逆子かもしれないと思ったり、逆子と診断されると元の位置に戻るように対策するママも多いかもしれません。逆子の原因は、冷えが関係しているのか、また温める場合にカイロを使用してもよいかなどを解説します。逆子になったときの対処法についても併せてご紹介します。
赤ちゃんは頭から産道を通り抜けるため、本来は子宮内にいるときは頭を下に向けています。
しかし逆子は、お腹のなかの赤ちゃんの頭が上を向いている状態です。
妊娠初期や妊娠中期の赤ちゃんはまだ小さく、子宮内で自由に動き回り、頭の位置が入れ替わり、逆子の状態になっている場合がよくあります。
妊娠後期になると身体がより成長し、頭も大きくなるため赤ちゃんは自然と子宮内で下向きになります。
頭が下の状態で赤ちゃんが固定されることがほとんどですが、赤ちゃんの頭が下を向かずに足やお尻が子宮口の方を向いたまま大きくなると、赤ちゃんが動き回るスペースがなくなって逆子になります。
逆子になるのは以下のような原因が考えられます。
子宮の奇形には、「中隔子宮」「双角子宮」「重複子宮」「単角子宮」といくつか種類があります。
子宮の形に異常があり、子宮が狭くなっていたり、仕切りがあると子宮内のスペースが限られ、お腹のなかの赤ちゃんの居心地のよい体勢が変わってくるため、逆子になりやすいです。
胎盤異常には「前置胎盤」「低置胎盤」があります。
前置胎盤は、胎盤が正常な位置よりも下方に位置し、胎盤が内子宮口の一部または全部を覆っている状態です。
胎児よりも胎盤が子宮口の近くにあるため、お腹の赤ちゃんは頭が下にある体勢が居づらく逆子になる可能性があります。
低置胎盤は、胎盤が子宮口から2㎝以内の距離にくっついている状態です。前置胎盤のように子宮口にかかってはいない状態です。
胎盤が下のほうにあるため、胎児の頭が出てくるのを妨げ、逆子になりやすいです。
狭骨盤とも言われ、150㎝以下の低身長の人や代謝性疾患、骨盤・脊椎疾患などを持っている人にみられます。
狭骨盤であっても胎児の頭が小さければ経腟分娩が可能な人もいますが、骨盤腔が狭いと逆子になる可能性が高くなります。
羊水量が800mlを超える場合は羊水過多になります。羊水量を直接測ることは難しいため、超音波検査で測定して診断します。
羊水過多は、急激な体重増加や子宮の増大が関係しています。
羊水量が多いと体内で動き回りやすくなるため、頭の位置が上にいき逆子になる場合があります。
双子やそれ以上になると、子宮内で動けるスペースが限られているため、どちらかが逆子になるケースがあります。
低体重児は、生まれたときの体重が2500g未満の赤ちゃんのことをいいます。
予定日よりも早く生まれたり、ママが妊娠高血圧症候群にかかると低体重児で産まれてくる可能性があります。
妊婦さんが身体を冷やしてしまうと血液も冷えて子宮内の温度が下がるため、お腹のなかの赤ちゃんは自分の頭を冷やさないように足を下にして逆子になるといわれたりしますが、本当なのでしょうか。
専門家は以下のように言っています。
逆子の原因は冷えと直接関係ないですが、冷えで子宮が収縮することで子宮内がせまくなることが多くなり、逆子がなおりにくくなる可能性はあります。
妊婦さんは身体を冷やさず、できるだけ血液の流れを悪くしないように腹巻やカイロなどで身体を温めることが大切です。
夏でも靴下を履くなどして身体を冷やさないように対策しましょう。
妊娠30週になっても逆子が治らない場合、逆子体操を取り入れてみましょう。
頭と腕を床に着けて四つん這いになってお尻を盛り上げた状態で10~15分程度キープします。胸膝位ともいいます。
またはブリッジ法といい、仰向けになってお尻の下にクッションや枕を敷いて、そのままお尻を持ち上げて10~15分程度キープします。
胸膝位またはブリッジ法のあとに赤ちゃんの背中がある方を上にして横向きになります。
横向きになるときは、赤ちゃんの背骨が右側か左にあるかで寝る向きが変わるため、赤ちゃんの向きを健診やエコー検査などで事前に確認しておく必要があります。
外回転術は、子宮収縮を抑える薬を投与し、妊婦さんのお腹に手を添えて外側からお腹のなかの赤ちゃんを回転させて元の位置に戻す方法です。
施術時間は2~3分程度で終わりますが、リスクを伴うため胎児や母体が健康な人に限られます。また必ず逆子が治るわけではなく、成功率は60~70%と報告されています。
外回転術ができる病院は限られていたり、出血などのリスクが伴ったり、まれではありますが緊急帝王切開になる可能性もあるため、医師とよく相談して決めることが大事です。
出産が近づいても逆子が治らないときは、帝王切開での出産になることがほとんどです。
妊娠33週頃に逆子が治らないと帝王切開になるかもしれないと医師から話がある場合が多いです。妊娠36週頃になっても逆子の状態だと帝王切開の予定日を決めることが多いです。
逆子と診断されると、冷えが原因かもしれないと思う妊婦さんもいるかもしれません。
冷えは逆子の直接の原因にはなりません。逆子は、子宮の形態や胎盤の異常、骨盤が狭い、羊水の量が関係しています。
妊娠36週まで逆子が治らないとほとんどの場合、帝王切開になるため、逆子と診断されたら逆子体操を試してみるとよいかもしれません。外回転術も逆子を直す1つの方法にありますがリスクを伴い、母体や胎児の状態によったり、できる病院も限られているため、医師と相談して慎重に決めることが大切です。
しかし、妊婦さんが身体を冷やすと子宮収縮が起こったり、母体に影響することもあるので、カイロで身体を温めたり、夏場でも靴下を履くなど冷え対策が重要です。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
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2019年03月18日
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