妊活をスタートさせたとき、まずは妊娠の確率を上げるために排卵日を予測しパートナーとの営みに取り組むタイミング法を試す人は多いかもしれません。基礎体温を測る以外に排卵日を知る方法はあるのでしょうか。排卵日の予測の仕方や過ごし方について詳しく解説します。
妊活を始めたとき、まずは排卵日を予測しパートナーとの性行為にチャレンジする方も多いのではないでしょうか。
「排卵日」とは、生理の周期ごとに毎月1度だけ卵巣から卵子が排卵される日のことです。
妊娠するためには、排卵された卵子が卵管にとどまっている間に精子と受精し受精卵となり、子宮に着床する必要があります。
女性の卵子の寿命は約24時間、男性の精子の寿命は約72時間と言われており、自然妊娠の確率を高めるためには、妊娠しやすい時期やタイミングを予測し計画的に性行為を行うことが重要です。
一般的には、次の生理開始予定日の約2週間前が排卵日となります。
生理周期の正常範囲は25日~38日程度とされており、生理周期が28日の場合、生理が始まった日から約2週間後に排卵が起こると考えます。
生理が始まった日を1日目と数え、14日目が排卵日となりますが、排卵日には個人差があるため、生理周期からの計算だけで排卵日を予測するのは難しいかもしれません。
排卵日当日が妊娠しやすいと思われがちですが、もっとも妊娠しやすい日は排卵日ではなく、排卵日の2~3日前(排卵期に入った時期)からです。排卵日当日は、すでに妊娠率が低くなっています。
卵子の寿命はそれほど長いものではないため、卵子が排出される前に女性の体内に精子をスタンバイさせておくと、妊娠しやすくなります。
妊活中は、排卵日の3日前から排卵日までを中心にパートナーと営みを持つことで、妊娠する確率が上がります。
排卵日を予測するためには、以下のような方法があります。
女性の体は、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン (黄体ホルモン)の影響を受け一定の周期で変化を繰り返します。
基礎体温とは、妊娠するために大切な役割を果たす女性ホルモンの分泌量の変化を体温を参考に記録するものです。
排卵をきっかけに0.3~0.6℃上昇する特徴があり、毎日計測を続けることで排卵日を予測しやすくなります。
しかし、前夜の行動や就寝時間などの影響を受けることがるので、あくまで目安として考えるのがよいでしょう。
排卵日予測検査薬は、尿に含まれている黄体形成ホルモンの値を調べ、排卵日を予測する検査薬です。
排卵直前の女性は、黄体形成ホルモンの値が高くなる特徴があります。一般的に、黄体形成ホルモンの値(LH濃度)の上昇が始まってから約36時間以内に排卵が起こると言われています。
排卵予測検査薬を使うタイミングを見極めるためには、基礎体温表の記録が大切です。基礎体温表から予測した排卵日の少し前から、排卵予測検査薬の使用を始めるとより正確な排卵日の予測に役立ちます。
排卵予測検査薬は、薬局やドラッグストア、インターネットの通販サイトなどから購入することができます。
もともと黄体形成ホルモンの値(LH濃度)が高めな方もいるので、あくまで目安として捉えましょう。
卵巣から卵子が排出される、排卵日前後の時期を排卵期と呼びます。おりものには、細菌が腟を通って子宮などの体内に侵入するのを防ぐ役割や腟のうるおいを保ち挿入時の痛みを防いだり、排卵期に精子をスムーズに子宮へ運ぶ役割があります。
排卵期に入ると、女性の身体は妊娠を促すために精子を受け入れる準備を始めるため、精子をスムーズに運ぶ役割がある、おりものの量が多くなります。
排卵期のおりものの色は、透明に近く卵の白身のようにとろみがある状態です。排卵期前の卵胞期のおりものは無色でサラサラとした状態、排卵期後の黄体期は、ドロッと粘り気がある白色になります。
普段からおりものの状態をチェックすることで、排卵期のタイミングが予測しやすくなるでしょう。
生理が始まる少し前に身体の不調が現れる方もいるのではないでしょうか。下腹部に違和感を感じたり痛みがある人、むくみや冷え、腰痛や眠気、倦怠感などの症状、気持ちが落ち込んだりイライラするなどの心の変化、排卵出血が起こる人もいるかもしれません。
生理前の体調不良は、女性ホルモンの変化が急激に起こり、身体に負担が掛かることが原因となり引き起こされます。排卵出血は、卵巣から卵子が排出されるときに、卵巣に傷をつけてしまうことが原因となり、排卵日の前後2~3日に起こりやすいです。
