なぜホワイト企業で「退職代行」が使われているのか…「連休明けに社員がバックレる」職場の意外な共通点
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退職代行サービス「モームリ」の運営会社によると、連休明けの1月6日、過去最多となる256件の退職依頼があったという。経営コラムニストの横山信弘さんは「退職代行の登場は2000年代後半から2010年代初頭とされていて、最近登場したサービスではない。利用者が急増している背景には、3つのポイントがあるのではないか」という――。
9連休明けに依頼殺到した「退職代行サービス」
今年の年末年始の休みは長かった。「奇跡の9連休」とまで言われるほどだった。
しかし、この長い冬休みのあとに、企業を震わせる驚きの事態が待っていた。退職代行を利用して会社を去る人が急増しているという。
若い世代だけでなく、50~60代でも利用が増えているらしい。退職代行は簡単に退職を進められる反面、会社側や残る社員にとっては複雑な問題をもたらすことがある。なぜ人々は退職代行を使うのか。そして、このような動きは職場を健全化するのだろうか。
意外なことに、必ずしもブラック企業や労働環境の悪い企業だけが退職代行を使われているわけではない。
今回は退職代行を利用する人、そして利用される職場の課題について考察する。退職代行サービスの利用を検討している人や、人材管理に悩んでいる企業担当者は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
マジメすぎて退職を言い出せないという人も
退職代行とは、利用者に代わって会社へ退職の意思を伝え、必要書類の手配などを行うサービスのこと。特長は、利用者が直接上司や会社にコンタクトをとらなくても手続きを進められる点だ。
とりわけハラスメントの恐れがある場合や、強い引き止めにあって心労が募るケースなら、こんなに心強いサービスはないだろう。さらに最近では、マジメすぎて自分で退職を言い出せない人も利用しているという。
長い休暇明けは心も体もリセットされやすい時期だ。日ごろの仕事や職場環境への不満が一気に噴き出すことがある。年末年始やゴールデンウィークなどの長期休暇直後に利用者数が急増するのはこのためだ。
私の知人の会社でも、年明けにいきなり2人、退職を申し出されたと言って嘆いていた(退職代行サービスを利用されたわけではない)。