【産婦人科医監修】妊娠しやすい日はいつ?妊活中の排卵日の予測方法

【産婦人科医監修】妊娠しやすい日はいつ?妊活中の排卵日の予測方法

2020.07.10

Profile

浅田義正

浅田義正

医療法人浅田レディースクリニック理事長

日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。

妊活をスタートさせたとき、まずは妊娠の確率を上げるために排卵日を予測しパートナーとの営みに取り組むタイミング法を試す人は多いかもしれません。基礎体温を測る以外に排卵日を知る方法はあるのでしょうか。排卵日の予測の仕方や過ごし方について詳しく解説します。

排卵日とは

妊活を始めたとき、まずは排卵日を予測しパートナーとの性行為にチャレンジする方も多いのではないでしょうか。

「排卵日」とは、生理の周期ごとに毎月1度だけ卵巣から卵子が排卵される日のことです。

妊娠するためには、排卵された卵子が卵管にとどまっている間に精子と受精し受精卵となり、子宮に着床する必要があります。

女性の卵子の寿命は約24時間、男性の精子の寿命は約72時間と言われており、自然妊娠の確率を高めるためには、妊娠しやすい時期やタイミングを予測し計画的に性行為を行うことが重要です。


排卵日はいつ来る?

不妊治療
iStock.com/KatarzynaBialasiewicz

一般的には、次の生理開始予定日の約2週間前が排卵日となります。

生理周期の正常範囲は25日~38日程度とされており、生理周期が28日の場合、生理が始まった日から約2週間後に排卵が起こると考えます。

生理が始まった日を1日目と数え、14日目が排卵日となりますが、排卵日には個人差があるため、生理周期からの計算だけで排卵日を予測するのは難しいかもしれません。


排卵日は妊娠しやすい?

排卵日当日が妊娠しやすいと思われがちですが、もっとも妊娠しやすい日は排卵日ではなく、排卵日の2~3日前(排卵期に入った時期)からです。排卵日当日は、すでに妊娠率が低くなっています。

卵子の寿命はそれほど長いものではないため、卵子が排出される前に女性の体内に精子をスタンバイさせておくと、妊娠しやすくなります。

妊活中は、排卵日の3日前から排卵日までを中心にパートナーと営みを持つことで、妊娠する確率が上がります。

排卵日の予測方法

排卵日を予測するためには、以下のような方法があります。


基礎体温

女性の体は、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン (黄体ホルモン)の影響を受け一定の周期で変化を繰り返します。

基礎体温とは、妊娠するために大切な役割を果たす女性ホルモンの分泌量の変化を体温を参考に記録するものです。

排卵をきっかけに0.3~0.6℃上昇する特徴があり、毎日計測を続けることで排卵日を予測しやすくなります。

しかし、前夜の行動や就寝時間などの影響を受けることがるので、あくまで目安として考えるのがよいでしょう。


排卵予測検査薬

排卵日予測検査薬は、尿に含まれている黄体形成ホルモンの値を調べ、排卵日を予測する検査薬です。

排卵直前の女性は、黄体形成ホルモンの値が高くなる特徴があります。一般的に、黄体形成ホルモンの値(LH濃度)の上昇が始まってから約36時間以内に排卵が起こると言われています。

排卵予測検査薬を使うタイミングを見極めるためには、基礎体温表の記録が大切です。基礎体温表から予測した排卵日の少し前から、排卵予測検査薬の使用を始めるとより正確な排卵日の予測に役立ちます。

排卵予測検査薬は、薬局やドラッグストア、インターネットの通販サイトなどから購入することができます。

もともと黄体形成ホルモンの値(LH濃度)が高めな方もいるので、あくまで目安として捉えましょう。


おりものの量が増える

卵巣から卵子が排出される、排卵日前後の時期を排卵期と呼びます。おりものには、細菌が腟を通って子宮などの体内に侵入するのを防ぐ役割や腟のうるおいを保ち挿入時の痛みを防いだり、排卵期に精子をスムーズに子宮へ運ぶ役割があります。

排卵期に入ると、女性の身体は妊娠を促すために精子を受け入れる準備を始めるため、精子をスムーズに運ぶ役割がある、おりものの量が多くなります。

排卵期のおりものの色は、透明に近く卵の白身のようにとろみがある状態です。排卵期前の卵胞期のおりものは無色でサラサラとした状態、排卵期後の黄体期は、ドロッと粘り気がある白色になります。

普段からおりものの状態をチェックすることで、排卵期のタイミングが予測しやすくなるでしょう。


体調の変化

生理が始まる少し前に身体の不調が現れる方もいるのではないでしょうか。下腹部に違和感を感じたり痛みがある人、むくみや冷え、腰痛や眠気、倦怠感などの症状、気持ちが落ち込んだりイライラするなどの心の変化、排卵出血が起こる人もいるかもしれません。

