「小学校の時期=貯金の時期」は本当? FPに聞く教育費事情と貯金計画

「小学校の時期=貯金の時期」は本当? FPに聞く教育費事情と貯金計画

子育て世代に深く関わる「教育費」はどれくらい必要なのか知りたいと思いませんか?今回は、小学校と幼稚園でかかる教育費の比較、貯蓄の考え方をファイナンシャルプランナー(FP)の滝本博文さんに聞いてみました。

教育費の割合

子育て世代のご家庭において、大きな割合を占める支出項目に「教育費」があります。この「教育費」は、親としての責任・義務でもあり、


子どものためにも削ることが出来ないお金でもあります。


保育園・幼稚園にかかる教育費は、決して安いものではありません。しかし、子育て世代の親の年齢は、ほとんどが20~30歳代。一般的には、所得に余裕がある世代ではないのが現実です。

限られた所得から、保育園・幼稚園にかかる教育費支出はもちろん、生活費も増えていく状況で、いかに毎月「貯蓄」できるかを、工夫しているご家庭も多いのではないでしょうか。

そのようななか、早く(家計が)ラクになりたいと思っている家庭も少なくないでしょう。

“子どもが小学校にあがったら、教育費は激減して、家計も多少はラクになるから少しの辛抱だよ”と先輩ママたちは言います。

実際のところ、小学校にあがったら、教育費はどのくらい必要なのでしょうか?保育園・幼稚園の教育費と比べてどのくらい差がでてくるのでしょうか?

幼稚園・小学校でかかる教育費

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一般的家庭では、公立・私立幼稚園(または保育園)、小学校は公立小学校という流れが一般的ですが、各ご家庭の子育て方針はもちろん、お住まいの市区町村、学校によっても異なります。

一例として、東京都にお住いの一般的ご家庭のAさん(ご主人 会社員:奥様 パート)のご家庭の教育費を伺ってみました。


<私立幼稚園(年間)> ※一人当たり


・保育費     約36万円前後
・延長保育    約15万円前後
・行事費     約 5万円前後
・その他     約 2万円前後
      ↓
年間合計        約60万円


※保育園の場合は、認可・認可外、地域や世帯所得によって差がありますが、幼稚園以上の保育料を支払っている家庭が多いと思われます。


これらの学校教育費が、公立小学校にあがると以下のように変わりました。


<公立小学校教育費(年間)> ※一人当たり


・給食費/PTA費  約60,000円
・教科書・教材費  約20,000~30,000円
・その他      約5,000円 
    ↓    
年間合計      約10万円


学校教育費としての金額は、年間で10万円ほどです。幼稚園の教育費と比べて、年間約50万円もの差がでてきます。

この差額をすべて貯蓄することができれば、小学校の6年間で単純計算すると約300万円もの貯蓄ができるということになります。

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貯金計画を考える

上述のように、公立小学校にあがると学校教育費は大きく減少し、貯蓄にまわせるお金が増えてくることでしょう。

しかし、学校教育費は減少しますが、それ以外の支出が増えてくることも想定しておきたいものです。例えば、


「習い事」「学童保育」にかかってくるお金。さらに、子どもの成長に伴って食費などの「生活費」も徐々に増えてきます。


これらの支出も想定して、貯金計画を立てていきましょう。


習い事

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一般的な子どもの習い事費用は、月々10,000~20,000円くらいが平均的で、水泳教室、ピアノ、英会話教室、学習塾などが人気のようです。しかし、


小学校4年生くらいになると学習塾費用が増加してくる傾向がみられます。


さらに、進学・受験対策となってくると、月々20,000~30,000円ほどの学習塾月謝に加え、季節講習(夏季・春季など)は、それぞれ5~10万円/回くらいの費用が必要になってきます。


学童保育

共働き夫婦には、嬉しいサービスである「学童保育」。入所には、各種条件をクリアしなければならない所が多いですが、安心して子どもを預けることもでき、仕事にも集中できますね。

学童費用として、月々およそ10,000円前後かかります。(※)

※地域によって金額は異なります


生活費

子どもの成長に伴って食費や衣料費、参考書類などの書籍費、お小遣いなどの「生活費」も年々徐々に増えてきます。

教育費に少し余裕が出来たからと、思うままに支出してしまうと、気付いたらお金が足りないということになり得ます。

しっかりと生活費予算を決めてやりくりしていきましょう。

小学校の時期=貯金の時期

このように、子どもが保育園・幼稚園から小学校にあがると、学校教育費は減少する傾向です。


つまり、貯蓄をしやすくなる絶好の期間でもあります。


貯金といっても、きちんと計画を立てて実行しなければ、目標の金額は貯まりにくいものです。 

家計シミュレーションをしてみてください。そこから「いくら貯蓄に充てられるか?」を計算し、決めた金額は給与天引きや自動振替などを利用して、貯蓄してしまうのが賢明です。


貯金の基本は、次の通りです。
収入 - 支出 ⇒ 貯金 ×
収入 - 貯金 ⇒ 支出 〇


また、現代は、貯金の仕方やお金の増やし方など、時代の流れとともに変化してきています。

“貯金のしかた”によっては、将来手にする金額も大きく変わる場合もあります。

家計管理方法などはもちろん、これからの賢い貯蓄方法など、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのも賢い方法ですね。


執筆:滝本 博文

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神奈川県横浜市出身。“お金”のことを気軽に・真剣に相談できる人が周囲にいないことの重大性・重要性に気付き、広告・マーケティング業界から一転、外資系生命保険会社に転職。『ライフプラン』を軸にした保険コンサルティング営業を経験・従事。トータルライフコンサルタント、ファイナンシャル・プランナー資格も取得。その経験を活かし、現在FP事務所にて、すべての人に不可欠であるテーマ「資産形成」「リスクマネジメント」を中心としたコンサルティング業務に従事。「ライフ・プランニング」をベースに、「保険」の力と「不動産」の力を組み合わせながら、お金にまつわる悩み事・不安事を、お客様と一緒に考え、一緒に解決していくお手伝いをしております。

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