。逆に言えば、1回だけ食事や飲みに誘っても、セクハラとして認定される可能性は低いです。一度断られているのに「次こそは」と執拗に誘ったり、腹いせで嫌がらせをしたりすることだけはやめましょう。