アメリカでも「トランプ不況」が現実味を帯びてきた…"関税男"トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争の隘路

アメリカでも「トランプ不況」が現実味を帯びてきた…"関税男"トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争の隘路

トランプ大統領が4月2日、アメリカへの輸入品に「相互関税」を課すと表明した。日本は24%の関税が新たに課された。これから経済はどうなるのか。伊藤忠総研上席主任研究員の高橋尚太郎さんは「米国経済に対する悪影響は間違いなく強まる。支持率維持のために関税政策の軌道修正を図ったとしても、景気は低迷し、『時すでに遅し』という状況に陥る可能性がある」という――。

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2025年4月2日、米国ワシントンDCのホワイトハウスで関税について発表するドナルド・トランプ米大統領

トランプ関税に金融市場は厳しい評価

第2次トランプ政権の関税政策が混乱を極めている。この現状を表すものとして、第1次トランプ政権と株価の推移を比較したものがよく挙げられる(図表1)。これを見ると一目瞭然だが、第2次トランプ政権発足後の株価は、第1次トランプ政権対比で割り負けているだけでなく、対照的な動きを辿っている。

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第1次トランプ政権は、追加減税策(いわゆるトランプ減税)に対する期待から株価が上昇し続け、株価が低迷しだしたのは、米中貿易摩擦が意識されだした政権発足後約10カ月後からであった。

第2次トランプ政権は、発足直後こそ規制緩和への期待などから株価は上昇したが、すぐに関税政策の動きが活発化し、その不透明感が強まるにつれて株価は下落基調となった。株式市場と同様のことは他の金融市場でも起こっており、先行きの景気不安から金利は低下し、為替市場ではドル高に修正がかかっている。トランプ政権の関税政策に対する評価は、少なくとも金融市場では非常に冴えないものといえる。

アメリカファーストと関税政策に固執するトランプ大統領

金融市場が大きく混乱する中で、トランプ政権が関税政策を推し進める理由は何か。トランプ大統領は「アメリカファースト(米国第一)」という言葉を掲げ、米国を立て直すことを掲げている。そして、トランプ氏は、他国と協調・協力することには価値を見出さない。むしろ、米国は、全世界に対して巨大な貿易赤字を抱え、世界から移民を受け入れさせられ、巨額な債務を抱えさせられている被害国だと考えている。

この被害者意識は、トランプ氏の2012年の著書『Time To Get Tough(タフな米国を取り戻せ)』にも記載されている。この本では、「中国に課税して米国の雇用を救え」「不法移民と呼ばれる理由がある」「我々が維持できる政府を」などの章が設けられ、トランプ氏が現在展開する主張と同様のことが記述されている。トランプ氏の不満が根深いことが窺える。

そして、トランプ氏は、「関税」を辞書の中で最も美しい言葉と公言してきた。これは、関税がトランプ氏の思いを達成するための重要な手段と考えているために他ならない。ベッセント財務長官は、関税政策によって、①不公正な貿易慣行の是正、②貿易以外の問題も含めた他国との交渉、③歳入増を実現すると述べた。言葉はきれいだが、まさに、前述したトランプ氏の不満を言い換えたものであることが分かる。

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2025.04.11

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