身体の調子が優れない日が続くときは、排卵日が近づいているサインかもしれません。ただし、生理前の体調の変化には個人差があるため、体調の変化だけで排卵日を予測するのは少し難しいかもしれません。
妊活中に排卵日を予測するためには、上記で解説した方法を併用して活用することが大切です。まずは基礎体温表の記録を始め、生理周期を把握しましょう。
生理周期を把握したあとに、排卵が近い時期を目安立て、排卵予測検査薬を使用してみるのがよいですね。生理周期に合わせて、おりものや体調にどのような変化があるのか、少しずつチェックすることが大切です。
基本的にホルモンの変化などに対する感受性は人様々で、敏感な方もいればあまり感じない方もいます。自分の体にあまり注意を向けすぎるのもストレスになるので、あくまでひとつの目安として考えるのがよいでしょう。
排卵後に卵子と精子が受精した後、受精卵が子宮内膜にたどり着き、着床すると妊娠が成立します。排卵日から着床までの過ごし方で意識した方がよいことについて解説します。
パートナーと営みを持ち、妊娠が成立するまでの期間には個人差もありますが、約1週間程度の時間が必要です。
妊娠を望んでいると、排卵から着床までの期間を長く感じてしまったり、妊娠を願う気持ちが強くなるあまり、外出や運動を控えるなど日常生活の過ごし方に敏感になってしまうことがあるでしょう。
排卵から妊娠成立までの過ごし方のポイントは、妊娠検査薬の使用に適した時期まで、「あとは待つだけ」という気持ちでリラックスして過ごすことです。
妊活中は規則正しい生活習慣や3食きちんと食べる食生活を心掛け、妊娠や出産に備えた身体作りをしていく期間です。排卵後から着床までを待つ期間も同様に規則正しい生活を送るようにしましょう。
妊活中に排卵日付近の性行為が義務になってしまうと、ストレスやプレッシャーを感じてしまい、今後の妊活に悪い影響を与えるケースもあるでしょう。
妊活がうまく進まず、疲れてしまったときは排卵日を意識しすぎず、好きなものをたくさん食べたり、気分転換を兼ねて旅行に出かけるなど、リフレッシュ期間を作るのもよい方法です。
受精していた場合でも、性行為が原因で着床が阻害されることはないため、排卵後に性行為を控える必要はありません。妊娠の確率を上げるためには、排卵期以外に性行為を行うことも大事です。
妊活中は、妊娠のためだけに性行為を行うのではなく、パートナーとの愛情表現やスキンシップとして自然な雰囲気で楽しめたらよいですね。
妊活中は、排卵日を予測して妊娠しやすい時期やタイミングを知ることが大切です。
排卵日を正確に予測するのは難しいこともありますが、基礎体温の記録やおりものの量、体調の変化から排卵日が予測しやすくなります。
妊活中に最も妊娠しやすい日は、排卵日当日ではなく排卵日の数日前から始まります。
妊娠する確率をあげるためには、排卵日の数日前から排卵日に掛けて性行為を行うのがよいですが、それ以外の時期でも排卵日にこだわりずぎず頻繁に性交渉を持ち、パートナーとの絆を深めることができれば、より妊娠する確率が高くなります。
排卵や妊娠を意識しすぎるあまり、気持ちに余裕を持てなくなってしまったり、パートナーとぶつかることもあるかもしれません。
妊活をスムーズに進めるコツは、気持ちや身体にストレスを掛けず、自分たちのペースでゆったり構えることです。妊活中は、自分の身体やパートナーに思いやり持ち、自分たちのペースで赤ちゃんを待てるとよいですね。
大切なことは、「排卵する」「受精する」「着床する」といった生殖を自分の頭でコントロールしていると誤解していることに気づくことのようです。
自分でコントロールできることと、できないことを分けて考えるとストレスも少なくなります。ぜひ参考にしてみてください。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
医学博士。日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医。日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
長年にわたり、不妊治療に携わる。幸せな赤ちゃんの誕生、幸せな家庭を作る手助けをすることを理念に掲げ、結果を重視した治療を行う。
2020年07月10日