生理前の体調不良は、女性ホルモンの変化が急激に起こり、身体に負担が掛かることが原因となり引き起こされます。排卵出血は、卵巣から卵子が排出されるときに、卵巣に傷をつけてしまうことが原因となり、排卵日の前後2~3日に起こりやすいです。

身体の調子が優れない日が続くときは、排卵日が近づいているサインかもしれません。ただし、生理前の体調の変化には個人差があるため、体調の変化だけで排卵日を予測するのは少し難しいかもしれません。

妊活中に排卵日を予測するためには、上記で解説した方法を併用して活用することが大切です。まずは基礎体温表の記録を始め、生理周期を把握しましょう。

生理周期を把握したあとに、排卵が近い時期を目安立て、排卵予測検査薬を使用してみるのがよいですね。生理周期に合わせて、おりものや体調にどのような変化があるのか、少しずつチェックすることが大切です。

基本的にホルモンの変化などに対する感受性は人様々で、敏感な方もいればあまり感じない方もいます。自分の体にあまり注意を向けすぎるのもストレスになるので、あくまでひとつの目安として考えるのがよいでしょう。

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排卵後に卵子と精子が受精した後、受精卵が子宮内膜にたどり着き、着床すると妊娠が成立します。排卵日から着床までの過ごし方で意識した方がよいことについて解説します。


リラックスして過ごす

ベットで犬とリラックス
iStock.com/Fly_dragonfly

パートナーと営みを持ち、妊娠が成立するまでの期間には個人差もありますが、約1週間程度の時間が必要です。

妊娠を望んでいると、排卵から着床までの期間を長く感じてしまったり、妊娠を願う気持ちが強くなるあまり、外出や運動を控えるなど日常生活の過ごし方に敏感になってしまうことがあるでしょう。

排卵から妊娠成立までの過ごし方のポイントは、妊娠検査薬の使用に適した時期まで、「あとは待つだけ」という気持ちでリラックスして過ごすことです。


規則正しい生活をする

妊活中は規則正しい生活習慣や3食きちんと食べる食生活を心掛け、妊娠や出産に備えた身体作りをしていく期間です。排卵後から着床までを待つ期間も同様に規則正しい生活を送るようにしましょう。

妊活中に排卵日付近の性行為が義務になってしまうと、ストレスやプレッシャーを感じてしまい、今後の妊活に悪い影響を与えるケースもあるでしょう。

妊活がうまく進まず、疲れてしまったときは排卵日を意識しすぎず、好きなものをたくさん食べたり、気分転換を兼ねて旅行に出かけるなど、リフレッシュ期間を作るのもよい方法です。


性行為を定期的にする

受精していた場合でも、性行為が原因で着床が阻害されることはないため、排卵後に性行為を控える必要はありません。妊娠の確率を上げるためには、排卵期以外に性行為を行うことも大事です。

妊活中は、妊娠のためだけに性行為を行うのではなく、パートナーとの愛情表現やスキンシップとして自然な雰囲気で楽しめたらよいですね。

妊活は焦らず自分たちのペースで進めよう

妊娠中の妻と夫
iStock.com/Yue_

妊活中は、排卵日を予測して妊娠しやすい時期やタイミングを知ることが大切です。

排卵日を正確に予測するのは難しいこともありますが、基礎体温の記録やおりものの量、体調の変化から排卵日が予測しやすくなります。

妊活中に最も妊娠しやすい日は、排卵日当日ではなく排卵日の数日前から始まります。

妊娠する確率をあげるためには、排卵日の数日前から排卵日に掛けて性行為を行うのがよいですが、それ以外の時期でも排卵日にこだわりずぎず頻繁に性交渉を持ち、パートナーとの絆を深めることができれば、より妊娠する確率が高くなります。

排卵や妊娠を意識しすぎるあまり、気持ちに余裕を持てなくなってしまったり、パートナーとぶつかることもあるかもしれません。

妊活をスムーズに進めるコツは、気持ちや身体にストレスを掛けず、自分たちのペースでゆったり構えることです。妊活中は、自分の身体やパートナーに思いやり持ち、自分たちのペースで赤ちゃんを待てるとよいですね。

大切なことは、「排卵する」「受精する」「着床する」といった生殖を自分の頭でコントロールしていると誤解していることに気づくことのようです。

自分でコントロールできることと、できないことを分けて考えるとストレスも少なくなります。ぜひ参考にしてみてください。


監修:浅田義正(浅田レディースクリニック院長)

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浅田義正

浅田義正

日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。

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