「労働時間が長くて家事・育児ができない」は大ウソ…最新調査でわかった日本の男性が家事をしない本当の理由

「労働時間が長くて家事・育児ができない」は大ウソ…最新調査でわかった日本の男性が家事をしない本当の理由

なぜ日本の男性は家事・育児をしないのか。明治大学教授の鈴木賢志さんは「その理由の一つとして長時間労働の問題が指摘されることが多いが、最近の調査で労働時間と家事・育児時間には関係がないことがわかった。激務でも家事・育児をする人はするし、働く時間が短くても家事をしない人はしない」という――。

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※写真はイメージです

男性の育児参加は大きく進展した

私はスウェーデンを研究しており、コロナで行けなかった時期を除いて、毎年学生とスウェーデンを訪れています。つい5~6年前までは、街歩きをしてきた学生たちから、スウェーデンでは平日の昼間に1人でベビーカーを押して歩いている男性がとても多くて驚きましたとよく言われたものですが、気づいてみると、同じ光景が東京の街中でもぼちぼち見られるようになっています。

厚生労働省が2023年度に実施した雇用均等基本調査によると、育児休業を取得した男性の割合は30.1%で、復職者の取得期間は「1カ月~3カ月未満」が最多(28%)でした。その10年前、2013年の調査結果では、育児休業を取得した男性の割合はわずか2.03%で、その半数はわずか数日取得しただけと言われていましたので、この10年間で男性の育児参加は大きく進展したようです。

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出典=厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」結果

子どもができた労働者に対して育児休業の取得意向の確認を個別に行うことを事業者に義務づける、大企業に育児休業の取得状況の公表を義務づけるといった法改正が矢継ぎ早に実施されたことや、男性の育児参加に対する社会の関心が高まり、多くの企業が対応の必要性を感じるようになったことなどが、この進展の背景にあるのでしょう。

育児時間と労働時間に明確な関係はない

けれども、他方ではこんなデータもあります。連合総研が2024年10月に首都圏および関西圏の勤労者2000人(20歳代~50歳代各400~500人ずつ、および60歳代前半約150人)を対象に実施した「第48回勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」によれば、「食事の用意」について、結婚している男性の43.5%が「ほとんど行わない」と回答し、結婚している女性の73.4%が「週に6~7日」行っていると回答しています。結婚している男性は「食料品や日用品の買い物」すら「週に1日くらい」が36.4%、「ほとんど行わない」が22.3%です。「子どもの身の回りの世話」についても、結婚している男性の25.9%は「ほとんど行わない」と回答しており、結婚している女性の77.8%が「週に6~7日」行っていると回答しています。

しかも興味深いことに、これらの傾向は男性、女性とも労働時間による差がほとんど見られません。たとえば「食事の用意」について、男性が週30時間未満しか働いていない場合でも41.4%が「ほとんど行わない」と回答しています。その一方で、週60時間以上働いているという女性の75%が「週に6~7日」行っていると回答しているのです。その他の家事・育児についても、おおむね似たような傾向が見られます。ただし「子どもの身の回りの世話」については、週30時間未満しか働いていない男性の46.7%が「週に6~7日」行っていると回答しており、これは育児休業の取得が関係しているように思われます。

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https://kidsna.com/magazine/article/entertainment-report-241120-18092283

2025.01.22

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