ウイルスによって引き起こされる風疹は、免疫が十分にない人に対して強い感染力を持っています。妊娠時期に風疹にかかった場合、どのような影響があるか気になる人もいるのではないでしょうか。今回は、妊娠中に風疹にかかった場合の影響、風疹の予防接種後に妊娠がわかったときの対応、妊娠中の風疹の感染対策などについて解説します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
女性の体にさまざまな変化が起こる妊娠初期。この時期、どのような食べ物に注意したらよいのか気になる人もいるかもしれません。今回の記事では、妊娠初期の食べ物や、食べ物から摂りたい栄養素、妊娠初期のつわり対策などについて紹介します。
妊娠中はホルモンバランスの乱れやつわりなど体にさまざまな変化が現れますが、なかでも気になるのが体重の増加。急激に体重が増えた場合、ダイエットをするべきか迷うこともあるのではないでしょうか。今回は、妊娠中に体重が増える原因や影響、体重管理のコントロールについて解説します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
子どもを出産したいと思ったときに後悔しないように、今から知っておきたい妊娠・妊活の正しい知識。前編では、妊娠・妊活にまつわる誤解についてお伝えしました。後編では、結婚適齢期がなくなっても、妊娠適齢期は変わらずにある現状をテーマに、新しい不妊治療の技術などについてお伝えします。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
「いつかは出産したい」「いつかは2人目がほしい」と考えている女性は多いのではないでしょうか。今回は、そんな「いつか」のために知っておきたい、妊娠・妊活の正しい知識をお伝えします。前編のテーマは、妊娠・妊活にまつわる誤解について。どのような誤解があるのか、なぜ誤解が生まれるのかを、産婦人科専門医の浅田先生にお話いただきました。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
卵子の質や数は妊娠に大きく関わる大きな問題。妊活において、自分の卵子はどのような状態なのか気になることもあるでしょう。今回は、卵子の老化やサイン、年齢との関係、妊娠率への影響などについて紹介します。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
妊活のために病院で検査を受けるタイミングはいつがよいのでしょうか。いざ病院に行こうと思っても、妊活の病院選びについて悩むことがあるかもしれません。この記事では、いつから病院に行ったらよいのかや、妊活の病院選びのポイント、女性と男性それぞれ病院でどのような検査を行なうのかなどをご紹介します。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
妊娠がわかったとき、母子手帳はいつもらえるのかやどこでもらうのかを知りたいという方もいるのではないでしょうか。今回の記事では、母子手帳の交付時期や交付場所、交付に必要な持ち物と母子手帳の活用法について紹介します。
妊活中にカフェインを摂取しても大丈夫なのか気になる方もいるのではないでしょうか。コーヒーや紅茶などの飲み物を飲んでリフレッシュしたいということもあるでしょう。カフェインの作用や妊活中にカフェインを摂取するときの注意点、妊活中の男性のカフェイン摂取について解説します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
将来出産することを考えて、妊活を考える方もいるでしょう。妊活の準備をすることをプレ妊活と言いますが、具体的に何をすればよいのでしょうか。プレ妊活で行うことや妊娠前に受ける検査、準備で男性が心がけることや2人目について解説します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
お腹の赤ちゃんの性別によって、つわりの重さやお腹の出方など体調に違いはあるのか気になるママもいるかもしれません。今回は、妊娠中に女の子だといつわかるのか、女の子のママたちが妊娠中に感じていたこと、体調の変化や特徴などの体験談をご紹介します。
妊娠中に貧血になったときはどのような治療が必要なのでしょうか。妊婦さんがなりやすい「鉄欠乏性貧血」について、注意が必要な症状や治療法と治療薬の副作用について解説します。また、吐き気などつわりの症状があり食事や飲み薬を摂れない場合の対処法についてご紹介します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)