教育熱心はどこまで?
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不安定な社会情勢やSNSなどを通じて得る過剰な教育情報によって、子どもの教育に奔走し、過干渉な子育てをする親が増加しています。行き過ぎた「教育熱心」が及ぼす危険性とは?そして子どもを疲弊させないために、親がどうあるべきか、各専門家に取材しました。
2017.07.15
カリスマ保育士「てぃ先生」の人気連載コラム。連載8回目の今回は、保育士さんが子どもに話を聞いてほしいときに使う方法について書いていただきました。
こんにちは!てぃ先生です。
前回の「登園前の5分でできる子どもとのスキンシップ方法」、多くの方から「参考になった」とのご感想をいただき嬉しく思います。ありがとうございます。
今回は、パパママから多くいただいたご質問、「保育士さんが子どもに話を聞いてほしいときに使う方法は?」について答えます。
よく「自分の子一人でも大変なのに、どうやってあんな大人数に対して話をしているのか?」といったご質問をいただくのですが、正直な話、全員は聞いていないです(笑)。
さらに、聞いているようで聞いていない子がいたり、聞いたけれど意味が伝わらなかった子もいたりするので、パパママが想像しているような理想的な状況ではありません。
幸いなことに保育園は複数担任が基本ですから、お話が伝わった子を先導する先生とそうでない子のフォローに回る先生とで役割分担ができます。そうやってお互いにフォローし合いながら、上手に子どもの行動をコントロールしているのです。
とはいえ、出来るだけ多くの子どもにお話が伝わるように努力をしています。
例えば、一番ポピュラーなものだと「手遊び」(※)です。お話をする前に、子どもを惹きつける・こちらへ関心を向けるためによくやっています。実際に見たことがある方も多いのではないでしょうか?
※「手遊び」=歌を歌いながら歌詞の内容に合った手や指の動きをすること
僕も手遊びをすることがありますが、最もよく使うのは「素話(すばなし)」です。
簡単に説明すると、『おおきなかぶ』など覚えやすい物語を頭に入れて、何も見ない状態で子どもに聞かせることです。
難易度が高いな、と思うかもしれませんが意外と簡単です。(極めようと思うと難しいですが)
たとえば、『シンデレラ』なんかはお話の流れが何となくわかりますよね。それを口に出すだけです。そう考えたら出来る気がしませんか?
もっと簡単にする方法もあります。
それは、自身の経験談や思い出話をすることです。誰でも1つや2つくらいなら、パッと楽しかった話、大変だった話、出てくると思います。それを子どもに話してあげるだけです。小難しい話でも大丈夫。
何だかよくわからない昔話を聞かされるよりも、よっぽど子どもは興味を持って聞いてくれると思います。
そして、それにはちょっとしたコツがあります。
簡単なお話でも情景が思い浮かぶよう、具体的に話すことです。
例えば、「友だちとご飯を食べに行った」たったこれだけのことを素話風にすると、
「この間の日曜日に、先生が高校生だったときのお友だちと2人で、電車に乗ってご飯を食べに行ったの。電車は40分くらい乗ったよ。座りながらお話してたらすぐに着いたけどね!
それで、駅から少し歩いたところに白い壁の綺麗なお店があったから入ったの。お外がすごく暑かったから、お店の人が持ってきてくれたお水をすぐに全部飲んじゃったんだよ。それでね、メニューにいっぱい美味しそうなご飯が載ってたから、お友だちとどれにしよっか?ってずっと迷っちゃって……(続く)」
どうですか?
何でもない日の出来事も具体的に詳しく話すだけで、情景が思い浮かぶ楽しそうなお話になったと思いませんか?
子どもは大人の話が大好きです。よく大人同士が話していると割り込んできたり、聞き耳を立てたりしている子がいますよね。大人が楽しそうに話している。それだけで子どもには魅力的なものに見えるんです。
もともと子どもは「お話」が大好き。
ただ、大人がそれを強制したり、つまらないことをダラダラと話したり、それがお話を聞かなくなってしまうことに繋がっていると考えています。
お話を聞いてほしい。聞く習慣を身につけさせたい。
そう思うのであれば、子どもが喜ぶようなお話、楽しいお話、思わず聞きたくなってしまうようなお話を、普段からたくさんお話してあげてください。
子どもは仕事相手じゃないですから、「これやって」「ああして」と業務連絡みたいなことばかり話していては、聞くことが身につきません。
楽しいお話を聞くこと。それを積み重ねるだけで、自然とどんなお話にも耳を傾けるようになっていきます。
他にも、小さな声でお話してみたり、声にメリハリをつけたり、表情を変えてみたり、いろいろと細かいテクニックもありますが、まずは根本を変えるために上であげたようなことをやってみてください。
きっと、少しずつ変わっていくことが実感できると思います。
ご参考までに。
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